植物形態形成グループ

槻木竜二 助教 (Dr. Ryuji Tsugeki)

植物幹細胞の分化、増殖を制御する仕組みにせまる


植物の幹細胞とはどういうものなのか?未分化な状態とは何であるのか?分化能の獲得・維持はどのように制御されているのか?これらは、植物の発生を理解する上で重要な問題であるが、分子レベルでの解明にはほとんど至っていない。植物幹細胞の分化、増殖の制御に関わる遺伝子を単離同定し、解析している。


NOV遺伝子は、植物特異的な新規核タンパク質をコードし、オーキシンを介した細胞分化・器官形成、幹細胞維持などに関わる。NOVが遺伝子発現制御に関わることを明らかにしている。CUV遺伝子は、パン酵母からヒト、植物に広く保存されているスプライシング因子Prp16オーソログをコードする。CUVが、オーキシン生合成や極性輸送、受容、応答に関わる遺伝子の発現を遺伝子特異的、組織特異的に促すこと、オーキシンを介した根端分裂組織の維持などに関わることを明らかにしている。また、葉の発生過程でオーキシンの局所的な生合成が葉脈形成の鍵になっていることを発見した。


幹細胞の未分化状態の維持についての研究は多いが、喪失に着目した研究はほとんどない。植物幹細胞の未分化状態の解除に関わる新規遺伝子として、VAHを同定している。VAHは、複数のWOX遺伝子の発現を負に制御する。幹細胞領域の制限に関わる。VAHは、植物の再生過程においても機能することを明らかにしている。VAHタンパク質と相互作用する因子を分子生化学的に同定している。また、vah変異体の表現型を分子生化学的に解析している。これらから、幹細胞らしさを制御する仕組みの一端を明らかにしたい。