平方天満宮
平方天満宮
長浜市平方町
社殿の横にある「犬塚」にまつわる昔話が、伝えられています。
天満宮の境内にある犬塚
天満宮と犬塚の由来
メタテカイ(目検枷)伝承
かつて付近の村から天満宮に対して毎年一人ずつ娘を人身御供に出す習わしがあった。夜半に娘を乗せた輿を神前に置き去りにするのである。それをいぶかしく思った男によって生贄を求めている者が得体の知れない怪物であることが明らかにされる。怪物が恐れていた「メッキ」なるものが野瀬の長者の愛犬メタテカイであることがわかり、翌年の人身御供の夜に怪物を待ち伏せ、激しい格闘の後に退治するものの、メタテカイも深手を受けて死んでしまったという。
天満宮の境内には犬塚と呼ばれる石があり、このメタテカイの墓であると伝えられている。怪物の死体にはメタテカイの鋭い牙の痕がいくつも残っていたという話にあやかってか、この石に触れた手で歯の痛むところを撫でると痛みが治まるといわれている。湖のなぎさに向かって月明りに照らされる夜の杜の風景を彷彿とさせる物語である。(長浜市史7 246頁より)