高森 美由紀
人間の少女になったフクロウと少年が過ごす不思議な夜(「となりのミミ子」)、引越し先の自分の部屋と以前の部屋がつながってしまう(「ひみつのへや」)。──日常の中にひそむ本のちょっぴり不思議な出来事は、もしかしたら誰も知らない小さな魔法のおかげなのかも。 少し不思議な出来事の中に少年少女の繊細な心の機微を描く漫画家・大庭賢哉による、漫画と小説のハイブリットノベル。 魔女とその弟子は今日も、街のかたすみで、人知れず小さな魔法をかけています。(MS)
こまつ あやこ
私、本当に影山高校の書道部員になれたんだ。「いってきまーす。花音も遅刻しちゃだめよー。」
そうして、桜の花びらの残る通学路に踏み出した。七月にはその道を歩かなくなるなんて、思ってもみなかった。(HS)
泥ノ田 犬彦
勉強もバイトも続かないドロップアウトぎみなヤンキーの小林。ある日彼のクラスに変わり者の宇野が転校してくる。小林が先輩から怪しいバイトに誘われているところを宇野に助けられ、その出来事をきっかけに2人の距離は縮む。宇野のことを知れば知るほど彼の生き方に惹かれ、自分も変わろうと行動する小林だったが…。「普通」ができない正反対の2人がそれぞれ壁にぶつかりながらも楽しく生きるために奮闘する友情物語。(MS)
森 日向
「あなたの担当編集をさせてください、柊先輩」
ある日、無気力な男子高校生・柊悠人の前に現れた自称編集者の女子高生・夏目琴葉。彼女は悠人に小説を書いてほしいと付きまとってくる。いくら断られても、決して諦めずに。
……まさか、知られたのか? 自分がかつて、世間から天才だともてはやされたプロの小説家だったことを。その過去から逃げるため、知り合いもいない地方の高校にやってきたというのに。
筆を折った元天才小説家と、ある”重大な秘密”を抱えた編集者女子高生が紡ぐ、感動必至の青春ストーリー、ここに開幕――。(MS)
伊与原 新
東京・新宿にある都立高校の定時制。そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。
負のスパイラルから抜け出せない21歳の岳人。子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。起立性調節障害で不登校になり、定時制に進学した佳純。中学を出てすぐ東京で集団就職した70代の長嶺。
「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、学会で発表することを目標に、「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。
『月まで三キロ』『八月の銀の雪』著者がおくる、今年一番熱い青春科学小説! (HS)
樫崎 茜
視覚支援学校に通う佑は、この春から中学1年生。新しいクラスメイトも増え、寄宿舎での生活もはじまったが、佑の気持ちは晴れない。小学部から親しくしていた双葉が、ある事件をきっかけに学校に来なくなってしまったからだ。何度連絡をしても、双葉からの音信はない。道しるべのような存在だった双葉を失ってしまった佑は、授業や白杖の訓練に身が入らない状態が続いていた。
いっぽう双葉は、事件の際にぶつけられた悪意に満ちた言葉への衝撃から、家の外に出ることができなくなっていた。「目が見えない人はひとりで外を歩くべきじゃない」と思っている人が、この世界にいることを知ってしまったからだ。そんな双葉を心配した母親に「伴歩・伴走クラブ」という団体を紹介された彼女は、クラブの活動を見学に行く。そして佑も、双葉に会いにいくという目標のために、苦手だった白杖の訓練に挑戦しはじめる……
ふたりの主人公が、それぞれの葛藤を乗り越え、ふたたび世界に踏み出すまでを描いた物語。 (MS)
ユ・ヨングァン
韓国の大注目ファンタジーが日本にやってきた!
ーーわたしの人生、ぼくの人生、なんでこうなの! そう思っているあなた、チャンスです。その不幸なエピソードを、手紙に書いて送ってください。ある日ポストに、記号のようなおかしな文字が書かれた封筒が届いたら……それはトッケビからの招待状。あなたの希望通りの人生が手に入る、「梅雨時商店街」へお招きします。え? ひとりでいくのはちょっとこわい? それでは、案内猫のイッシャをおともにつけましょう。さぁ、最高のサービスをお約束しますよ! (MS)
土屋 うさぎ
第23回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作
大学一年生の市倉小春は漫画家を目指しつつ、大阪府豊中市にあるパン屋〈ノスティモ〉でアルバイトをしていた。あるとき、同じパン屋で働いている親友の由貴子に、一緒に行くはずだったライブビューイングをドタキャンされてしまう。誘ってきたのは彼女のほうなのにどうして?
疑問に思った小春は、彼女の行動を振り返り、意外な真相に辿りつく……。パン屋を舞台とした〈日常の謎〉連作ミステリー!(HS)
堀米 薫
「進学校にも行ける」という担任の声をよそに、竹雀農業高校へ入学した夢生。大学進学を目指せば、母さんに負担をかけると思ったからだ。牛に惹かれ、実習用の牛のお世話をする「牛部」へ入部する。日本の乳牛の99%を占めるというホルスタイン種。夢生の体の三、四倍はありそうな大きな牛たちとの生活が始まる――。(HS)