感覚運動神経科学教室
臨床神経生理学とリハビリテーション現場を結ぶ
トランスレーショナルリサーチの梁山泊
トピックス
2024.11.14 「快挙」
留学生(M1)の杨康敬さんの演題 "Sensorimotor integration differs according to load type during isometric finger abduction"が,第54回日本臨床神経生理学会学術大会(札幌)にて,Best English Presentation Awardsに選ばれ,表彰を受けました.
この内容は今週中に投稿予定です.
2024.06.28 「屈折6年目」
5年連続不採択だった挑戦(萌芽),思い切って開拓にしたら採択されました.これは責任が重い大きな研究ですので,死に物狂いで努力するのみです.
肥満症患者さんでは悪性度の低い全身性の炎症(メタ炎症)により脳内微細環境が激変し,早期から認知機能障害を伴う肥満脳の形成が始まっている場合があります(Obese Brain:肥満脳).その予防と症状改善に挑みます.
2024.05.13 「捨てる神あれば拾う神あり」
“Transcutaneous auricular vagus nerve stimulation enhances short-latency afferent inhibition via central cholinergic system activation”(筆頭 D2 堀之内君,脳神経内科教室との共同研究)がScientific Reportsにアクセプトされました. 耳介から行う迷走神経刺激(taVNS)により,短潜時求心性抑制(SAI)が増強しました.これまでtaVNSの作用機序はNA系神経回路の賦活が有力でしたが,SAIはコリン作動性神経回路のバイオマーカと考えられており,taVNSによりコリン作動性神経回路も賦活する可能性を示しました.
昨年9月からBrian Stimulation, Clinical Neurophysiology, Neuromodulation, Neuroscienceとリジェクトされ続け,ようやくこの日を迎えることができました.
2024.02.14 「グワシの獲得」と書いても審査に通る
公益法人立石科学技術振興財団 2024年度研究助成(A) に採択されました.
「AIロボットと迷走神経刺激によるデュアル・クローズドループ型手指機能訓練法の開発」
前腕の筋電信号をAIが解析し,ロボットハンドに適切なアシスト量を指示する(第1クローズドループ),精度の高い「グワシ」ができた時に,迷走神経を介して脳の報酬系システムに刺激を届ける(第2クローズドループ),という構想です.脳卒中後片麻痺患者さんの手指運動の再獲得と,健常被験者の「グワシ」獲得に,全く同じ神経基盤が関与するわけではありませんが,難しい手指運動の学習にAIロボットと迷走神経刺激の併用が奏功する可能性を検証します.
2024.02.01 大学病院との共同研究始まる
中冨健康科学振興財団 研究助成金に大学病院医師との共同研究が2件採択されました.
「経耳介迷走神経刺激によるコリン作動性神経回路を介した脳賦活効果」
代表 脳神経内科 祢津智久 MD, Ph.D.
「神経障害性疼痛に対する 経頭蓋静磁場刺激の有効性と安全性に関する研究」
代表 麻酔科 楢崎 壮志 MD, Ph.D
2024.1.24 私も連れてって
堀之内峻之君が学振 若手研究者海外挑戦プログラムに採択されました.
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL) のHummel研究室で学ぶ準備が始まりました.
研究テーマ
非侵襲的脳刺激によるリハビリテーション介入効果の促通
リハビリテーションの上肢機能訓練では,患者さんは運動を再獲得,再学習するために同じ動作を反復して行うことを求められます.
適切なコンディショニング刺激を脳に行うことにより,繰り返し行う運動の回数が減り,訓練の効果が長続きできるようになればイイナと考えています.
当研究室では,経頭蓋磁気刺激,直流電流刺激,静磁場刺激という3種類の刺激装置を用意しています.その中でも静磁場刺激について重点的に研究を行っています.
経頭蓋静磁場刺激
Transcranial static magnetic field stimulation: tSMS
2011年にスペインの神経内科医Oliviero医師がヒトの頭皮上に強力なネオジム磁石を置くことにより,一次運動野の興奮性が変化することを報告しました.安価で取り扱いやすい工業製品を利用したtSMSが在宅リハビリテーションの必須アイテムになる日が来ることを念頭に置き,そのために必要な基礎データを構築しているところです.
AIロボットと迷走神経刺激によるデュアル・クローズドループ型手指機能訓練法の開発
手指運動リハビリテーションシステム「MELTz」が納品されました.
筋電図情報をAI解析し,患者さんが行いたい運動に合わせたアシストをする,Neuro-Muscular Machine Interface(桐本造語)です.まことちゃんの「グワシッ」をこれで獲得します.
もちろん,臨床応用研究もやります.
一定の筋力を維持する手指機能,予測性姿勢調節機能,楽器演奏経験者のリズム生成機能に関する研究も行っています.
一緒に研究してくれる大学院生を募集しています