3.2 平板測量の方法

平板測量を行うためにはまず地上の測点上に平板を据え付けないといけません。平板の据え付けは整準求心定位の3条件を満たす必要があります。

整準は三脚の脚頭部が球座の場合と整準ねじ式の場合でやり方が異なってきます。球座の場合はアリダードを平板の長辺または短辺と平行に置き、整準用締付ねじを緩めることで整準を行います。それぞれの方向でアリダードの気泡が中央にあることを確認してから、整準用締付ねじを締めます。

一方、整準ねじ式の場合は3個ある整準ねじのうち、2個の整準ねじを結ぶ線上にアリダードを置き、2個の整準ねじをそれぞれ別方向に回して気泡を中央に導きます。次にアリダードを90°回転させ、残った整準ねじを回して気泡が中央にくるようにします。

求心は平板の点と地上の測点の鉛直線を一致させるために行います。求心器に振り下げをつけ、下げ振りの先端が地上の測点の中心にくるように動かします。

定位は平板の測線と地上の測線の方向を一致させるために行います。磁針箱を用いて定位を行う方法もありますが精度が劣るため、一般的に既知の測点を用いて定位を行います。既知の測点にポールを立て、アリダードの視準糸に重ね、平板を固定します。定位は据え付けは3条件で最も精度に影響を及ぼすため、特に慎重に行う必要があります。

平板測量は細部図根測量細部測量に分けることができます。細部図根測量は測点を増設するために行う測量であり、道線法、前方交会法、後方交会法などが挙げられます。細部測量は地形や地物を図示するために行う測量であり、放射法、側方交会法などがあります。

①道線法

道線法は地上に多角形に設けられた測点を平板を移動させながら図紙上に展開していく方法です。市街地や見通しの悪いところなど、現地に障害があるときに有効です。道線法の手順はA点に整準、求心し、B点を視準して定位させます。次に、AB間の距離を測定し、図紙上にB点を定めていきます。これを繰り返すことで測点を増設します。しかし実際は、図紙上と地上に誤差があり、特にAA'間の長さを閉合誤差といいます。これら誤差の調整量は下図のように比から求めていきます。

②前方交会法

前方交会法は3個の既知点に平板を据え付け、方向線を引いて未知点を求めていく方法です。距離を測定する必要が無いので、直接距離が測れない場合に便利です。また、誤差がなければ未知点は1点で交わるのですが、誤差があると1点で交わらず、三角形が描かれます。この三角形を示誤三角形といい、内接円の直径0.4 [mm] 以内が誤差の範囲内となります。誤差を少なくする方法としては、方向線同士がなす角を30°から150°の範囲にする、各方向線の長さをなるべく等しくするなどが挙げられます。

③後方交会法

後方交会法は未知点に平板を据え付け、3個の既知点を視準して方向線を引き、未知点を求めていく方法です。トレーシングペーパーを使えば定位することなく未知点が求まります。

①放射法

放射法はすでに図紙上に描いた測点に平板を据え付け、目標物を視準し、距離を測定することで地形や地物を作図する方法です。長方形を描くときは一辺の位置を定め、もう一辺の距離を巻尺で測定し、展開していきます。また、距離を測定するときは縮尺を考慮して、[cm] 単位または10 [cm] 単位で読めば大丈夫です。

②側方交会法

側方交会法は直接距離が測れないときに地形や地物を作図する方法であり、山や丘の稜線などを描くのに適しています。まずは、既知点Aに平板を据え付け、未知点を視準し、方向線を引きます。次に、未知点に据え付け、別の既知点Bを視準し、方向線を引きます。このときの交点が未知点であり、既知点を3点以上使用すると精度が向上します。

アリダードの前視準板には左右に目盛が刻まれており、これを分画と呼びます。その1目盛の大きさはアリダード基底部の長さの 1/100であり、分画を使って距離を間接的に求めることができます。

同様に、基準面からB点までの高さも求めることができます。

図のように、平板を据え付けたA点よりB点の方が高いとき、分画の読みは正となり、この場合の角度を仰角といいます。逆に、B点の方が低いとき、分画は負となり、この場合の角度を俯角といいます。

まとめとして、平板測量は細部図根測量と細部測量に分けることができ、細部図根測量には道線法、前方交会法、後方交会法、細部測量には放射線、側方交会法があります。