RPAの開発業務とは、ロボットにどのような順序でパソコンを操作させるか、その手順と操作内容を設定していくことを指します。
開発後のRPAは、設定内容を繰り返し実行してくれるため、この開発業務が一番大事なポイントになってきます。
RPAの設定は、プログラミングを用いた自動操作よりも簡単であることから、一定のトレーニングをすれば、自社のスタッフで開発・管理することが可能です。
一方で、RPAの設定方法の習得には、プログラミングよりは短いながらも、それなりに時間がかかります。
そのため、開発作業に関しては外注する(外部に委託する)という選択肢もあります。
外注先は個人から企業まで様々です。
ツールの提供企業、または提供企業と協業しているパートナー企業が受注していることが多いようですが、
Power Automate Desktopのように広く使われているアプリケーションだと、個人で開発を受注することもあります。
では、開発を外注する場合の流れとして、どんなものが考えられるか、一例を見てみましょう。
①自動化する業務の選定
自社の業務プロセスを分析し、自動化する業務を選定します。
この時点では、業務を絞り込みすぎず、いくつか候補を挙げてみるとよいでしょう。
②外注する企業の選定
RPAの開発を委託する業者を探します。
既にお使いのRPAツールがある場合、その提供企業が第一候補になるでしょう。
なお、どんな業務が自動化できるかわからない場合は、①②を並行し、候補企業に相談するという方法もあります。
③打合せ・要件定義・見積など
業務自動化に向けた具体的な打ち合わせを行います。
発注者からは、自動化する業務範囲・手順・完成形のイメージまたは現物を提示します。
受注者からは、自動化の可否・納期・開発費用の提示などが行われます。
また、納品されるものがプログラムだけなのか、設計書なども含まれるのか、確認しておきましょう。
④契約の締結
弊社の場合は、開発そのものを始める前に、基本契約の締結が発生します。
これは費用が発生するものではなく、お互いの秘密保持などに関する内容であることが多いと思われます。
⑤発注・開発
受注者によって、実際にRPAの開発が行われます。
リモートでできる場合もあれば、発注企業を訪問して現地で開発する場合もあるでしょう。
特に自社独自のシステムが自動化する業務に含まれている場合は、受託業者が作業するため、Officeの一部やパソコンを貸与する必要があります。
⑥テスト・納品
開発が完了したら、受注者からロボットが納品されます。
社内の環境で問題なく動作するか、依頼した通りのものができているか、しっかりと確認をしましょう。
⑦保守・サポート
納品後のサポート体制についても確認しましょう。
これは③や④の過程でも大事ですが、納品後の仕様変更やエラー対応は、別途有償の場合もあります。
例えば納品後2週間は無償でエラー対応してもらえるかなど、サポートの範囲を確認しておくと安心できますね。
ではRPA開発を外注するメリットについて、考えてみましょう。
①自社の通常業務を圧迫せず、業務自動化を進められる
社外にRPAの開発を委託するため、社内の人員は通常の業務に集中でき、生産性の維持と業務効率化の推進が両立できます。
社内の人員でRPA開発を実行する場合、2通りの方法が考えられます。
1.新たに担当者を雇い入れる
2.他の業務を担当しているスタッフに兼任してもらう
特に2.を選択した場合は、ルーティン業務と並行するため、担当者とその所属チームの負担は、一時的に増加するでしょう。
RPA開発を外注すると、社内の負担を増やすことなく、業務効率化が進められます。
②IT分野に強いスタッフがいなくても、RPAを使えるようになる
RPA開発を外注すると、RPAに適した人員がいない企業でも、業務自動化ができます。
RPAは一度設定すると、実行ボタンを押すだけで、PC操作がスタートします。
そのため、最低限の使い方さえ分かっていれば、自動化した業務を使い続けることができるでしょう。
ただし、ツールのセットアップ・実行時の手順・エラー有無の確認方法など
必要最低限の項目はしっかりと洗い出し、必要であれば外注先の方にレクチャーしてもらいましょう。
③RPAツールの習得時間を省略できる
RPAの開発・運用を自社で全て行う場合、ある程度の時間と労力が必要です。
ツールそのものの習得はもちろんですが、担当者の選任・通常業務の再分担・作成したロボットの管理・RPAの利用状況の確認など、
RPA開発に直接かかわらない業務も意外と多くあります。
RPA開発を外注した場合、これらの一部を省略できることもあれば、適切なアドバイスを受けることもできるでしょう。
企業の状況によっては、RPAに関するすべてを自社で行うより、効率的に運用体制を整えられるかもしれません。
もちろん、開発の外注はメリットばかりではありません。デメリットも確認しておきましょう。
①自社で開発するより高額な開発コストが必要になる
PRAは、ツールそのものに初期費用やランニングコストが必要となるケースがほとんどです。
それというのも、RPAはサブスクリプション制が多く、1台のPCを自動操作して月額50,000円、などのケースがあります。
RPA開発を外注する場合、ランニングコストに加えて、スポットの開発費用が必要となります。
金額は発注内容や出張対応の有無など、諸条件によって左右されますが、自社の人員で開発する場合に比べて高くなるのが一般的です。
単純に人件費だけで考えた場合、自動化によって削減された人件費と、ランニングコスト+開発費の合計額が、釣り合わないこともあるでしょう。
自動化による業務時間の削減で、開発費用をペイできるか試算しましょう。
なお、作業時間の削減だけにこだわらないという考え方もあります。
スタッフがストレスに感じていて、負担感が大きいと言われている業務があれば、それを自動化することで、
職場環境の改善や生産性の向上につながる可能性もあります。
②業務の一部を社外に依存するリスクがある
RPAの開発を外注した場合、そのプログラムは外部に依存している状態になります。
RPAは決まった動作を行うことが特徴です。
便利である反面、Webサイトやシステムの仕様変更・Excelで集計する項目の増減など、
わずかな変化でロボットが思うように動かなくなることがあります。
このような時、外部委託したプログラムの修正が必要ですが、
●仕様変更などにも打ち合わせが必要で、即時に対応できない
●仕様変更に追加費用が必要となる
●外注先の担当者が不在で、すぐに対応してもらえない
といった事態が考えられます。
対策としては、いきなり重要度の高い業務の外注は避けて、万が一の際は手動で行える程度のものから始めてみるのがよいでしょう。
また自動化した業務については、最低限のエラー対応を教えてもらうことで、一時的なエラー対応ができる体制を作るのも手です。
加えて、保守契約を別途結んで、自動化した業務に対するサポートの品質を担保するのも有効な手段です。
③綿密な打ち合わせによる品質管理が必要になる
RPAの開発を外注する場合、発注者・受注者それぞれからのコミュニケーションが、プロジェクト成功の大事な要素になります。
例えば発注者側からは、自動化したい業務の実行頻度・完成形のイメージ・複数事業所での実行を想定しているなど、
要望を具体的に伝えることが必要です。
受注者側からは、定期的な進行状況の報告が来ているか確認しましょう。
進捗状況の報告はもちろん、もともとの注文内容や手順に対して、RPAで実行する場合特有の変更が必要であるなどして、
仕様変更の提案があるかもしれません。
受注者側から長期間連絡がない場合、状況確認の連絡をすることをお勧めいたします。
PRA開発の外注について、解説してきました。いかがでしたでしょうか?
RPAは自社で開発・運用するイメージが強いかと思いますが、
自動化したい業務の内容や、人員の状況に応じては、外注したほうがいい場合も考えられます。
これからはIT人材が少なくなり、その人件費も高騰していくと言われています。
せっかく雇用した方、会社や個人の都合によって業務を外れたり、退職してしまったりするかもしれません。
そんなとき、RPAに関して頼れる企業があると、安心できますね。
RPA開発を外注し、業務効率化や生産性向上とのバランスをとっていくことも、ぜひ検討してみてください。