2.1 土中水の分類

降雨による水は土中を浸透していき、一部の水は地下水になります。そのため、地下水面より下の土は飽和状態であり、この部分は飽和水帯と呼ばれます。また、土は毛細管現象により水を吸い上げますので、飽和水帯より上にある土もある高さまでは間隙が水で飽和されています。この部分を毛管水帯と呼びます。毛細管現象については、水理学 1.3 水の毛細管現象を参照して下さい。毛管水帯より高いところを不飽和水帯といいます。イメージは次のような感じです。

土中に含まれる水は、降雨などが浸透した自由水、表面張力が作用した毛管水、土粒子の表面に化学的作用により吸着した吸着水の3種類に分けられます。

吸着水とは土粒子表面に形成された薄い水膜のことです。この薄い水膜は土粒子の表面に帯電された陰イオンと水の中の陽イオンが強く結合することで形成されます。そのため、微細な土粒子同士は吸着水による結合から粘着性を示します。また、粒子が細かくなるほど粒子の比表面積(単位質量あたりの表面積)は大きくなるので、粘着力も強くなります。一方、粗い粒子の場合、薄い水膜はすぐに壊れてしまい、粒子同士が接触してしまうので粘着性は出てきません。

乾燥した砂質土に水を入れると毛細管現象によって水を吸い上げていきます。このときの水が毛管水であり、この吸い上げる力をサクションといいます。砂場でトンネルを作るとき、砂を水で濡らせば比較的安定して掘り進めることができるのは経験的にわかると思います。これもサクションのおかげです。サクションは飽和土では働かず、砂場のトンネルはあっという間に崩れます。

自由水は吸着水や毛管水の外にある水のことであり、電気的な影響やサクションは全く受けずに自由に動くことができます。

また、これら土中水は地上で様々な問題を起こします。その問題を簡単に絵にまとめたものが下図になります。図中の四角で囲まれた文字はすべて土中水によって引き起こされる問題を表しています。これら問題を科学的知見から解決していくために土質力学を学んでいます。

まとめとして、地盤は飽和水帯、毛管水帯、不飽和水帯の3つに分けることができます。また、土中水も自由水、毛管水、吸着水と3つに分類することができます。