明けましておめでとうございます。皆さまつつがなく新年をお迎えのことと存じます。
新しい年が皆さまにとって素晴らしい年となりますようお祈り申し上げます。
さて皆さんは初詣には行かれましたか?
近くの神社、氏神様をはじめ大社や神宮などへ多くの皆さんが参拝します。神社の入口や社には大きな「しめ縄」がありますね。このしめ縄は、神様の聖域と現世を隔てる結界を引く役目となっています。不浄なものが入らないようにということですね。
また、しめ縄の「しめ」には神様の占める場所という意味があります。しめ縄の本体の藁巻は「雲」、紙垂れは「雷」を意味します。
それから、玄関には「しめ縄飾り」が掛けてありますが、これは「しめ縄」とは違い、「年神様」を迎えるための目印の役目になっています。神聖に過ごしていただく準備が出来ています。とのメッセージです。
「しめ縄飾り」はお正月を迎えてから、1月7日まで飾る地域が多いようですが、地域によっては1月15日、また、ずっと1年間飾られている地域もあります。
この冬は暖冬と言われています。
地球温暖化やエルニーニョ現象の影響と言われ、実際に日本の周りの海水温度は高い状態が続いています。この海水によって温められた空気のお陰で暖かい冬となっているのです。
ただ暖冬と言っても一冬を通した平均気温が高くなるということです。北極圏から寒波が日本に降りて来ると気温は一気に下がってしまいます。この時日本海の海水温度が高く水蒸気がたくさんあるためそれを取り込んで寒気が南下することで逆に大雪になりやすいのです。1月末から2月にかけて日本海側はとくに注意が必要です。
また春が近づくと低気圧が太平洋側沿岸を西から東へと通るようになります。そうすると東海から関東にかけて大雪となります。普段は雪の降らない地域ですのでとくに注意が必要ですね。
世界的に見ると北極や南極に近い地域は気温が低く雪がもっとたくさん降るかと思われがちですが、世界中の都市の降雪量を調べてみると世界トップ3は全部日本で、1位青森市(7,92m)、2位札幌市(4,85m)、3位富山市(3,63m)でした!
日本の冬はいかに雪が多くて生活するのに厳しいかがわかりますね。
いよいよ3月は桃の節句ひなまつりにはじまり、桜のお花見へと「春」を感じる時節となりました。
ひなまつりに欠かせない物のひとつに「さくら餅」があります。ピンク色の餅にさくらの葉が巻いてありますね。でもこれ関東と関西では違う形をしています。
関東は「長命寺桜餅」とも言い小麦粉を水でといて薄く延ばした餅を少し焼き、餡をなかに巻き、さらに塩漬けした櫻の葉巻きます。
関西は「道明寺桜餅」と言われ餅が道明寺粉(もち米)を蒸した物になります。また包み方もお饅頭のように餡を中に入れます。それから塩漬けした桜葉を巻きます。
同じ「桜餅」と言っても地域で思い浮かべる姿が違うのはおもしろいですね。
「お花見団子」は日本中で大体同じようで三色団子です。上がピンク色、中が白色、下が緑色ですが、花びら色、つぼみ色、新葉の色を表していると言われます。
きれいな桜の花が日本の各地で咲き始めています。春ですね。これからの季節はたくさんの種類の花が咲き始めます。4月の花たちを紹介しましょう。
まずはチューリップ、球根植物の代表格です。そして多様な色や柄は数知れずといえます。写真でよく見るオランダのチューリップ畑はジュータンのようで見事ですね。
ハナミズキも白や赤、ピンクの花を咲かせる北米原産の落葉高木です。1912年に日本からアメリカのワシントンに贈られた桜のお返しで届いたことでも有名です。
ツツジも群生して、白、赤、ピンクの花が圧倒的に華やかに咲いて存在感があります。ツツジはきびしい環境でもよく育ち、空気中の有害物質ホルムアルデヒドを吸収して浄化してくれます。ですから街路樹としてもよく利用されています。
カーネーションも4月から5月に咲く花ですね。花言葉が「無垢で深い愛」で来月の「母の日のプレゼント」としてまさにピッタリです。
端午の節句には「粽(ちまき)」や「柏餅」を縁起物としていただきます。以前「さくら餅」の話をしましたが、それと同じように関西では「粽」、関東では「柏餅」という風習の違いがあったようです。今はどちらも地域別なくいただいていますね。
「粽」を食べる風習は中国の故事に由来します。今から2300年ぐらい前に「屈原(くつげん)」という忠誠心の高い政治家で民衆から信頼があった人がいました。その屈原は亡くなった命日が5月5日で、そのお供え物として邪気が着かないように工夫されたのが「粽」でした。子供が「屈原」のような立派な大人に成長するようにとの願いがあります。
「柏餅」は餅を柏の葉で巻いたものです。柏の葉は、新芽が出るまで古い葉が落ちないという特性があり、これを親子に見立てて「家系が絶えない」「子孫繁栄」に結びつけられています。
夏が近づいてくると冷たい触感のお菓子やデザートがいただきたくなりますね。「桜餅」や「粽、柏餅」の関東、関西の違いシリーズの続きで今回は「くず餅」のお話をしましょう。
「くず餅」と言えば、黒蜜ときな粉をかけた甘さがうれしい食べ物ですが、関東と関西ではこの触感が違います。
関西では「吉野葛」でも有名ですが「葛」の根を何日も日陰干しにして葛粉を造ります。これに砂糖と水を混ぜて火にかけ、よく練っていくと透明になり、とろみがついて「くず餅」になります。
関東の「くず餅」は小麦を乳酸菌で発効させたでんぷんで作ります。発効すると独特な匂いや酸味が出るので何度も水洗いを繰り返していきます。そしてこの「小麦でんぷん」に湯を加え、蒸して「くず餅」が出来上がります。東京の東部に葛飾がありますが、昔から良質な小麦の産地でした。この地の名前「葛」一字をとって「くず餅」としたようです。
どちらも手間暇をかけて美味しく作り上げていますよね。
夏に食べたくなる物として「くず餅」の話をしましたが、今回は夏に食べたくなる物、続編として「ところてん」と「寒天」の話をしようと思います。
「ところてん」は甘酸っぱいものと甘いものの二種類が知られています。「寒天」はフルーツを混ぜて冷やしたものが有名ですね。「ところてん」と「寒天」は実は同じ原料の「天草」を煮溶かして出来ています。
「天草」は日本中の海で取れますが太平洋側の方が量も品質も良いと言われます。天草を水と煮込んでから常温で固め、ところてん突きで細く突き出した物が「ところてん」です。このところてんを冷たく凍らせて乾燥させたものが「寒天棒(糸)」ということです。これをまた溶かして冷たく凍らせると「寒天」になります。
太平洋側では気温が氷点下になることが少ないので、岐阜、長野で観点が有名になりました。
また粉寒天は水に溶いて様々な食材に使われています。和菓子、洋菓子、料理にも幅広く利用されています。
夏に食べたくなる物の続、続編として今回は涼やかな「そうめん」の話をしましょう。
「そうめん」は日本人に古くから愛されている食べ物で特に夏の風物詩として「流しそうめん」がありますね。
「そうめん」は奈良時代に中国から伝わりました。始めは「索餅(さくべい)」と言って今とは全く違い「ツイストロール菓子」というような高級菓子でした。平安時代は七夕の儀式のお供物とされていたことから、現在は7月7日は「そうめんの日」とされています。今と同じような「そうめん」になったのは鎌倉時代といわれ、江戸時代になって「切り麦」という名前で親しまれ西日本を中心に庶民に広がります。
とくに「手延べそうめん」は手で引いて延ばし捻りを加える製法でコシがあります。他の多くは生地を平たく薄くしてから機械で細く切り落とします。生産効率重視といえます。
「そうめん」は夏と言いましたが、冷やしたり温めたりと一年中楽しめます。また乾麺ですから保存が利きます。保存食としても活用できますね。
夜空を見上げて美しいお月様を眺める「お月見」は、平安時代から始まったようです。十五夜(中秋の名月)は旧暦の8月15日ですが、現代は9月中旬から10月初旬の満月を言います。今年は9月17日です。
お月見にはススキとお団子をお供えします。ススキだけでなく秋の七草を飾るのも良いですね。ススキ、オミナエシ、ナデシコ、クズ、フジバカマ、キキョウ、ハギです。お団子は15個をピラミッドの様に積み上げて飾りましょう。ちなみに十三夜(10月15日)はお団子は13個です。また、お団子の替わりに「里芋」をお供えすることもありますが、収穫の感謝が込められています。
中国では「お月見」の中秋節に「月餅(げっぺい)」をお供えしたり贈答します。アメリカでも9月のお月様を「ハーベストムーン」と言い収穫の月とされています。
「お化けカボチャ」や「カボチャちょうちん」と言えば、オレンジ色のカボチャをくりぬき目や鼻や口を作り、恐ろしいような可愛いようなハロウィーンのシンボルです。仮面を付けたり仮装をした人たちが街やイベントで活躍するので話題になっていますね。
ハロウィーンの発祥は古代ケルト(ヨーロッパ、BC2000)に遡ります。その頃は新年の始まりが11月1日とされていて、日照の短い「暗黒の季節」が始まりでした。やがて夏の「太陽の季節」が過ぎて10月31日で1年が終わります。ただこの10月31日の夜から日が明けるまでは特別な時間でこの世と霊界が行き来できると信じられていました。良い霊も悪い霊も一緒にこの世にやって来ますから、人々は祭礼を行って難をのがれて来ました。やがて時代が過ぎ、また各地域によってその儀礼が変化します。そして、今日のような仮装をして悪霊に混ざったりお菓子やケーキを分けるようになったのです。
現代のハロウィーンは宗教とは関係なくイギリスやアイルランドの人たちがアメリカに持ち込んで広がったと言われます。それが徐々に世界中に広がって行きました。
「柿食えば鐘がなるなり法隆寺」は正岡子規の俳句でたいへんよく知られている秋の俳句です。秋の果実といえば柿は代表と言えるでしょう。山里の風景でも一際柿の実の赤色が目につきますね。
柿には甘柿と渋柿がありますが、甘柿で有名なのは「富有柿」と「次郎柿」と言えます。富有柿は実がふっくらと丸みがあり爽やかな甘さがあります。完熟していくと甘い果汁が楽しめます。次郎柿は四角い形をしていて甘味も充分です。富有柿との違いでは、次郎柿はシャキシャキと「歯で食べる」と言います。芯の部分は取り除いて食べた方が良いかもしれません。
渋柿の渋さは、タンニン成分が水溶性のままであるためです、アルコールや炭酸ガス、または日干しすることでタンニンが「不溶性」に変わり甘くなります。「市田柿」干柿で有名なのが「市田柿」で自然な甘さと歯ごたえがあり、ビタミンAやポリフェノールを含んでいます。
12月になりました。
いよいよ今年も終わり新しい年を迎えます。
12月31日の大晦日の夜は1年の終わりとして寺院で鐘をつき始めます。これを「除夜の鐘」と言います。
「除夜の鐘」はその鐘の音を聞きながら1年の煩悩を取り除いて清らかな心身で新年を迎えるという仏教行事の一つです。中国、宋の時代の鬼払いがその由来とされています。多くの寺院は23時前後からつき始め年内中に107回つき、108回目は年が明けてから打たれるのが一般的と言われます。鐘を108回つくのは、人間の中にある108個の煩悩を取り除くためです。どうして108個なのかと言うと諸説ありますが、「六根」眼、耳、鼻、舌、身、意の6つの感覚に、感情と時間軸をかけ合わせた数が108個と言われます。とくに「貪欲、瞋恚、愚痴」の三毒の煩悩が人を苦しめます。
今年の大晦日は是非「除夜の鐘」を聞きながら清らかな心身で新年をお迎えください。