当研究室が中心となって実施した研究の論文内容について解説します。
Yushi Kurotaki, Yuki Hagiwara, Kosei Noto, Atsuo S. Nishino, Sho Fujii* (2026) Membranous Interacting Partners of Phage-Type Plastid RNA Polymerase Have Limited Impact on Plastid Gene Expression During Chloroplast Development. Plant Direct 10: e70122
葉緑体内部で遺伝子を転写するRNAポリメラーゼのうち,ファージ型とよばれるタンパク質(ミトコンドリアのRNAポリメラーゼの遺伝子重複により獲得されたと考えらています。哺乳類のミトコンドリアRNAポリメラーゼとも相同)に関する研究成果です。これまで,ファージ型RNAポリメラーゼの一種RPOTmpは,葉緑体分化の過程においてチラコイド膜タンパク質NIPによって機能が制御される可能性が提唱されていました。そこで,NIPを完全に欠失したシロイヌナズナの変異体を新しく単離し,RPOTmpの機能を解析したところ,葉緑体分化の過程でNIPはRPOTmpの機能にほとんど影響を与えないことが明らかとなりました。また,NIPは進化的にRPOTmpより古くから獲得されていた可能性も見出しました。葉緑体分化時のRPOTmpの制御メカニズムに関しては従来の仮説を修正する必要がありそうです。振り出しに戻ったような側面もありますが,RPOTmpの機能制御にどのような仕組みがはたらいているのか,今後探究していく上での重要な基盤となる研究と考えています。詳細は学部のウェブサイトにも掲載されています。