Kindle出版(Kindle edition )のすすめ
電子出版、電子書籍ということばもだいぶ普及してきました。巷では、「紙の本が出せないから電子出版」とか「まず電子書籍で購入して、よかったら紙の本を買う」とか言われています。実際、Kindle本も含め、電子書籍の多くは、紙の本をそのまま電子化したものです。Kindle本 は確かに電子書籍の一種ですが、私達の考えるKindle本は、もはや「書籍」とか「本」という範疇では括れないものだと思っています。いわゆる出版業界の常識でははかれないものです。
少し大げさに感じられるかもしれませんが、現代は、デジタル・テクノロジーの進化がもたらす文化史的転換点です。2023年に出版されたジェフ・ジャービス(Jeff Jarvis)のThe Gutenberg Parenthesis: The Age of Print and Its Lessons for the Age of the Internet 『The Gutenberg Parenthesis(グーテンベルクの括弧)』は、15世紀に始まった印刷の時代が、むしろ人間のコミュニケーションにとって特異な時代であったことを示唆していまます。この500年あまり、ほとんどの情報は本や新聞などの印刷メデイアで伝えられ、印刷された言葉が我々の文化を形成してきました。
グーテンベルクによる印刷技術の発明は、広く人々に情報を共有させるのに役立ってきました。しかし反面、情報を発信する手段が特定の人々に握られることになりました。新聞や雑誌に文章を寄稿することはだれでもできることではないし、著作が出版されることも簡単ではありません。かくして印刷メデイアの発信者は限定され、それゆえ、活字で印刷された言葉が信頼性と権威をもち知識伝承のベイスとなってきたのです。
「女の子たち風船爆弾をつくる」などの著書のある作家の小林エリカさんが、2024年10月20日付けの日本經濟新聞文化欄に「その名を刻む」と題して、自分のおばあちゃんを含め、何も書き残さない、書き残せないまま、生きて、死んでいった人たちのことを書いています。おじいちゃんたちは大概死ぬ直前に「わが生涯」的な立派な私家本を書き親戚に配っていたともあります。私も偉い先生からそういう私家本をたくさんいただきましたが、すべて男性でした。そういえば日経新聞の「私の履歴書」の著者もたいてい男性です。
他人の書いた本を読むばかりで、自分では何も書かずに人生を終えていった人は数しれず。それもこれも紙の本を出すにはお金がかかるからです。
出版社は売れる本でなければ出してくれません。
これまでKLPPが主催した講習会の参加者は、多くが女性でした。名もなき市井の女性こそ、その一人ひとりの尊い人生を記録に残す必要があるのではないでしょうか。
私もkindleで「私の履歴書」を出しています。最初は、一体誰がこんなものを読むのかと思いましたが、藤掛先生が「お孫さんが読みます」といってくれました。私が死んだあと、おばあさんはこんな人生を送ったのだということを知ってほしいと思います。自分は両親や祖父母の若かりし頃のことを何も知りませんでしたから。
誰もが簡単にkindle 出版できます。それも写真をふんだんに盛り込み、リンクもはって、まさにハイブリッドに表現できます。電子書籍出版やkindle 出版に関する手引は既にいろいろ出ていますが、それを読むだけでは実際わかりにくいことも事実です。ご遠慮なくKLPPにご相談ください。
KLPPは、顧問の藤掛先生の深い学識(これは実は恐るべき量の多読によるもの)と長年のICT経験の土台のもとに立ち上がったものです。単なる how-to を扱うものではありません。文化全般への幅広く深い洞察にもとづいて、人々の生活をより豊かにしようとする高邁な哲学があります。
一方、テクノロジーの面白さを、微妙なところまで極め、それを惜しげなく共有する具体性も魅力です。楽しいことを始めましょう。