平板測量は平板とアリダードを用いて地形の距離角度、高低差を図面に一定の縮尺で作図していく測量です。機材が簡素で軽量なため手軽に利用ができますが、十分な技術と経験が求められます。平板測量の長所・短所をまとめると次のようになります。
長所
①野帳を用いないので計算における過失が生じない。
②現場で作図を行うので容易に点検することができる。
③器械の取扱いが簡単で、迅速に作業をすることができる。
④一般に外業のみの作業となる。
短所
①天候の影響を受けやすい。
②紙の伸縮や器械の特性により、高い精度は期待できない。
平板測量に必要な器具としては、測板、三脚、アリダード、求心器、磁針箱、測量針などが挙げられます。
①測板と三脚
測板は表面に紙を張り付け、測量結果を図示していくものであり、三脚の上に取り付けます。反りが生じないように檜または合版製で作られており、大きさは50 [cm] ×40 [cm] のものが一般的に用いられています。平板測量用の三脚は軽くて丈夫な割足三脚がよく用いられています。
②アリダード
アリダードは目標として立てたポールを測板上で視準して、定めた方向線を図示する器具です。アリダードは基部、定規部、前視準板、後視準板、気泡管水準器、外心管からできています。
基部はその他の部位と繋がっている基本的な部分であり、大きさは長さ22または27 [cm]、幅4 [cm]、厚さ1.5 [cm] です。定規部は1/100、1/250、1/300、1/500の縮尺目盛が用意されており、これらを取り付けることによって巻尺で測定した距離を計算することなく図上に表すことができます。
前視準版は中央に張られた視準糸とポールを重ね、視準糸の左右にある目盛を読めば、間接的に距離や高低差を測量することができます。後視準板は上中下と3個の視準孔があり、この孔から前視準版の視準糸とポールを視準します。また、視準孔の高さは目盛の35、20、0と一致しています。傾斜が急な場合は上に引き出すことで視準します。
気泡管は測板が地面に対して水平かどうかを確かめるものであり、僅かにずれているときは外心管を引き起こすことで修正します。
③求心器、磁針箱、測量針
求心器は測板上の点と地上の測点を振り下げによって同一鉛直線上にするための器具です。磁針箱は平板の方位を定めるものです。ただし、磁針箱が示す北(磁北)は真北より少し西にずれているので注意して下さい。測量針はアリダードで視準している目標物を測板上に落とし込むための道具であり、アリダードで線を引く時などのときに役立ちます。
④図紙と鉛筆
図紙は地形や地物を描くための紙であり、一般時はケント紙、高い精度が求められるときは中間にアルミ箔を入れて伸縮を少なくしたアルミケント紙が用いられます。また、鉛筆は黒色の3Hから5Hの硬い芯が用いられます。軟らかいと芯が粉状に散って図紙を汚してしまうためです。
まとめとして、平板測量は外業のみで地形や地物の距離角度、高低差を図面に作図していく測量であり、測板やアリダードを使用します。