2024年度
M1
朱 昱 (Yu Zhu)(勉強・研究テーマ:KWCエネルギーを用いたデータ分離)
概要:結晶粒界の数理モデルの1つに Kobayashi–Warren–Carter (KWC) モデルと呼ばれるものがあります.KWC モデルの数学解析自体極めて難しいものですが,最近,儀我美一先生等との共同研究において,KWC エネルギーの連続型データ分離への応用の可能性を模索しています.朱さんは,この共同研究における数値解析パートを担当される予定です.
準備状況・進捗:
4月〜6月前半:最も簡単な部分である,差分法による熱方程式の数値計算の基本的な内容を勉強しました.
6月後半〜:全変動流の数値計算をできるようにするために,Goldstein–Osher (2009) を読んで,split Bregman 法の理論を理解し,実際に数値計算できるようになることを目指します.
Peitian Wang(勉強・研究テーマ:基本解近似解法の数学解析および応用研究)
概要:偏微分方程式のメッシュフリー数値解法の1つに,基本解近似解法(Method of Fundamental Solutions,MFS)と呼ばれるものがあります.MFSに対する数学理論はまだまだ発展途上であり,調べるべき点が多く残されています.Wang さんは,MFS の数学理論および応用について研究していく予定です.
準備状況・進捗:
4月〜6月前半:MFS の数学解析における試金石である Katsurada–Okamoto (1988) 論文を読み,MFS の数学解析の基本的な考え方を身につけました.
6月後半:不変スキームにおいて,より一般的な点配置に対する数値解析を行った Kazashi–Sugihara (2014) 論文を読むために,Wendland の Scattered Data Approximation の第8章を読んでいます.この内容を理解した後に,上記の論文に移っていく予定です.
B4
上地 泰慧(勉強・研究テーマ:数理生物学に関係した移動境界問題の数理モデリング,数学解析,数値解析)
概要:上地さんは,移動境界問題の数学解析や数値解析を通じて数理生物学の研究を行うことを目標としています.具体的には腫瘍成長を対象としていく予定です.
準備状況・進捗:
4月〜:Li–Hou–Wei (2024) 論文を読んでいます.この論文では,球対称解に限定してはいますが,腫瘍成長を記述する移動境界問題の数学解析を行なっており,解析手法を勉強する一環として内容を精読しています.また,自主的に数値計算も行なっています.
小川 尚比古(勉強・研究テーマ:機械学習に基づいた移動境界問題の数値計算アルゴリズムの提案・解析)
概要:小川さんは,機械学習に関連した研究テーマとして,機械学習を用いた偏微分方程式の数値計算手法の研究を行う予定です.通常の偏微分方程式ではなく,移動境界問題の数値解析手法を開拓することが目標です.
準備状況・進捗:
4月〜:カーネル法の基礎を勉強するために,福水先生のカーネル法入門を読んでいます.まずは付録部分で函数解析の復習を行い,そこからカーネル法の理論(再生核 Hilbert 空間など)に移っていく予定です.
山田 陽介(勉強テーマ:精度保証付き数値計算)
概要:山田さんは,数値解析の理論的な勉強をすることになり,近代的な手法である精度保証付き数値計算を扱っていくことにしました.
準備状況・進捗:
4月〜:大石先生編著の精度保証付き数値計算の基礎を読んでいます.1章で浮動小数点数演算と区間演算について勉強した後に,6章に進み,非線型方程式の数値解析について勉強しています.