そうま歴史資料ネットワーク
代表 鈴木龍郎
そうま歴史資料保存ネットワークの設立にあたり皆様にご挨拶申し上げます。
相馬市は、東日本大震災によって大きな被害をこうむり復興も途半ばの状況にあります。東日本大震災以降も水害や度重なる地震によって多くの被害が生じています。特に令和3年、4年と引き続いた地震による損害は大きく、大規模な被災家屋の取り壊し作業が市内各所で進められている現状です。
取り壊し作業が進む中で、歴史的・文化的価値を有する文物が行き場を失い、廃棄あるいは流出する懸念が生じています。個人蔵の文物のみならず、長く生業を続けてきた商家の記録などをはじめとする人々の暮らしに根差した貴重な文化財が失われようとしています。
この文化的な危機に直面し、歴史ある相馬地方の暮らしの記録を保存し、後世に伝えるための取り組みが緊急に求められています。私たちは危機にある歴史的資料を調査・保存するための非営利の任意団体を有志とともに立ち上げることにしました。さいわい、「ふくしま歴史資料保存ネットワーク」「宮城歴史資料保存ネットワーク」の皆さんのご指導、ご協力を得ながら、いつくかの案件について調査・レスキュー・保存作業に着手することができております。今後も、参加していただいている会員の皆様とともに活動を続けていきたいと考えております。
相馬地方は、無形文化財「相馬野馬追」に代表されるように歴史豊かな風土であり、私たちの祖先はその風土の中で、誇り高い精神性を育み、日々の暮らしを営んできました。私たち市民の精神的な拠り所となる歴史資料がこのまま失われていくことは耐え難いことです。
是非とも、皆さんのご理解と御協力を賜りながら今後も活動を継続していく所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。