水準測量は基準面から各点までの高低差(比高)を測り、標高を求める測量をいいます。土木工事では、地形の高低を測定して構造物を計画し、その計画に従って構造物を所定の高さに建設します。そのため、高低差を求める水準測量は非常に重要であり、測定にあたっては慎重に行う必要があります。
波を静止させ、潮汐による推移の変動を平均化した海面を平均海面といい、その平均海面が地球の全表面を覆ってできた仮定の局面をジオイドといいます。ジオイドは水準測量の標高の基準とされ、日本のジオイドは東京湾平均海面となっています。しかし、水準測量をする際に毎回のように直接的に東京湾平均海面からの高さなどを測定していては時間がいくらあっても足りません。
そこで、水準測量をするときの基準点として水準点がいたるところに設けられています。水準点には精密な標高と位置(緯度と経度)が与えられており、この値は水準原点からの標高や位置となっています。そのため、標高は東京湾平均海面と水準原点の差を確認すれば、全国の水準点の標高が設定できることになります。
現在、東京湾平均海面と水準原点の差は2回の変動の結果24.3900 [m] となっています。変動の一回目は関東大震災、二回目は東日本大震災が原因です。
水準測量には直接水準測量と間接水準測量の2種類があります。直接水準測量は高い精度で高低差を測定できるレベルと標尺(スタッフ)を用いて、直接2点間の高低差を求める水準測量です。間接水準測量は傾斜角や斜距離などを測定し、これらの値を用いて計算から高低差を求める水準測量です。3.2 平板測量の方法で説明したアリダードを使って求める方法も間接水準測量の一種です。
直接水準測量に用いるレベルとは、鉛直に立てた標尺の目盛を正確に測定する器械であり、望遠鏡、水準器、視準線を水平に保つ装置からなります。また、レベルにはハンドレベル、チルチングレベル、オートレベル、デジタルレベルなどがあります。
標尺は目盛を施した棒であり、レベルの水平視準線の位置を読み取るために用いられる器具です。目盛の左側は0.5 [cm] 毎に白黒で塗り分けられており、右側は1.0 [cm] 毎に白黒で塗り分けられています。また、標尺の左側には5.0 [cm] 毎に長い線が出ており、10 [cm] 毎に大きな数字で表記されています。
測定しているときは標尺を前後に揺らす必要があり、測定者は揺れている標尺で一番小さい値を読み取る必要があります。また、測定結果は0.1 [cm] まで読み取ります。
まとめとして、高低差を求める測量を水準測量といい、直接水準測量と間接水準測量の2種類があります。また、直接水準測量はレベルと標尺を用いて行います。