「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。事業変革を真に望む製造企業に取り組んでいただきたいと願っています。
生産清流化は1988年にスタートしました。現在の形になるまでには以下のような進展がありました。
1988年 製造企業の生産技術者として、工場の加工リードタイム短縮に取り組みました。工程の再編と連結によって14日→2日を達成。生産清流化の原点となりました。
1992年 ネイメーヘン大学(オランダ)主催のセミナーで発表。トヨタ生産方式を世界に紹介した筑波大学(当時)の門田安弘教授、都立大学(当時)の古川勇二教授(現在職業能力開発総合大学校校長)らと同行しました。消費財の生産工場に対して事務業務を含めた受注~出荷のリードタイムを短縮する構想を発表しました。
1996年 1992年に構想を発表した生産システムが運用開始。受注から出荷までの日数を60日から15日に短縮しました。同時に製品の流通システムと連携することで流通在庫を削減しました。
1998年 耐久生産財の工場に対して製造業務・事務業務の短縮を実施しました。受注から出荷までの日数を90日から45日に短縮しました。
2000年 納期短縮の進め方を方法論としてまとめ発表しました。「モノの流れを管理する 全社的デリバリー管理の考え方と適用事例」 日刊工業新聞社「工場管理」2000年8月号。
2001年 「デリバリー管理 納期・リードタイム・在庫の改善活動」(日刊工業新聞社)を発表。自社製品を持つ見込み生産型企業に関する納期と在庫の改善方法を提示しました。
2004年 コンサルティング機関アルビスを設立。納期と在庫の改善方法論を「清流化」と名づけて再構築しました。「モノと情報の清流化徹底法」(日刊工業新聞社「工場管理」2004年12月号)を発表。
2005年 中小製造企業向けの納期改善活動として「生産清流化」を発表。現場主義+重点主義で進める4段階のモデルと「3流」「3同」の原則を提示しました。
2006年 著書「納期半減で利益2倍 清流化生産徹底推進マニュアル」(アーバンプロデュース)を発表。
2007年 「生産清流化」をバージョンアップ。経営方針との連動を強化しました。
2008年 著書「製造部門部課長のための見える化展開ヒント事典」(アーバンプロデュース)を発表。
「生産清流化」をバージョンアップ。業務の変革の基礎となる「心の変革」を促す生活習慣作りを強化しました。
2009年 「生産清流化」をバージョンアップ。「心の変革」と「業務の変革」に必要な要素を整理しました。また「自律組織構築」を「自律人材育成」に改め、自ら変革できる人材育成の側面を強化しました。
2010年 「納期短縮」を「業務一流化」に改め、「つなぐ化」の「改善方向を決める」を強化しました。また「自律人材育成」を「組織自律化」とし、能力変革と組織変革の要素を再編しました。
2011年 「生産清流化」を構成する「業務一流化」と「組織自律化」に必要な要素を整理し64種のツール群に再編しました。また「情報清流化」を新設しました。
2012年 「生産清流化」のツール群を標語化するとともに、4本柱「見える化」「つなぐ化」「学ぶ化」「分権化」に対する位置づけを整理しました。
2013年 「業務一流化」の32種のツールを再編しました。「組織自律化」は「自己決定化」を強調してツールを見直しました。
2014年 「業務一流化」のツールを再編しました。「流れと時間を見せる」「1点集中で改善する」に関するツールを変更しました。「組織自律化」は「約束を守る」ツールを変更しました。また業務一流化を見積業務に適用した「見積清流化」を新設しました。
2015年 「業務一流化」「組織自律化」のうち9種のツールを改訂しました。特に「個人技を上げる」「チーム力を上げる」ツールを中心に見直しました。
2016年 「業務一流化」「組織自律化」のうち13種のツールを改訂しました。標語の見直しを行い、説明画像と例示を充実させました。
2017年 「組織自律化」のツールの順序と内容を改訂しました。特に「個人技を上げる」ツールの中で納期と約束を守ることを強調しました。
2018年 「業務一流化」「組織自律化」の標語の一部を変更しました。
2019年 「分権化」のツールを改訂し、成果で評価することを強調しました。
2020年 「つなぐ化」のツールを改訂しました。
2021年 「つなぐ化」のツールを改訂しました。
2022年 「見える化」のツールの一部を改訂しました。
2023年 「見える化」のツールを改訂しました。
2024年 「組織自律化」のツールを改訂しました。
「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。時間・業務・組織という見えにくい対象を見える化しながら進めることが特徴です。
「生産清流化」は「業務一流化」と「組織自律化」に関するツール群から構成されています。 最新版では以下のように標語化した64種のツールを用意しています。
見える化で行動を変える
方針と成果を見せる
1 評価指標をきめておく
2 年度方針見せていく
3 実績把握をきめておく
4 月次で結果を共有化
組織と業務を見せる
5 職場と業務を地図で見る
6 作業ルートを地図で見る
7 業務の名前を標準化
8 出入りするモノきめておく
計画と指示を見せる
9 最終納期を明示する
10 負荷状況を明示する
11 日々の行動計画を
12 指図と日報やりやすく
モノと情報の動きを見せる
13 入口出口を明示する
14 経過時間を都度計る
15 資源不足をみきわめる
16 不足資源を手当する
つなぐ化で業務を変える
業務の納期特性を見せる
17 余力はグラフでみきわめる
18 業務周期を記述する
19 怠慢・満員・鈍行・異常
20 同期・同量・同時化で
業務を直流化する
21 モノと情報を見て知る
22 合流やめて直流化
23 職場の括りを変えていく
24 企業の繋ぎを変えていく
直接作業を改善する
25 作業範囲をコンパクト
26 2人作業はムダのもと
27 標準作業を決めていく
28 停滞なくす直結化
付帯作業と例外作業を改善する
29 稼働率を把握する
30 材料待ちはムダのもと
31 特急仕事はバッファで
32 予備日と残業使い分け
学ぶ化で心を変える
約束を守る
33 納期遵守が質も決め
34 やるきっかけを習慣化
35 試行してから拡大へ
36 手直し3回予定する
個人の力量を上げる
37 経営理念を力量へ
38 双方向で評価する
39 半年あとの力量決め
40 成長確認 四半期で
5Sを実行する
41 汚れた会社に明日はない
42 要らない物の置き場きめ
43 整理整頓 情報も
44 掃除が必要 情報も
継続的に改善する
45 やる気は後からついてくる
46 今日の時間は今日使う
47 2%を改善に
48 効果は複利で効いてくる
分権化で組織を変える
チームの常識と習慣を作る
49 IoTよりIoC
50 人と期日を約束し
51 FIDSで改善
52 活動成果を見せていく
自律組織として振舞う
53 顧客の趣味を把握する
54 顧客満足から測る
55 業績は成果で採点する
56 決算書類は部署ごとに
日常業務を自己決定する
57 主管部署は1つだけ
58 判子の数は2つまで
59 予算は自ら決定する
60 部署賃率を把握する
中長期の方向を自己決定する
61 経営理念を掲示する
62 中期計画ローリング
63 人と設備を自主調達
64 唯一無二を物語れ
2025/9/13 相模原市の熊
8月14日に北海道の羅臼岳で26歳の男性がクマに襲われ死亡した。北海道のヒグマの事件は遠い話のように聞こえるが、私が住んでいる神奈川県相模原市ではツキノワグマが生息している。2025年2月には丹沢山系の登山道で60歳代の女性がクマに襲われ手にけがをしている。
登山道だけではない。2023年11月には住宅街でクマが目撃されている。この場所は国道が近い住宅街であり、高尾山から連なる丘陵地である。2017年6月にも、この場所に近いところでクマが目撃されている。
イノシシやシカはもっと身近にいる。私自身、幹線道路で倒れていたイノシシやシカを目撃したことがある。山に近い地域での人口が減少して人間の生活圏が縮小していくと、野生動物の生息域が広がっていくだろう。人口減少局面では野生動物との共生も考える必要がある。
2025/8/30 グローバルビジネスと所得格差
8月28日の報道によると、トヨタ自動車の2025年7月の世界の販売台数と生産台数は、7月としては過去最高を記録したという。前年同月比で販売台数は4.8%増、生産台数は5.3%増である。特に北米では前年同月比で販売台数が19.0%、生産台数が22.3%となった。生産の現地化によってトランプ関税の影響を回避している。
トヨタ自動車を見ていると、日本に投資して海外で販売する輸出型事業よりも、海外へ投資する海外直接投資型事業のほうが良くみえる。海外直接投資型は円高のほうが好都合であり、日本の購買力も上がる。
日本企業が海外直接投資型を志向した場合の問題は、国内産業の空洞化が起こることである。一方、輸出型を志向するならば、高付加価値商品へのシフトが必要である。海外直接投資も高付加価値商品へのシフトも、できる企業とできない企業がある。これが個人の所得格差にもつながる。所得格差に対して日本政府はどういった対策がとれるだろうか。関税による保護貿易主義ではないことだけは確かである。
2025/8/16 今夏の電力消費(再掲)
8/5、群馬県伊勢原市で国内最高気温41.8℃が記録された。8/6も気温が高く、東京電力管内の今夏最高需要を更新した。需要ピークは5,754万kw、供給力は6,742万kwで負荷率85%。太陽光発電のピークは1,313万kwでピーク需要の23%だった。
東京電力管内のピーク電力消費(2001/7/24が過去最大値)
年 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025
月日 8/7 8/9 8/9 7/23 8/7 8/21 8/26 8/2 7/18 7/29 8/6
万kW 4957 5332 5383 5653 5543 5604 5665 5930 5525 5699 5754
2025/8/2 今夏の電力消費
7/18、関東地方が梅雨明けした。2024年と同じ日だったが、実際には6/17以降、関東に梅雨前線がかかることがなく晴天が多かった。東京電力管内のピーク電力消費は、7/25に5,451万kwを記録した。供給力は6,262万kwで負荷率87%。太陽光発電のピークは1,494万kwでピーク需要の27%。
東京電力管内のピーク電力消費(2001/7/24が過去最大値)
年 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025
月日 8/7 8/9 8/9 7/23 8/7 8/21 8/26 8/2 7/18 7/29 7/25
万kW 4957 5332 5383 5653 5543 5604 5665 5930 5525 5699 5451
2025/7/19 法人所得税の行方
参議院議員選挙は7月20日が投票日である。今回は期日前に投票する人が多く、最終的な投票率も高くなりそうだ。最大の争点は物価高対策である。与党の公明党を含めて消費税減税を唱える政党が多い。
税収の議論で欠けているは、所得税に関してである。財政規律を重視するならば、消費減税の一方で増税もしなくてはならない。1989年に消費税が導入されて以降、消費税は一貫して増税、法人所得税は減税の方向に改訂されてきた。問題なのは法人所得税が小規模事業者に対する優遇はあるものの、基本は一定税率であることである。個人の所得税が累進課税となっているのに対してバランスを欠いている。
私は、消費減税をする一方で、法人所得税を累進性課税とするように改訂すべきと考える。労働者の約7割を占める中小企業勤務の有権者は歓迎すると思うのだがどうだろうか。同時に地方税である法人住民税や固定資産税も累進課税としたらよい。
2025/7/5 参議院議員選挙と税金
7月3日、参議院議員選挙が公示された。物価高対策が注目され、一時金支給を唱える自民党と消費税減税を唱える他政党との争いになっているように見える。財源からみると財政規律派と、国債を増やしても国はデフォルトしないという現代貨幣理論派の争いかもしれない。国債が破綻した場合、国はデフォルトしなくても、国民にはインフレ・金利上昇・円安などが襲ってくるのだが。
議論に欠けているのは、税の使い道のほうである。国税庁ホームページの学習コーナーを見ると、様々な疑問が浮かび上がる、2024年度の当初予算112.6兆円のうち、社会保障関連費が38兆円近くある。なぜ健康保険料や年金の負担の他に、国税からこれほどの歳出があるのだろうか。地方交付税交付金等が18兆円近くあるが、なぜ地方税では足りないのか。防衛関連費が8兆円近くあるが、なぜ公共事業関連費や文教及び科学関連費より多いのか。
もうひとつ欠けているのは資産の議論である。2023年度の国の財務書類によると総資産は年度末で778兆円ある。企業経営では、資産をスリム化して借入を減らすのは常套手段である。国会でバランスシートの議論は不足しているのではないか。
2025/6/21 原発を持つ国の防衛は
6月13日にイスラエル軍が始めたイランへの攻撃は、まず核関連施が標的だった。イランの核兵器開発を止めることがイスラエルの大義となっている。イラン側からの応戦もあり、戦争状態となっている。米国のトランプ大統領が紛争への関与を強めようとしており、収束するのか拡大するのかは不透明である。
6月19日にイスラエル軍は、イラン西部で建設中の原子炉を攻撃した。稼働していないため放射線の影響はなかったとされる。だが、ウクライナでも明らかになったように、発電所を標的としたミサイルを全部撃ち落とすことはできない。つまり、通常兵器でも放射線被ばくを伴う攻撃ができるのだ。
ひるがえって原発と核燃料を多数抱える日本の防衛を考えると、重要なのは迎撃システムやアラートを整備することではないだろう。重要なのは、相手に攻撃させない外交やソフトパワーの強化である。。
2025/6/7 令和の米騒動の行方
2024年から続く消費者米価の高止まりに関して、農水大臣の交代、備蓄米の放出。5キロ2,000円での販売など、5月以降ようやく動きがでてきた。米価の高騰の原因は、流通機構などいくつからあるが、主要なものは減反政策からくる需給バランスの崩れだろう。
柱となる対策は、減反政策をやめて市場原理を導入することである。これによって農家の大規模化・法人化が進むことになるが、具体的な政策は、単純ではない。遊休農地の管理団体強化、事業承継のマッチング、農地の相続税制、農業法人への税制優遇、就農者への研修、信用保証制度の拡充による資金調達支援など多面的な政策が必要となる。
農家だけでなく、JAの事業転換も必要である。JAの事業転換は、石破首相は農水大臣時代、小泉大臣は党の農林部会長時代にそれぞれ挑戦して失敗した過去がある。今度はどうするのか。
2025/5/24 グローバルサウスの台頭と日本の役割
ゴールドマンサックスの予測によると、2050年の世界のGDPは1位が中国、2位が米国、3位がインド、4位がインドネシアとなっている。さらに2075年の予測では、アフリカといったグローバルサウスとされる国が台頭してくる。
中国の一帯一路構想は、こうした動きを強固にしようとしている。中国が、アジアやアフリカの国の港湾、鉄道、道路、エネルギー施設への援助をすることで、世界経済を活性化させ、中国製品の市場を拡大しようとするものである。
2025年現在、こうした中国の戦略的な国際貿易政策と、トランプ政権下の米国の内向きな政策の差が際立ってきている。日本の生き残り策はどこにあるだろうか。中国の動きに呼応しつつ、強みのある港湾、鉄道、道路、エネルギーなどのインフラ整備に関する技術を活かす方向ではないかと思う。
2025/5/10 新ローマ教皇が決定
4月21日にローマ教皇フランシスコが死去した。現地時間の5月8日には、新たなローマ教皇を決める選挙であるコンクラーベの結果がでた。新教皇には、アメリカ出身のロバート・プレヴォストスト枢機卿が選出された。
アメリカ出身と聞いて気になるのはトランプ大統領の施策への影響である。2021年の調査によると、アメリカのキリスト教信者の比率は63%であるという。このうち、プロテスタントが40%、カトリックが21%を占める。
トランプ大統領は、妊娠中絶を認めないプロテスタント福音派からの支持を受けるとされる。前教皇のフランシスコはカトリックの中でも妊娠中絶を認める改革派に属するとされた。新教皇はどうなのか、気になるところではあるが、日本人には感覚的によくわからない部分でもある。
2025/4/26 分断される米国
4月23日の報道によると、米国カリフォルニア州のGDPが日本を上回ったという。2024年の名目GDPは、日本の4兆200億ドルに対してカリフォルニアは4兆1000億ドルだそうだ。日本の人口1億2393万人に対して、カリフォルニアは3943万人だから、一人あたりのGDPでは日本の3.2倍となる。
米国の州別の一人あたりGDPは、首位のワシントンDCから最下位のミシシッピまで約5倍の格差がある。トランプ大統領の関税政策で、この格差は拡大するのではないか。ちなみに日本の都道府県別の一人あたりGDPは、首位の東京都から最下位の奈良県まで3倍弱の格差である。
米国では内戦や州の独立が発生する可能性が高まっている。日本はこうしたリスクを想定した舵取りが必要だろう。
2025/4/12 沈みゆく米国
4月2日、米国が貿易相手国に課す相互関税が発表された。日本の税率は24%となるという。4月9日には10%を超える部分の適用が90日停止され、世界の株価は乱高下している。
私は、米国の高関税政策と政府機関の規模縮小が、米国内では所得減税につながり、高所得者と低所得者の分断が進むと予想している。これは国際的にアメリカの地位低下が大幅に加速することにつながる。日本は、沈みゆく大国に従属するのか、距離をとるのかの分岐点に来ている。従属すれば安全保障面の要求も受け入れることになるだろう。具体的には米国製の武器購入の上乗せである。自衛隊が台湾有事の際に前線に立たされることも確定しそうである。
米国自体も内戦や州の独立が発生する可能性もありうる。未来の米国はリスクフルである。米国のGDPは世界一といっても25%程度である。米国以外の75%と連携していく道はあるはずだ。
2025/3/29 台湾有事を想定した日本の行動とは
3月28日の報道によると、政府は台湾有事を念頭に置いた石垣島、宮古島などの先島諸島からの避難計画を公表した。12万人を6日間で九州と山口県に避難させるという。
そもそも、なぜ台湾有事で紛争当事者ではない先島諸島の住民の避難を想定するのか。また、避難を想定しない沖縄本島との違いはなにか。先島諸島には自衛隊が駐屯していて、米軍は駐留していないからではないのか。つまり、台湾有事の場合に、自衛隊のみが米軍の下請けとして行動する想定ではないか。
3月24日には自衛隊に統合作戦司令部が発足した。ひとつの中国の立場をとる日本と米国が、台湾有事の際にどんな行動をとるつもりなのか。住民の避難計画の前に公表すべきことがある。
2025/3/15 新大久保のコリアンタウン化
知り合いの20歳台の女性が韓国旅行に行ってきたという。彼女は韓国グルメが好きで新大久保にも通っている。新大久保のコリアンタウン化はいつ始まったのだろうか。
私は1960年代の中盤に習い事で新大久保駅を利用していた。1970年代中盤には新大久保駅近くの高校の生徒と交流があった。1980年前後には大学への通学に新大久保駅を利用していた。このころコリアンタウンにつながるものはロッテの新宿工場だけだった。その後の記憶では、まず裏通りからコリア系の店ができ始め、やがて大久保通りに店が増えていった。
調べてみると、コリア系の店ができはじめたのは2000年頃、2003年に「冬のソナタ」のヒットで韓流ブームが起き、2008年ごろまでに表通りの店が大幅に増えたらしい。最近ではグルメだけでなく韓国製コスメも人気で、日本最大のコリアンタウンの活況は続いている。
2025/3/1 アメリカ高関税の行先
2月27日の報道によると、アメリカのトランプ大統領は、対カナダとメキシコの関税を4月2日に発動することを宣言した。同日に、対中国の関税も10%から20%への変更を示唆している。
高関税政策が本格的に始動する一方で、トランプ大統領は政府機関の規模縮小を目指している。関税は消費者が負担することになるので税収が増える一方で、政府支出は減らすという矛盾がでてくる。矛盾を解決するには所得税減税に動くのではないか。そうなれば、富裕層を優遇することになる。
政府機関の規模縮小で公共投資や社会福祉が減り、高関税で物価が上がる。この影響が大きいのは低所得者層である。結果としては社会の分断がさらに進むことにならないか。分断の進行は、アメリカの長期停滞と国際的な地位低下をもたらす可能性がある。日本の対米政策はどうするのか。
2025/2/15 インフラの老朽化
1月28日、埼玉県八潮市の道路で、陥没が発生した。陥没発生直後に通りかかったトラックが穴に落ちた。大口径の下水道管が破損したことが陥没の原因である。その後、穴は拡大し、トラックの運転台部分は現在も引き揚げられていない。
大規模な道路陥没は、2018年11月に発生した福岡県博多駅近くのものが記憶に新しい。この時は地下鉄のトンネル工事が原因だった。だが八潮市と同様に水道管や下水道管の破損が原因の陥没は、全国各所で発生しているようである。背景として、高度成長期に敷設された下水道管が、耐用年数とされる50年を超えても使い続けられていることが指摘されている。
一方、古くても使い続けられているインフラもある。JR中央線の多摩川にかかる橋梁では、1889年開通時の橋脚が残っている(参考サイト)。江戸城の外堀であった神田川などに残る石積みは、江戸時代のものが残っている。インフラの品質、耐用年数、保守を総合的に見直す必要がある。
2025/2/1 航空管制の現在と未来
米国ワシントン郊外のレーガン・ナショナル空港で、現地時間1月29日の21時頃、民間旅客機と米軍ヘリコプターが空中衝突した。ポトマック川に墜落した旅客機と米軍機には、それぞれ64人と3人が搭乗していたが、全員死亡とみられている。
間接的な原因のひとつとして挙げられているのは、事故当時、管制官が1人だったことだ。通常は2人担当するところを人員不足で1人となっていたという。短期的には人員不足への対策が急務だろう。
将来的には航空管制の自動化も進みそうだ。FAA(連邦航空局)が推進する次世代の航空交通管理システムでは、航空機同士が管制官を経ずに直接データをやりとりすることが可能になるという。またAIを活用した自動衝突回避システムや、管制官が遠隔地で勤務するリモート・バーチャルタワーも既に導入されている場所がある。AI利用については学習データが多い米国と中国が有利になるのではないか。
2025/1/18 マイナンバーカードを紛失したら
マイナンバーカードの交付は2016年1月から始まった。私は初期に取得したため、2025年2月の誕生日で10年の有効期限が切れる。今回カードの更新手続きをした。申請してからカード完成までに約3週間かかった。さらに完成したものを市役所に取りに行くには事前予約が必要だった。年末年始を挟んだため、申請から取得までに38日を要した。
市役所で新しいマイナンバーを貰うついでに、紛失した場合の再発行にかかる期間を尋ねた。「約1か月」との回答だった。マイナンバーを紛失すると保険証がない期間が発生する。病院へ行く場合どうなるのだろうか。
2025年3月24日からは運転免許証との紐づけが始まる。当面は今持っている免許証と併用することになるが、次回、運転免許証を更新する時に悩むことになる。紙の免許証を発行すると更新料が高くなるらしいが、今の運転免許証は紛失時しても申請から即日で再発行される。一方、運転免許証をマイナンバーカードに統合すると、紛失したら1か月間運転を控えるか、免許証不携帯の反則金覚悟で運転することになる。
2025/1/4 USスチール買収計画の中止命令
1/3、米国のバイデン大統領は日本製鉄によるUSスチール買収計画の中止を命じた。鉄鋼メーカーが日本企業に買収された場合、安全保障上の懸念が生じるとの理由である。日本製鉄とUSスチールは、法的措置を検討しているとされる。
他国の資本参加が安全保証に影響するという理屈を拡張すると、米国だけでなく各国が保護主義を強める懸念がある。対象は、製鉄だけでなくエネルギー・半導体などにも拡張されるだろう。さらに食料生産なども広義の安全保証にかかわってくる。
本来、国を超えた投資や貿易は、互いの国の強みを活かす互恵的な活動である。これを安全保障や国内産業保護の理由で制限すると、結果としては自国の物価上昇を招き、強みのある産業も足を引っ張られる。目指すべきは、敵対関係の下での保護主義ではなく、友好関係の下での財の自由な流通であろう。
2024/12/21 ホンダと日産の経営統合
12/19、ホンダと日産が経営統合に向けて協議中との報道があった。8月にはソフトウエアの開発やEVで、部品共通化を進める合意がされていた。今回の報道はさらに一歩進んだものになる。
部品共通化の先にあるのは、調達の統合、資本提携、持ち株会社、事業会社統合、部品会社統合、販売会社統合、ブランド統合、車種統合などが考えられる。だが、どこまで進むのかまだわからない。
過去にはエンジン技術で存在感を示していた両社であるが、EV化の流れには逆らえない。破壊的イノベーションが起こった業界では、体力がない企業から撤退を余儀なくされる。私は写真業界のデジタル化で身をもって体験した。軽自動車以外で存在感が薄い三菱自動車が、軽自動車が好調なホンダとどう折り合うのかも気になるところである。
2024/12/7 韓国の戒厳令から学ぶこと
12月3日の深夜、韓国の尹大統領が、非常戒厳を宣言した。韓国の国会議員は軍の包囲を乗り越えて議会に集結し、戒厳令の解除要求を決議、4日朝には戒厳令が解除された。6日には野党が、尹大統領の非常戒厳宣言は憲法違反だとして、弾劾訴追案を国会に提出した。尹大統領が戒厳令の理由とした、北朝鮮や反国家勢力の脅威には直面していないというのが弾劾の理由である。
今回の韓国の騒動で、戒厳令の恐ろしさと、メディアを含む権力分立の重要性を目の当たりにした。戒厳令や非常事態宣言は、一時的な独裁状態を作るものである。悪意を持った権力者に使われると、永続的な独裁状態を作れる。日本に非常事態宣言があり悪用された場合を想像してみよう。弱体化した既存メディアと権力者に盲従しがちな国民性を考えると、簡単に独裁状態が作れるだろう。
米国の権力分立の状況も気になる。トランプ次期大統領は、議会・司法・SNSも掌握しつつある。米国はロシアや中国以上の権威主義国家となるかもしれない。日本は、米国盲従姿勢からの脱却が必要だろう。
2024/11/23 那覇基地で退避壕建設
11月21日の報道によると、航空自衛隊の那覇基地で退避壕の建設が始まっていることがわかった。避難壕はミサイルなどが着弾した時に、自衛隊員が退避する場所となる。台湾有事による不測の事態を想定したものとされる。
台湾有事の場合、那覇基地にミサイルが飛んでくるというのは、どういう想定だろうか。日本政府は、ひとつの中国という立場をとるので、台湾有事の際には基本的に非介入なのではないか。那覇基地にミサイルが飛んでくるとすれば、自衛隊が米軍の下請けとして働いた場合と、米軍が共同使用している那覇基地の管制施設が狙われた場合であろう。
在日米軍の存在は、日本にとって対中国の軍事リスクを上げている。対北朝鮮のリスクも同じだろう。
2024/11/9 日米地位協定の見直しの可能性
日米の選挙の季節が終わった。米国大統領選挙ではトランプ氏が予想を上回る支持を得て復帰することが決まった。日本は支持率の低い石破首相が対応することになる。
トランプ・石破の組み合わせで個人的に唯一期待しているのが、日米地位協定の見直しである。トランプ大統領になれば、在日米軍の撤退をちらつかせながら思いやり予算の増額を迫るだろう。そこで石破首相が「どうぞ撤退してください」と言えれば、在日米軍の撤退や日米地位協定の見直しにつながる可能性が出てくる。
海外での軍事に金をかけたくないトランプならば、自分から仕掛けたディールを進める可能性がないだろうか。今の安全保障環境を考えると、在日米軍の存在は、ロシアからの侵略リスクを下げる一方で、北朝鮮や中国での有事の際に攻撃の標的になるリスクを上げているように思える。日米ともにWin-Winのディールではないか。米軍は大反対するだろうが、それを無視できるのはトランプ大統領だけだろう。
2024/10/26 金権裏金党の選挙対策
衆院選の選挙期間中の10月23日にしんぶん赤旗から「裏金非公認に2000万円」の報道があった。裏金問題で衆院選で非公認になった候補が代表の党支部に、自民党本部から衆院選公示直後に政党助成金2000万円が振り込まれたというものである。問題なのは衆院選公示直後というタイミングと公認候補と同額だったという点である。自民党の金権裏金体質は、選挙対策にも現れるということだろう。
実は9月の自民党総裁選でも金権裏金事件があった。9月26日に富山のチューリップテレビが、「党員でもないのになぜ?投票用紙が届く」という報道をしていた。さらに10月5日に同テレビは「架空の家族5人にも投票用紙が届く」という報道をしていた。
不思議なのは、総裁選の投票権を得るための入党手続きと党費支払いは誰がやっているかということである。ここからは憶測であるが、自民党の入党、党費徴収、総裁選挙管理の作業には、党本部、県連、支部が関わっていて、そのどこかに抜け穴があるのだと思う。考えたくはないが、架空党員の党費にも税金が原資である政党助成金が使われている可能性も否定はできない。
2024/10/12 太陽フレアとオーロラ
10月11日未明、「太陽フレア」と呼ばれる爆発現象で発生した太陽由来の帯電粒子が地球に到達した。その結果、地球の磁場が乱れる「磁気嵐」が発生したという。
大規模な太陽フレアが発生すると、低緯度地域でオーロラが見られるとされる。今回、日本では北海道、石川県、京都府、群馬県、栃木県などで観測されたようである。高緯度地域でのオーロラは緑色のものが多いが、低緯度地域のオーロラは赤色となる。古来、日本では「赤気」と呼ばれ、日本書紀にも記されている。
太陽フレアの発生で、GPSや通信網・電力系統が停止する恐れがある。だが、今回は大きな問題は発生していないようである。1989年には太陽フレアの影響で、カナダのケベック州で9時間の停電が発生した。地震・津波・噴火・台風などと同様、発生が避けられない天災として、社会も個人も対応を計画しておく必要がある。
2024/9/28 能登半島の大雨災害
9月20日から22日にかけて、山形県・新潟県・石川県で線状降水帯による大雨が降った。特に石川県の能登半島では土砂崩れ、断水などで、孤立地域や死者行方不明者が発生した。9月27日までに孤立地域は解消したが、死者12名、行方不明者5名となっている。
今回の被災地域は、2024年1月1日の能登半島地震のそれと重なっている。地震で避難した先の仮設住宅でも浸水があった。地震被害からの復興に追い打ちをかける状態となっている。
地震や大雨は自然災害で避けられない部分はある。しかし被災前の減災への取り組みや被災後の復興に十分な資金と人手をかけていないことによる被害の拡大は、人災である。個人や自治体の対策には限界がある。政府には防災政策と予算の見直しを要望したい。
2024/9/14 最強クラスの台風11号
9月1日にフィリピン近海で発生した台風11号は、9月5日には中国海南島の東で最低気圧915hPa、最大風速55m/sに達し、9月7日から8日にかけてベトナムへ上陸した。フィリピン、中国、ベトナムでは死者を伴う被害が発生し、特にベトナムでは死者・行方不明者が300人を超える大災害となった。
日本でこの強さの台風が上陸したことがあるのは沖縄県だけである。例えば2003年の台風14号は最低気圧910hPa、最大風速55m/sで宮古島を襲った。風力発電の風車や電柱がなぎ倒された画像は衝撃だった。
今年8月に九州に上陸した台風10号は、屋久島付近で最低気圧935hPa、最大風速50m/sだった。東海や関東でも大雨を降らせたことは記憶に新しい。日本近海の海水温が上昇傾向にある現在、さらに強力な11号クラスの台風が九州や四国に上陸する可能性は否定できない。
2024/8/31 のろのろ台風
台風10号の動きが遅い。8月29日8時頃に鹿児島県川内市付近に上陸してから8月31日0時現在、徳島県三好市あたりにある。 約500kmの移動に40時間かかったことになる。時速換算では12㎞と自転車並みである。これまで九州四国だけでなく東海から関東にかけても長時間続く雨を降らせ、水害やがけ崩れを発生させている。
台風10号の特徴は速度だけではない。奄美大島から屋久島にかけての近海で気圧が935hPaまで急低下したことである。これは黒潮の海水温が高いことを示唆している。
今後も日本近海で発達する台風が増えることが予想される。日本列島は地震だけでなく、台風や水害への対策も必須である。日本の本格的な治水工事は、4世紀に仁徳天皇が行ったものに遡るとされる。だが現代でも大きな行政課題であろう。
2024/8/17 自助まかせの災害対策
8月8日、宮崎県の日向灘を震源とする震度6弱の地震が発生した。9日には神奈川で震度5弱の地震が発生した。それぞれ南海トラフ地震、関東大震災との関連が懸念されている。食品スーパーではペットボトル入りの水や飲料の品切れが発生しているという。
災害対策として3日ぶんの水を備蓄することが推奨されている。1人1日3Lで4人家族ならば3日で36Lである。かなりの量である。一方、企業に対しても災害時の水を備蓄することが推奨されている。これも3日ぶんと言われている。40人の企業ならば360Lとなる。保管場所の確保や、水の入れ替えなどかなりの手間となる。
しかし勤務時間中に災害が発生したとき、社員全員が3日間会社に留まることは想像しにくい。家族のいる人は帰宅しようとするだろうし、自治体の避難場所もある。企業の3日ぶんはオーバースペックではないか。水は自治体で保管しているぶんもあるだろうし、飲み水以外に利用できる公共の井戸を掘っている地域もある。災害対策は自助まかせではなく共助・公助を含めて総合的に行いたい。
2024/8/3 今夏の電力消費
7/18、関東地方が梅雨明けした。最高気温が35℃を超える日が続いたが、7/29は特に暑かった。この日の東京電力管内のピーク電力消費は、今夏最大の5,699万kwとなった。供給力は6,232万kwであり、91%の負荷率だった。この日の太陽光発電の供給ピークは1,323万kwで、最大需要の23%であった。
東京電力管内のピーク電力消費(2001/7/24が過去最大値)
年 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024
月日 8/7 8/9 8/9 7/23 8/7 8/21 8/26 8/2 7/18 7/29
万kW 4957 5332 5383 5653 5543 5604 5665 5930 5525 5699
2024/7/20 Divided States of America
7月13日、米国のトランプ前大統領が選挙集会中に狙撃された。8発の銃弾で軽傷だったトランプ氏の他に、死亡者1名と重傷者2名をだした。
この事件は、米国大統領選挙へ大きな影響を与えている。しかし私が懸念しているのは米国の内戦勃発である。トランプ氏が選挙に勝ったとしても負けたとしても内戦の引き金になる可能性がある。日本の地政学的リスクとして、台湾有事、朝鮮半島有事、ロシア侵攻などが想定されている。これらよりも米国内戦のほうが発生可能性が高まったのではないか。
もし発生した場合、日本への影響は計り知れない。最悪、自衛隊が参戦して真珠湾を攻撃するという可能性はゼロではない。その機に乗じた中国、北朝鮮、ロシアの動きも出るだろう。そうなると、日本の政治家とそれを選ぶ市民の、真の政治力が試される時代になる。
2024/7/6 株値の意味
7月4日、東京株式市場の日経平均株価終値は40,913円となり、3月22日の最高値を更新した。今年は1989年12月29日の最高値38,915円を何度か更新している。株式投資家にとっては喜ばしいことだろう。
だが、海外から見たらどうだろうか。1989年、円高が進んだ1995年、現在2024年それぞれの年間最高値を年間平均為替レートで換算してみた。
年 日経最高値 ドル 人民元 ドル換算 人民元換算
1989年 38,915円 138円 36.7円 282ドル 1,060元
1995年 20,023円 94円 11.3円 213ドル 1,771元
2024年 40,913円 152円 21.1円 269ドル 1,939元
ドルを持つ投資家と人民元を持つ投資家からみると、日本の株価の意味は違ってくる。
2024/6/22 会費5万円のパーティとは
6月19日、政治資金規正法の改正案が参議院本会議で可決された。もともとザル法と呼ばれていたザルの目を、少しだけ細かくしただけの規制法ができあがった。
突っ込みどころは満載だが、パーティー券の購入者を公開する基準額だけを指摘しておこう。現在の「20万円超」から改正後は「5万円超」に変えるものである。
政治家のパーティとは、懇親や報告などが本来の目的であろう。私は、この目的を否定しない。だが、この目的ならば、パーティにかかる原価を基準に会費を徴収するのが筋だろう。海外渡航でも伴わないかぎり、原価が、ひとりあたり20万円を超えるパーティなど、そもそも存在しない。原価5万円もないだろう。原価以上の会費は寄付だし、原価割れの会費は買収になる。購入者の公開よりも、会費と原価の公開が求められる。
2024/6/8 戦場のサプライチェーン
6月6日の報道によると、フランスはウクライナに戦闘機2000機を提供する計画を表明した。ウクライナに対して武器を提供している国は、アメリカやイギリスをはじめとして30か国以上になるという。日本も防弾チョッキとヘルメットを提供している。
日本の物資が使われているのは、これだけだろうか。部品レベルでは、もっと使われている可能性がある。2022年6月の報道によると、ロシア軍のドローンから、日本製のカメラやエンジンが発見されている。また2023年12月の報道でも、ロシアの無人機やミサイルの部品から日本製のIC、エンジン、カメラなどが見つかっている。
実は、ロシアの無人機やミサイル部品の74%は米国製だったという。ウクライナ戦争が長引くほどロシアとウクライナの兵士が傷つく一方で、米国の兵器関連産業が儲かる構造になっている。日本もサプライチェーンを通じて殺傷に関与していく。
2024/5/25 ブラック団体の働かせ方
5月13日、中央教育審議会は、公立学校教員の給与増や働き方改革などの具体策を盛り込んだ審議結果をまとめた。残業代の代わりとなっている「教職調整額」の増額を諮問している。しかしテーマであった残業代を出すしくみについては答えを出していない。
問題となっている教員の勤務実態は、どのようなものであろうか。教員勤務実態調査(令和4年度)を確認した。2022年の10月と11月の平均在校時間で見ると、中学校教諭の平日平均が11:01、土日平均が2:18となっている。週に換算すると59:41である。いずれも2016年の前回調査よりも減少しているが、これは新型コロナの影響ではないか。2016年の中学校教諭の週換算は64:24だった。「平均」の「在校時間」でこの数字は、立派なブラック団体である。
これが、お金の問題ではないことは、数字だけでも明らかであろう。働き方ではなく働かせ方の改革が必要である。教師の働き方が子どもの教育に影響することを考えると、問題の大きさは少子化に匹敵する。
2024/5/11 太平洋の島国の競争
最近の日本経済や円安の動向を見ていると、日本は米国・中国の2大大国の狭間で生きる衰退途上国となっている。私は将来の日本は、太平洋の島国との競争になると考えている。具体的には、台湾・フィリピン・インドネシアとの競争である。
IMFによる2023年の名目GDPランキングでは以下のようになっている。
4位 日本
16位 インドネシア
22位 台湾
34位 フィリピン
日本と他の3国とは少し差がある。しかし1人当たり名目GDPのランキングでは次のようになる。
34位 日本
39位 台湾
117位 インドネシア
129位 フィリピン
台湾とは僅差、インドネシア・フィリピンとは大差がある。しかし将来はどうだろうか。ゴールドマン・サックスが2023年に発表した2075年のGDPランキングの予測は以下のようになっている。
4位 インドネシア
12位 日本
14位 フィリピン
15位までのランキング外 台湾
インドネシアは人口の多さと成長率の高さで、2023年の日本と同じランクまで上昇する。日本はフィリピンと僅差になってくる。
実は、私の関心はGDPではなく幸福度である。国連持続可能な開発ソリューションネットワークの2023年版の世界幸福度報告では以下のようなランキングである。
27位 台湾
47位 日本
76位 フィリピン
84位 インドネシア
4国の中では台湾がトップを走るが、将来どのように変わるかである。
2024/4/27 首相と軍服
4月19日、中国人民解放軍に「情報支援部隊」が設立されたとの報道があった。私が注目したのは設立式典に出席した習近平主席だった。いつものスーツと違い人民服のような服を着ていた。過去には習主席が、迷彩服で現場を視察している画像も公開されている。国のトップが軍に接する時の姿は、国内外に様々なメッセージを発信する。
アメリカをはじめとする欧米では軍事パレードに出席する大統領や首相はスーツ姿である。プーチンもしかりである。国のトップが軍隊に接するときにスーツを着用するのは、文民統制の証であろう。中国人民解放軍は国軍ではないから、主席は人民服なのだろうか。
国軍に対してスーツ以外を着る代表は、北朝鮮である。金正恩総書記が軍事パレードやミサイルの発射に立ち会う姿を確認すると、スーツも着ているが、人民服、白い元帥服と多様である。日本も安倍晋三が首相時代に、スーツの上から迷彩服を羽織ってを着て戦車に乗っている写真が公開されたことがある。岸田首相も緑色の作業着にヘルメットをかぶった姿で戦車に乗っている姿が公開された。国軍に対するトップの服装に関しては、日本は中国や北朝鮮に近いようである。
2024/4/13 日本の黄昏
円安が進行している。4月13日の時点では、対ドルで153円台となっている。輸出企業には福音だが、輸入品を扱う企業や一般消費者にとっては支出増加につながる。
円安は国の弱体化を示す指標であろう。円安の先に訪れる光景は、幸福を予感させない。現在の日本では、防衛費予算の増大、次期戦闘機の第三国への輸出解禁、自衛官の靖国神社への集団参拝に加えて円安が進みつつある。
この状況は1931年の満州事変の前夜に似てきている。満州事変では戦費調達によって円が急落した。いま海外で、これに近い状況にあるのが北朝鮮である。軍備に金をつぎ込み、指導者が宗主国を訪問する姿はおなじみである。しかし、日本の指導者の行動もこれに似てきている。
2024/3/30 武器輸出の先
3月26日、政府はイギリス・イタリアと共同で開発する次期戦闘機について、第三国への輸出解禁を閣議決定した。2023年12月には、防衛装備移転三原則を改訂し、迎撃ミサイル、大砲、弾薬などを輸出可能にした。これをさらに拡張したことになる。
一連の流れは、日本が米国やNATOの武器生産下請け国であることを、国際的にアナウンスしているに等しい。しかも憲法の平和主義を無視する決定が、国会の議論を経ずに行われていることは大きな問題である。
今年1月には自衛官の靖国神社への集団参拝が問題となった。防衛予算の増大、武器輸出、自衛隊に関する現在の動きは、軍部が政治的に台頭した1931年の満州事変の前夜を想起させる。100年の時を経て「いつか来た道」に回帰しているのではないか。
2024/3/16 インフレ時代のマインドセット
3月15日の報道によると、日銀は19日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除を決める見通しであるという。利上げは2007年以来17年ぶりとなるとされる。決定の根拠は、春闘の平均賃上げ率が33年ぶりの高さであること、物価高が続いていることである。
円安を背景にした好業績の大企業では賃上げはできるのだろう。だが。日本の雇用の7割を占める中小企業の賃上げと業績改善は進んでいない。この状況で金利を上げると低業績の中小企業の体力を奪うことになる。また大企業の賃金上昇は、中小企業の人材調達難につながる。
物価高が続いていても、買い手の消費者や大企業のバイヤーはデフレマインドから抜け切れていない。マインドは買い手市場のままでであり、資材や労務費の上昇を知っていても、値切って買おうとする。売り手の中小企業も安売りマインドが染みついている。長年のデフレ経験からくる価格に関するマインドセットを入れ替えないかぎり、日本発のインフレは定着しないのではないか。
2024/3/2 海外流出する日本人
日本の株価が最高値を更新する一方、円高も進行している。1ドル150円台が常態となりつつある。安い国ニッポンは外国人観光客には人気だが、外国人労働者には敬遠されつつある。さらに日本人労働者の中にも、日本での就労を敬遠する人が増加しているという。
以前は研究者などの海外流出が話題だった。ところが現在では海外に出稼ぎに向かう若者が増えているという。2023年2月のNHKクローズアップ現代で特集されていたが、若者に人気なのはワーキングホリデー制度を利用したオーストラリアでの就労だという。新型コロナの終息で、その人数は増加している。
この先にあるのは海外移民の増加であろう。日本人が海外移民を受け入れるのではなく、海外へ移民する日本人の増加である。明治期のハワイ移民や大正期から戦前のブラジル移民など、集団での移民が再び起きるのではないか。
2024/2/17 虚構の株高
2月16日、日経平均株価は終値で38,487円を記録した。これは1989年12月の史上最高値38,915円に迫る水準である。日本の株高は、アメリカの株高、半導体需要増、円安が三大要因とされているようである。
一般市民には株高に関して1989年のような熱はない。当時は不動産バブルや内需拡大といった国内需要が要因だった。しかし現在の株高は海外要因だからであろう。
折しも日本のGDPは、ドイツに抜かれて世界4位に転落したとの報道もあった。こちらも円安が要因のひとつとされる。だが為替だけの問題ではなさそうである。ドイツ株価指数DAXを調べると、1989年年末は1,790だったものが、2024/2/16現在で17,117と10倍近くになっている。日本が35年間、生産性を上げず、デフレと低賃金に甘んじていた間、ドイツは生産性を上げたということなのだろう。
2024/2/3 トヨタグループの日本的組織風土
2024年1月29日、トヨタグループの豊田自動織機で自動車用エンジン3機種の出力試験で不正があったことが発表された。2023年3月にはフォークリフト用エンジンなどの認証試験の不正が発見されていた。今回は、その調査の過程で新たにわかったものである。
ここには、日野自動車、ダイハツで発生した不正問題と通底する、組織風土に関する要因を感じる。上位者の方針に忖度することを最優先し、集団で社会の規範を逸脱する風土である。これは、トヨタグループだけではなく日本的な組織風土ではないか。自由民主党、日大のアメリカンフットボール部、宝塚歌劇団、吉本興業などで繰り返し見せられてきた。
対極にある組織風土は、2023年夏の高校野球で全国優勝した慶応高校の野球部である。私が神奈川県大会から見た強さとしなやかさは、清々しくさえあった。上意下達と忖度の組織風土を変えるには、多様性と対話での組織運営であろう。慶応高校流の組織運営が日本社会に広まってほしい。
2024/1/20 JAXAの月面探査機が月に着陸
JAXAは、1月20日の0時過ぎに小型月面着陸実証機SLIMが月面に着陸したと発表した。月面着陸に成功したのは世界で5か国目だという。
着陸した位置の精度は、評価中だが、目標としていた100m以内を達成した可能性が高い。さらに搭載していた超小型探査機2台の分離にも成功した。現在判明している問題点は、太陽電池が駆動していないことだという。
JAXAは2023年3月にH3ロケット1号機の打ち上げに失敗した。しかし月面着陸の成功で汚名挽回したかたちである。2024年2月15日にはH3ロケット2号機の打ち上げが予定されている。こちらの成功も期待したい。
2024/1/6 防衛装備移転三原則の改定
2024年は能登半島地震、羽田空港での航空機事故など波乱の幕開けとなった。年末に遡ると、12/22に防衛装備移転三原則の改定が閣議決定されたことに驚いた。
これまで殺傷能力のある武器の輸出は、米国のライセンス品の部品のみ可能とされてきた。今回の改定では、米国以外を含め、完成品の輸出も可能とされた。これによって計8か国の79品目のライセンス生産品の輸出が可能となった。迎撃ミサイル、大砲、弾薬などが含まれるという。
日本が米国やNATOの武器生産下請け国であることを内外に宣言した格好である。国際平和における日本のポジション変更が、国会の議論を経ずに決定されたことに驚いたのである。
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