大会実行委員長挨拶
ご挨拶
ニューノーマル時代の臨床動作法を探る
日本臨床動作学会第30回学術大会
大会実行委員長 鶴 光代
2020年が始まった直後から新型コロナウイルス感染症のニュースが入ってきて,日本中がその対策に力を注いできました。そうした状況下で,臨床動作法も新たな対応を迫られ,触れない動作法を基にした現場での実践上の工夫やオンライン動作法の開発に取り組み,動作法の新たな要素を生み出すにいたりました。
このコロナ禍の2年間半を経て,ウィズコロナ・アフターコロナのありようを模索している今,「ニューノーマル」という考え方にスポットが当たっています。ニューノーマルとは,「新しい常態」あるいは「新しい日常」という意だそうです。そこには,大きな災害や事故の後に,もう元には戻れないという変化が起こり,その変化のもとでの新しい常識や生活様式を指すそうです。確かに,今,人との接触の仕方において物理的距離を取るのは普通となっており,感染対策として始まったリモートワークやリモート会議,オンラインカウンセリングも,新しい働き方,活動形態として受け入れられてきています。
臨床動作法も医療や福祉,教育,産業等のいわゆる現場での実施において,感染予防に向けての留意の仕方と新たな技法の開発に力を注いできました。その結果として生み出された方法は,予防のための一時的措置に留まらず,アフターコロナになっても有用な援助法として十分に活かされるものとなってきています。開発されたオンライン動作法の新たな要素は,今の対面での動作法に良い変化をもたらしつつあります。
第30回学術大会および第41回学会主催研修会では,コロナ禍を経験したからこそ生まれてきた,臨床動作法の考え方や技法上での新しい変化を検討し,明らかにして,それらをさらに発展させる機会となることを目指します。一方で,新しい変化の基盤にあるところの,臨床動作法60年に及ぶ実践と研究のなかで確立された核の部分を,再確認する機会ともしたいと思います。
会員の皆様も,この2年間半のご経験を基に,ニューノーマル時代の臨床動作法に向けて大いに議論していただきたいと存じます。学術大会はWeb大会といたしましたので,研究発表,講演,シンポジウム,ラウンドテーブル,教育研修,交流会等を数多く企画いたしました。また研修会は,待望の対面で行う予定です。対面研修ができるようなコロナ状況になっていることを祈るばかりです。
また,第41回研修会は,11月27日(日)に,東京,滋賀,福岡の三会場で,待望の対面で行う予定です。対面研修ができるようなコロナ状況になっていることを祈るばかりです。
会員の皆様のご参加をどうぞよろしくお願い申し上げます。