こちらは成人向けの内容を取り扱っています
【沖安 お茶会前の二人】(約2200文字)
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・緋色シリーズ、純黒とお茶会の間ぐらいの時期の二人です。
・本番のシーンですがぬるいです。
・ほぼ沖矢視点で若干ポエム要素強いです。
安室透と体を繋げている事実に沖矢昴は明確な理由も根拠も見出せずにいた。ただの成り行きで、と言えばその通りではある。それを周りが聞けば世間でよくある寂れた恋愛模様に聞こえるだろうが、そんな枠に納まる話ではないのである。
「考え事ですか、沖矢さん」
頭上から聞こえる声に顔を上げれば、今まさに己のの欲望をその細い腰に受け入れようとする安室がいた。その彼越しに、あからさまなほどにピンクで埋め尽くされた内装の壁がぼんやりと見えた。そう言ったことをするために用意された部屋なのだと、嫌というほどに主張してくる。
安室とは向かい合って密着して座っているため、ほとんど互いの上半身しか見えていない。そこだけ切り取れば可愛いものだが、しかしその下は部屋の内装と等しくひどく淫らなものだった。沖矢は前を寛げ、安室に至っては履いていたものは全て脱いでいる。白いニットから生えた褐色の両脚の間から覗く彼の男の象徴は、これから行われる行為に怯えるようにふるふると震えていた。
顔は平静を装って笑みすら湛える余裕を見せているものの、沖矢の肩を掴む手はやや力が困っている。
「安室さん、あまりこういったことはおすすめしません」
その言葉にフッと煽るように笑うと安室は強引に自重で沖矢の凶悪なモノを自分の中に推し進めた。流石に苦しいのか、余裕の笑顔が歪んでいる。
「う……ぁ…きつ…っ…」
「ほら、だから言ったでしょう」
いまさら言ったとて止まる男ではない。そうやって沖矢の正体も突き止めた。赤井秀一を甦らせてくれた。
昔から安室透、バーボンはそうだった。真っ直ぐに挑戦するような眼差しで。その視線は電流が走るようで背筋がゾクゾクした。
「慣れないことはしない方が良い」
「…っ…あなたとはこれが3回目ですよ…初めてではないですよね?」
「…………」
一度目は組織でコードネームを持っていた時、任務の最中に必要に迫られてそういった行為をしたことがある。
二度目は観覧車の上で本来の姿で彼と対面したあの日。一線交えたその熱を残したまま二人で求め合った。
「いいえ。あなたのような方とこんな一夜があったなら、決して忘れることはないですよ」
一度も忘れたことはない。
肉の少ない腰を掴んで沖矢は己の昂りを更に奥へを押し進めた。一気に強まる圧迫感と甘い刺激に安室
はやり過ごそうと上半身を艶かしく捩った。
ようやく根元まで飲み込んだ時、彼の滑らかな肌はしっとりと汗をかいていた。手から伝わる感触が生々しい。
「ん…はぁ…はぁ………」
快楽に呑まれまいと気を張りながらも、安室の視線は度々沖矢の首元に注がれていた。首に隠している真実を暴こうと今もなお諦めていない。
「そんなにここが気になりますか?」
「ええ…っ…とっても…」
強がって笑みを作る彼を見るとどうも意地の悪いことをしたくなる。片手で彼の腰をしっかり固定して弱いところを意図的に執拗に突いてやった。自分だけが知っている弱点。感じているのに気づかれまいと眉間に皺を寄せて睨んでくる癖も全部。自分だけが知っている。溢れる声を抑えようと指を口元に持っていこうとする安室の手を左手で制した。
「なに、…っ…あん…っ…!や…!!」
「ほら、あなたが触れたがっていたところですよ」
彼の右手を自分の首元へ誘導しようとするが、逆に手を引っ込めようと力が働いた。
自分から積極的に踏み込んでくる癖に、いざこちらから歩み寄ればこうだ。
きっとお互いの本当のところはわかっている。真実はとっくに気づいているし、ほんの薄皮一枚を挟んでそれが存在していることに。もっとその奥にある根源的なものを確かめたいだけだ。
「…っ…あ…もう、っ…」
そろそろ絶頂を迎えそうだと彼が言葉足らずに訴えてくる。上半身を自力で保つのもやっとだが、その灰青色の瞳の光は決して失われず、じっとこちらを見つめていた。その視線にぞくりと欲望が湧き上がり、沖矢はたまらずに顔を歪めた。隠されていた深緑の瞳が垣間見えた時、安室はどこかすがるように瞳を揺らした。
ああ、それはずるい。
一定の速さで突いていたところを、両手で細い腰を掴んで奥へ奥へと強くぶつけた。性急な動きに彼も一気に頂に上り詰めて最後は大きく体を震わせた。パタパタと彼の中心から漏れた白濁は二人の衣服を汚したが、そんなことはもはやお互い気にならなかった。
安室は洗い息を落ち着かせながら肩に顔を埋めた。どくどくと二人の心音が重なって、生きているということをまざまざと証明していた。のしかかられた方の肩が少し濡れたような気がする。沖矢もしばらくは自身を抜こうという気持ちにはなれず、互いに余韻に浸った。
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安室が部屋を後にし、沖矢は一人残り一服していた。長く細く吐いた煙が先ほどまでの名残りのある空間をゆっくりと満たした。帰り際の彼はすっかり元通りの人好きのする「安室透」になっていた。相変わらず器用な男だ。
先程までの安室の乱れた様を思い出して仄暗い思いが占めていた。彼をこうすることができるのは自分だけだという優越感と偽りの姿で交わったことへの後悔。そしてその偽りの姿の奥へと向けられた真っ直ぐな眼差しへの憧憬。
そう遠くない未来、彼とは再び本来の姿で会うこととなるだろう。ずっと追いかけられ、見事に暴かれたのだ。次はこちらが追い求めてみせよう。
眼鏡の奥の二つの深緑が揺蕩う煙の中で静かに光っていた。
fin.
一度お茶会前の二人を書いてみたかったので、書いてて楽しかったです。
言葉だとうまく表現できない思いみたいなのを体をつなげてお互い確かめ合っている雰囲気を出したかった。純黒のときだってきっとあの観覧車上で何かがお互いに伝わっていたんだと思う。
【秀零がベッドでイチャイチャするお話 ※サイト1000アクセス記念です!】(約1700文字)
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・秀零の零くんが赤井にもう一回!っておねだりしたら可愛いなと思って書きました。
・本番のシーンはぬるいです。
ベッドのヘッドボードに置いていたスマートフォンの画面の時刻が視界に入り、日付が変わっていたことに赤井はようやく気が付いた。
真下を見下ろした視線の先は生まれたままの姿でベッドに深く沈む恋人。滑らかな褐色の肌の至るところに赤い花が散っているのを見ると、赤井は征服欲で満たされた。恋人の降谷は快楽の波に呑まれたままで、視線が虚空を彷徨っている。本日何度目かの絶頂を迎えたばかりなのだから無理もない。
少しずつ意識が浮上する中で、降谷は自分を見下ろす恋人の顔を捉えた。相変わらず無駄に良い男だ。
真顔で立っているだけで怖がられるような男が、今はこちらを見て優しく目を細めている。実に気分が良いと思った。
気怠い腰と未だ全身に流れる甘い痺れ。そして先ほどまで腹の中にあった熱い欲望の余韻に降谷は幸福に包まれた。と同時に、さらなる欲が押し寄せてくる。
下腹部に手を置いてさすってみる。なんだか腹の中がぽっかり空いたみたいだった。
——足りない。まだまだ足りない。
ごくん。
溢れる唾液を飲み込んだ。
「あかい、もっと……」
気づけば降谷の口から言葉が漏れていた。
しばし間があった。赤井は自分の恋人から発せられた言葉を頭の中で数回繰り返し、一度吐精してもなお衰えを見せない己の中心にさらに血が集中するのがわかった。体の方が理解が早い。
「……君、今どんな顔をしてるか知っているか?」
快楽の海に揉まれ、幾度もの高まりを迎え、宝石のような青い瞳は今にも溶けそうだ。涙が伝った形跡が滑らかな褐色の頬に残り、いつも強気な柳眉は頼りなさげだ。
快楽の喜びを知っている顔。それでいてあどけなく恋人の目をじっと目つめて求めてくるのだ。幼い子供がお菓子をもっとねだるように。
あの、高潔な降谷零から発せられたのだ。
「あかい……?」
「うん、そうだな、もう一回しよう」
降谷の額にキスを落としてからヘッドボードに置いていたスキンの箱を取る。空っぽだ。
「……全部使い切ってしまったな…あっちから新しいのを取ってくるよ」
赤井の言葉に降谷はゆるゆると首を左右に振った。
「零?」
「そのままでいい」
「…………」
赤井は思わず片手で顔を覆った。なんと酷い誘惑だろうか。このまま続けたら加減ができなくなるのは目に見えている。
だがお互い有り余るほどの体力の持ち主のため、かなり無理ができてしまうのも事実だった。
赤井が考えている間に、降谷が気だるげに上半身を起こし、目の前にきた剛直をそっと両手で掴んで先端をぱくりと口に含んだ。
どくどくと波打つ赤黒い肉茎を優美な指先が往来し、形の良い唇が先端を食む。赤井は目の前の光景に、内心眩暈がするほど興奮していた。
「……っ…目に毒だな……」
こんなとをしなくとも、恋人のお陰で既にそこは臨戦態勢だ。それでも降谷はぺろぺろと舌で的確な場所を刺激してくる。
全て赤井と体を重ねるうちに降谷が自然と覚えていったことだ。何事においても優秀な男である。
降参だ、と言わんばかりに赤井は自分の中心に顔を埋める恋人の頭を優しく撫でた。それに反応して降谷は視線を上げた。その瞳は挑戦的で、勝負を挑む時のそれだった。
言外に「お前はまだできるだろう?」と煽っているのだ。赤井は降谷の刺すような視線がたまらなく好きだった。自分に対してのみ向けられる感情。ぞくりと体が沸騰して熱いものが湧き起こるような錯覚になる。先程まであどけない表情をしていたのにこれである。まったく恐ろしい男だと赤井は苦笑した。
恋人の可愛いお願いを無碍にする選択肢はない。赤井は降谷の口から己の欲望をゆっくり外した。外れた途端に勢いよく上を向く中心はぬらぬらと唾液で光り、彼のと唇の間に艶かしい透明な糸が引いていた。
赤井は降谷の腕を引いて自分の上に乗るよう促した。素直に降谷が膝の上にまたがるように乗ると、自分よりほんの少し上の位置に降谷の顔があり、自然と唇が重なる。
そうして、赤井はゆっくりと己の欲望を恋人の秘蕾へと深く深く推し進めていった。
fin.
1000アクセスありがとうございます!
【タイトルの通り赤井さんが零くんの体を味わい尽くすお話】(約6000文字)
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・徹頭徹尾セックスしているだけです。(本番シーンもあり)
・赤井さん視点で展開します。
<性癖チェック>
・攻めフェ(もちろん赤安左右固定が大前提です!)
・受けの潮吹き(大好きなので毎回書いてしまう…)
・♡喘ぎ(なんと初挑戦でした)
性欲と食欲は時に境目が曖昧になる。
それは脳における二つの中枢機関が近いためらしい。
食べてしまいたいほどに愛おしい、などと言うことがあるが、彼にはまさにその言葉がふさわしい。
さて、今日はどう味わおうか。
零はあらゆることにかけて優秀な男だが、それはセックスに置いても同様だった。
恋人となって体を重ねるようになり、彼の体は俺の剛直を受け入れ、しっかり快感を得られるまでに成長した。それ以外の部位も回数を重ねるごとに感度が上がっていき、青い果実が日に日に熟していく様を眺めているようだった。
向かい合って座る彼の優美な手がするりとこちらに伸びてくると、彼は唇に自分のそれをそっと重ねてきた。宝石のような青い瞳は閉じているが長く繊細な睫毛が美しいラインを描いているのが見える。
特に取り決めなどはないが、そういう雰囲気になった時、零がキスをすれば合意という暗黙のやりとりが出来上がっていた。
それはまるで主人のゴーサインを待つ従順な飼い犬になった気分だ。
まずは額、鼻、頬、それから唇へとキスを落として、そのまま深く片付けて口内を味わった。上顎を下でなぞってやれば、彼のくぐもった声が鼻から抜けた。
暫く味わった後、唇を解放してやれば、漸く彼の青い瞳がそっと開いた。生理的な涙でゆらゆらと青く煌めいている。
「零、服を脱がしても良いか」と一応聞いてみれば、「いちいちそんなこと聞くな」と潤んだ瞳で軽く睨まれた。彼の精一杯の照れ隠しだと分かっている。怒った顔も可愛い。
彼の上下白のスウェットを脱がし、グレーの下着一枚にすると、直ぐに脚を閉じようとする。下着の一部が既に期待で濡れているのを隠すためだと容易にわかる。彼の体がこれから訪れる快楽をしっかり覚えている証拠だ。
それを誤魔化すように彼は俺のワイシャツのボタンを外しにかかった。
そうしている間も、目の前に無防備に晒された首筋に、かぶりついた。鼻腔に自分と同じボディーソープと彼自身の香りが入ってくる。自分のものだと主張するようにじっくり歯形をつけていく。彼は分かりやすくびくりと肩を振るわせた。
「ぅんっ…こら、目立つところに跡つけるな……この前も風見に気づかれそうになった…っいた!」
自分以外の男の名前が彼の口から告げられて、強めに噛んでしまった。彼には自覚が無いが、俺の嫉妬心と独占欲を煽る才能がある。いつか俺に痛い目を見るぞ、君。
「行為中に他の男の名前を呼ぶなんて感心しないな」
そのまま押し倒すと、彼の脚を持ち上げて下着を剥ぎ取り、そのまま彼のつま先に口づけた。
案の定、彼は慌てて脚を引こうとしてきた。
「ちょっと…っ…」
つま先から脛、膝、太ももとキスを落としていく。時折歯形も残した。全部俺の物だと主張するように。すると諦めて大人しくされるがままの零が笑いをこぼした。
「ふは…あかい…なんか大型犬みたいだ…」
次第に際どい部位に顔を近づけていくと、彼は再び抵抗しようと後ずさりはじめた。逃すものかと彼の両脚をがっちりと掴み、とうとう彼の中心にまで辿り着いた。俺が次にやろうとしていることにも気づいているようだ。
「や、そこはだめ!赤井待て!こらっ…」
彼の脚の抵抗がさらに強くなり、必死に脚を閉じようとしてきた。それが逆に俺の気持ちを煽っていることも知らずに。
零の両膝裏を掴んで思い切り左右に広げてやると、彼は小さく悲鳴をあげた。
固くなり始めている彼のペニスは可愛らしいピンク色で、先端からカウパーが滲み出ている。「美味しそうだな」と思わず声に出していた。
「っ!そこ汚いから舐めないで…!」
彼の制止を無視してがぶりと先端を口に含んだ。ああ、やはり美味しい。
「零も以前俺のを咥えてくれたことあるだろう?」
「あぅっ…そこでしゃべるなぁ…!」
彼の中で羞恥と快楽が同時に襲っているのだろう。普段の意思の強い柳眉が八の字に下がり、子羊のようにプルプルと震えている様子が脚の間から見えた。
普段公安の部下たちから羨望の眼差しを向けられる気高き男が、今俺に急所を食べられて震えているという事実に興奮しないわけがない。
敏感な先端と裏側を強弱をつけて舐めてやれば、堪らないという風に必死に首を振ってこちらを涙目で見つめてくる。彼ペニスは既に完全に立ち上がっている。
一旦口を離し、ローションを自分の手にたっぷり絡ませ、彼の窄まりへと中指をゆっくり沈ませた。解しながらもう一度彼のペニスを口に含めば、目を白黒させた降谷くんが再び暴れ出した。
「やぁ…っ…一緒にいじらないでぇ……!!」
必死に俺の頭に手を置いて制止しようとするがもちろん止めるつもりはない。
彼の羞恥を煽るようにわざと水音を出しながら、彼の射精を促し続けた。彼のペニスからは無限のように甘い蜜が湧き出てくる。
同時に彼の中に侵入させる指をふやして縦横無尽に蠢かせば彼の上半身は弓形に反り返った。そうして弾力のある部位に指が到達すると、そこを集中的に刺激した。彼は一際大きく体を震わせた。
「ひぁあああ!?」
彼の敏感なペニスの先端と体内の一点を同時に刺激し続ければ、射精が近づいているようで、彼の腰ががくがくと震え始めた。
「あぅ……も、でる…っ…」
とどめに尿道の入り口を舌で攻め立てると、彼は全身を震わせて俺の口の中に吐精した。迷うことなくそれを飲み込んで、漸く口からペニスを解放した。
「いっぱい出せたな」
「……の、飲んだんですか…?僕の……」
「ああ、おいしかったよ」
感想を述べれば零は「そんなわけあるか」と羞恥の涙を浮かべて眉を吊り上げた。証明してやろうと彼の唇に自分のそれを深く重ねてみせると、彼は眉を顰めた。
「まずい……」
「君だって俺のを美味しそうに飲んでただろ」
「そんなことない!…んぐ…っ」
もう一度深く口付けてから、自分のペニスにゴムを取り付けて解れた窄まりに押し当てた。推し進めると途中まではすんなりと入ることができた。
彼の中は全て搾り取ろうと言わんばかりにうねり、あまりの気持ちよさに思わずぐっと唸った。それを下から見ていた彼は得意げな表情を作って見せた。
「んっ……いい眺めですね…っ…あなたのそれが僕に食べられてるみたい…」
彼の勝気な表情は酷く嗜虐心を煽られる。高潔でプライドの高いこの男をめちゃくちゃに泣かせてやりたくなる。
恋人になってからも大なり小なり勝負に持って行きたがる癖があるが、ことセックスに置いては最終的に泣かされるのは君だというのに。常に俺に対して直球に向かってくる君は本当に可愛い。
「……しっかり食べてくれよ」
彼の両方の膝裏を掴んでさらに推し進めて、そこからゆっくり抽送を始めた。まだ余裕はあるようで、素直に快楽を受け止めているようだ。さっきまでの勝気な表情は次第に蕩けたようなものに変わっていった。
「零…気持ちよさそうだな…」
「ん…うん…っ…きもち……あかいも…?」
「ああ、気持ちいいよ」
額にキスをすると「口にも欲しい」と言われ、リクエストに答えた。元々甘えることが大の苦手な彼だったが、最近はちゃんと甘えてくることにも慣れてきたようだ。恋人として嬉しい変化だ。まあ天邪鬼な君も可愛いんだがな。
彼の中のある一点に狙いを定めて攻め立てるようにすれば、彼の上半身は快楽を逃がそうと淫らに暴れ出し、言葉にならない嬌声が彼の口からしきりに溢れた。
攻め立てる動きをそのままに、彼の胸元の2つの突起の片方を口で、もう片方を手で愛撫した。
付き合い初めの頃の彼は、ここを触ってもくすぐったいと言うばかりだったが、回数を重ねていくうちに快感を拾うようになっていった。
舌で嬲り時折甘噛みし、もう片方もしっかり可愛がった。あっという間に突起は固くなり、口の中で可愛がっている方は唾液ですらぬらぬらといやらしく主張している。しばらく続けていると、頭の方からぐすぐすと鼻を啜る音がした。
「ううう…今日のあかい、ねちっこい…っ…あぅ、っ」
「今日はじっくり君を味わいたいと思ってね…」
改めて彼を見下ろせば、滑らかな褐色の肌の至る所に自分がつけたキスマークや噛み跡で彩られていた。我ながら自分の独占欲に自嘲した。
グルル、と自分の喉が唸った気がした。それが零にも届いたのか、こちらの目をじっと見つめてごくりと息を飲んだ。俺が飢えた獣で彼が被捕食者と錯覚したのかもしれない。
抽送を再開し、さらに奥へ奥へと己の欲望を貪欲にぶつけていく。彼もそれを受け入れるように俺の首に両手を回してきた。愛おしさに再び彼の唇に喰らい付いて息も吐けないほどに口の中を味わった。
彼の腹筋が痙攣し始め、昂りが近づいているのがわかる。彼の脚を抱え直して過敏になっている前立腺を執拗に刺激していく。
「あ、っうあ!あかぃ…っ…もう、イクっ…あああ!」
「ほら、おいで」
彼の腕を首から背中に回してやれば、彼の爪が俺の背中にぐっと食い込んだ。その痛みすら愛おしいのだから愛とは恐ろしいものだ。
「や、も、イ…ッ…んああぁあ!」
彼の体がしなり、中心から白濁が吐き出された。彼の引き締まった褐色の肌にパタパタとそれは飛び散っていく。吐精をさらに促すように震えるペニスを根本から先端に向かって絞るように動かしてやると、強すぎる刺激に震えながら必死に止めようとしてくる。
「ふぁん…!イッてるからぁ…さわらないで…っ…」
どぷどぷと溢れる白濁次第に収まり、彼の中心はくたりと力無く項垂れた。手についたそれを彼の目の前でべろりとおいしそうに舐めて見せると、またぐすぐすと涙目で抗議の意思を示してきた。そんな顔をされても俺を煽る材料にしかなっていない。
「零はどこもかしこも美味しいな」
「……?…ぼく…あかいに食べられちゃうんですか…?」
おそらく絶頂直後で直感的に思ったことを口走ったのかもしれない。彼は一度中イキをした後は少し幼げになる。余韻の残るぽってりした目元を携えて首を傾げる姿は罪悪感を覚えるほど幼く見える。
「ああ、そうだな…俺は空腹なんだ」
彼の中に入れたままの己のペニスは硬度を失っていない。
彼は言葉通りに受けだったようで、ふんわりと無邪気な笑顔を向けた。
「ふふ…明日の朝一緒に何か食べましょうね」
君はずるいな。そうやって何度も何度も俺の予想を上回る可愛さで襲ってくる。
再び抽送を始めると、敏感になった内側が擦れるたびに彼は譫言のように喘いだ。もはや理性はほとんど取り払われている状態だ。
「あっ…はぅ…♡…きもちぃ…っ…♡、あ…っ」
「零、かわいいな……もっと乱れたところを見せてくれ」
彼と赤く腫れた胸の突起を強めに摘みながら、くったりと芯のなくなった彼のペニスを揉み込むように触った。彼は大きな瞳をさらに開いて生理的な涙をぽろぽろと溢した。
「やぁあっ!?ぜんぶいっしょはだめ…っ…♡あうぅ…」
止めようと手を伸ばしてくるがもはや力は出ないようで、宙に手が漂うだけだった。
なすすべもなく上も下も快感を拾うことしかできない彼は、再びお腹を痙攣させ始めた。
「ふぁ…あぅ…っ…♡で、る…っ…♡」
びくびくと力なく体を震わせ、ペニスからは勢いのない白濁が溢れた。あまり量はなく、おそらく彼の精液は底をついたのだろう。
継続して彼の赤くなったペニスを精液を織り交ぜながら手でコネ回してやれば、強すぎる快感から逃れようと振り絞る力で後ずさろうとする。ベッドサイドに頭をぶつからそうだ。一度彼の中に入ったままのペニスを引き抜いてから、ぐいと彼の両脚を引き寄せて彼の尻が俺の腹にピッタリ付くようにした。あらゆる体液に塗れた秘部がよく見える。
彼の可哀想に怯えたペニスの刺激を再開し、彼の嬌声ももはやぐずる子供のようになってきた。そろそろ彼の限界も近いだろう。
「やぁ…っ、♡…でちゃう…っ…!ぐすっ…っ…」
本能的に自分のペニスから精液以外の何かが出てくることがわかっているのだろう。制御不能な下半身に怯える彼は可哀想で可愛い。
「じゃあ俺も君の中で出すから、君も一緒に出そうな。もう少し付き合ってくれ」
もう一度彼の中に自分のペニスを押し入れて、フィニッシュに向けてより激しく彼の中を撹拌した。同時に触る彼のペニスから粘着の薄い透明な体液がたらたらと流れている。涙も涎もいたるところから体液を溢している彼を見て、脱水になってしまうのではないかと心配だ。あとでしっかり水分を取らせよう。
(今回はゴムをしているが)中に出しても良いかと一応訪ねてみれば、殆ど声が出せない彼はコクコクと頷いて答えてくれる。それを受けて最後にぐっと己の剛直を彼の最奥へ押し付け、欲望を放った。
それと同時に彼も全身を震わせて勢いよく潮を吹き出したあと、壊れた蛇口のようにしばらく透明な体液が漏れ出ていた。その間、彼の中も激しい収縮を繰り返し、俺の吐き出したものをすべて搾り取ろうとしているように蠢いた。
「ん…はぁ…っ…♡はぁ…はぁ…」
「零、よく頑張ったな」
彼の呼吸が落ち着いたのを見計らって、俺は漸くペニスを引き抜いた。
彼の顔にまで潮が飛んでおり、思わず顔を寄せで舌で舐めてみた。
「やはり美味いな」
「…そんなにお腹空いてたんですか…?」
先程の発言を覚えていたようで、彼はまたずれたことを聞いてきた。まあ、可愛いからそういうことにしておこう。
「君も一度水分を取ったほうがいい。たくさん水分出したからな」
ぼふり、と枕が顔に飛んできた。彼は顔を真っ赤にして情事の余韻の残る目元で睨んできた。
今までだって潮を吹いてきたというのに、彼は毎度慣れずに恥ずかしがる。
「もう夜中だからあんまり食べちゃだめですよ!明日の朝いっぱい作ってあげますから」
こういうところが妙に真面目でとても彼らしいと思った。
先程まで理性がなくなるほどに組み敷かれていたというのに、案外けろっとしている。切り替えの早いところも好きだ。
「体べたべたするからお風呂入りたいです」
「じゃあ一緒に入ろうか」
「良いですけど…今日はもうえっちなこと禁止ですよ!」
じろりと睨まれたので、唇に誓いのキスをした。もちろんだとも。明日は久しぶりに休日が一緒で一日中彼を独り占めできるのだ。続きはまた明日やれば良い。
fin.
【零くんのとあるお悩みをきっかけに赤安が恋人になるまでのお話】(約9000文字)
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・赤井さんが割とゴリ押しで距離詰めていきます
・風見、ジョディ、キャメルが友情出演してます(良き同僚達)
・以下描写があります(性癖チェック)
※冒頭で零くんが赤井さんを思い浮かべて0721をしてます
※後半で攻めの0721を匂わせる描写(話の流れでオカズ(=零くん)の話してます)
※兜合わせ
※受けの潮吹き
「つかれた……」
ぼふん、と降谷は寝室のベッドに倒れ込みながら呟いた。ここは自分のマンションで一人しかいないが、自分自身を労う気持ちで呟いた。
公安案件の事件で1週間警察庁と現場をひたすら往復し、ようやく帰路につけた。例の組織を瓦解したとはいえ、自分の仕事が楽になるわけではない。むしろ、組織から解放されたならもっと仕事をくれてやると言わんばかりに案件が押し寄せてくる。
とりあえずスーツぐらいは脱ごう。そう思い立ってグレーのスーツを気だるげに脱ぎ始めた。脱いだ衣類を几帳面にシワを伸ばしてからハンガーにかけ、下着一枚の姿でベッドに身を沈めた。
時刻は既に夜中の2時。明日は幸いにも昼から警察庁に出勤予定だ。
明日に備えてゆっくり睡眠をとろう。
「…………」
おかしい。これだけ疲れているというのに全く眠りにつけない。
「眠れない……」
直前まで頭をフル回転させていたせいだろうか。交感神経がまだ昂っているのかもしれない。
ちらりと自分の下半身を見ると、中心がゆるやかに持ち上がっていた。
「うぅ……」
一度出さないといけないかもしれない。はぁと盛大にため息をついた。
降谷は進んで自慰を行うことは無い。特に気持ち良いと思ったことは無いし、必要性も感じなかった。
渋々自分のそれを取り出してゆっくり手で擦りはじめた。繰り返していると次第に高まりに近づいていく。
「は……ん…」
同時に眠気が襲ってきて意識もぼんやりしてきた。この調子で眠れそうだ。
昼から庁舎に行って、書類を確認して…ああそうだ、例の案件で赤井に話が……
「あか……い……っぁ……!?」
びゅくりと白濁が手から溢れ出た。降谷は唖然と手についたそれを眺めた。
「え……あ…うそ……」
赤井の顔が浮かんだ瞬間、高まりに上り詰めてしまった。自分の名を呼んで、やあと片手を掲げる男の姿。なんて事ない場面のはずなのに。
高まりに上り詰めた瞬間から、今までに無い多幸感すらあった。
「なんで…………?」
しばらく呆然としたあと罪悪感に襲われ、たまらずぎゅっと手を握りしめた。
こんなことはあってはいけない。だって赤井は大切な友人なのだから。
昨夜の件があったせいで、降谷はあまり眠ることができなかった。
だからといって仕事の量は変わる訳ではない。
いつも通りひとつひとつ仕事をこなしていき、最後に赤井のいるオフィスを訪れた。
入り口から部屋の中を見渡すと、すぐに特定できた。相変わらず全身真っ黒な装いだ。
「赤井!」
「ああ、降谷くん」
降谷の呼びかけに、赤井は同僚との話を止めてすぐにこちらへやってきた。
「今大丈夫でしたか?例の事件のことで相談があるんですが…」
言いかけたところで赤井が降谷の目元をそっと触れてきた。
「えっ……?あ、あの…」
「目の下の隈が酷いな。あまり眠れていないんじゃないか?」
赤井が至近距離で降谷を見つめると、降谷は昨夜のことが浮かんで思わず目を逸らした。非常に気まずい。
「あー…ちょっと仕事が忙しくて…」
「あまり無理をしないでくれ。君はいつも働きすぎだ」
「ええ…そうですね」
言えない。昨夜赤井の顔を思い浮かべて自慰をしてしまったなんて。絶対に言えない。
その日は赤井の目を見ることができなかった。
それからというもの、降谷はなるべくあの夜のことを思い出さないように必死になった。
しかしそんな気持ちとは裏腹に、今度は夢の中に赤井が現れるようになった。
触れてくる箇所は頭、頬といった程度のものから首筋、胸、足の付け根……とより際どい場所へと移って行く。
そして目覚めた朝はひどい罪悪感に襲われた。自分はどうかしてしまったのだろうか。
「赤井……ごめんなさい……」
降谷はベッドの上でひっそりと懺悔した。
罪悪感から、降谷は職場で赤井を避けるようになった。
赤井はここ最近すこぶる不機嫌だった。
原因は降谷くんから避けられていることにある。
降谷と友人関係を気づいてから数ヶ月となり、そろそろ恋人の段階に進もうと画策していたところだった。
避けられる理由も考えてみたが思い当たることはない。
「ちょっとシュウ!最近仕事に身が入っていないんじゃないの?物思いに耽っちゃって…」
同僚のジョディが釘を刺してきた。彼女の隣にいるキャメルは心配そうな顔でこちらを見ている。
「いや…問題ない。それより最近降谷くんを見なかったか?」
「フルヤ?彼となら昨日一緒にランチ行ったわよ」
「なに……?」
予想外の返答だった。自分とのランチを断ってジョディと……?眉間の皺が深くなった。
「結構一緒に行ってるわよ。彼美味しいお店いっぱい知ってるのよ!昨日のパスタも最高……ってどうしたのよ」
明らか不機嫌オーラが増した赤井にジョディは怪訝な顔を向けたが、その心意を理解してニヤリと笑った。
「ははーん、さてはフルヤとランチ行ったのが羨ましいんでしょ!あんた最近フルヤにご執心だものね」
「…………」
無言でイスから立ち上がると、赤井は入口の方へと歩き出した。
「シュウ?」
赤井が廊下の方へ消えていき、ジョディは肩をすくめた。
「重症ね……」
「降谷さん、何か難しい案件抱えておられるんですか?」
「え?」
署名が必要な書類を持ってきた風見が心配そうに降谷を見つめた。
「そんなことはない。どうしてそう思った?」
「いえ、ここのところずっと思い詰めた表情をしていたので……」
思い詰めていたのは赤井のことに関してだが、部下に心配をかけるほど顔に出ていたらしい。
「……ちょっと最近眠りが浅くてね。疲れが溜まっているだけだよ」
「そうですか……あまりご無理なさらないでくださいね」
書類に印鑑を押して渡してやると、ひっそりとため息をついた。
まさか言えるわけがない。毎夜赤井が出てきて、その上いかがわしいことをしてくる夢を見て困っている、なんて。
降谷は少し外の空気でも吸ってこようと席を立ち廊下に出た。その瞬間目の前に全身黒い男が立ち塞がった。
「降谷くん」
「うわぁぁ!!??」
なんでいつもタイミングが絶妙に悪いのだろうか。
思わず叫んだ回れ右をしたところで、がっちり腕を掴まれた。
「こら、逃げるな」
「いま、ちょっと忙しくて…っ!!」
「話があるんだ」
グイグイと腕を引かれ、そのまま廊下を歩かされた。
感情が追いつかないまま降谷は無言でその背中を見つめた。掴まれている手は夢の中よりもずっと力強かった。
近くの資料倉庫へ入ると、赤井はガチャリと鍵をかけた。ゆっくりと降谷のほうを振り返ってじりじりと距離を詰めてくる。その気迫に降谷は思わず後退りした。
「あ、あの……最近付き合い悪いこと怒ってます……?すみません、最近忙しくて、」
「昨日はジョディとランチしたんだろ?」
とうとう壁まで追いやられ、赤井は彼を逃がさないように壁に手を突いた。降谷はごくりと息を呑んだ。
「なぜ俺を避ける?悩みがあるなら言ってくれ。俺たちは『友人』だろう?」
赤井は自分のセリフに眉を顰めた。「友人」なんてもどかしい関係性だ。もっと踏み込みたいというのに。
「……聞いたら僕に幻滅するかもしれないですよ」
「しないよ、絶対に」
続きを促す赤井に、とうとう降谷は折れた。
「……毎日夢を見るんです……あなたの」
「俺の?」
「ええ、その……ただ出てくるだけじゃなくて……ぇ、えっちなことをしてくる……内容で…」
言っているうちに降谷の羞恥が限界値を超えてしまった。顔から首にかけて真っ赤になり、視界も涙でぼやけてきた。
「ああ……赤井の前で何言ってんだろ……」
「大丈夫だ、そんなことで君のことを嫌いになったりしたない」
むしろ朗報だ、と赤井は内心喜んでいたがそんなことを言ってしまえばより距離を置かれそうなので心に留めた。
「何かきっかけみたいなのがあったのか?」
「え!?いや、その…別に」
「降谷くん」
全て話してくれ、と視線で訴えられ、降谷はおずおずと口を開いた。
「じ、自慰を……したとき……あなたの顔が浮かんで……その…うぅ……き、気持ちよくなっちゃって……」
ああ、神よ。赤井は心の中で思わず神に感謝を捧げた。彼がマスタベーションで自分を無意識に思い出していた?好きな相手の可愛らしい行為に嬉しくならない男がいようか。
顔には一切の動揺を見せずに、赤井は質問を投げた。
「君、普段からそういう行為をするのか?」
「な、なんてこと聞くんですか……!!しないですよ!!その日はたまたま眠れなくて…」
「ふむ……」
赤井は頭の中でプランを瞬時に練った。これはあと一押しかもしれない。
「僕おかしくなったんでしょうか……あなたは友人なのに……」
「そんなことはない。そこで提案なんだが、今度の週末君の家に行っても良いか?」
「え?ええ、良いですけど……何をするんです?」
「君の悩みを解消する手段があるかもしれない」
「……?」
次の週末、赤井は約束通り降谷のマンションを訪れた。
仕事終わりに近くのスーパーでお酒とつまみを購入した。
赤井から受け取ったレジ袋のなかを降谷が物色すると嬉しそうな声を上げた。
「あ、これちょっと飲んでみたかったお酒だ!」
「以前君が言っていたからな、ちょうど目に入ったんだ」
「ふふ、ありがとうございます。あとでお金半分出しますね」
まずは飲もうか、と赤井が提案すると、二人でソファに並んで乾杯した。当たり障りのない映画を観ながら、しばらくはたわいもない話をした。
お酒も進んで、降谷がほろ酔いになった頃、彼がふと話題を切り替えた。
「あの、これが解決策なんですか?普通の宅飲みな気がするんですが……」
「いや、それはこれからだ」
「何をするんですか?」
「これから君が見た夢の中の出来事を俺が再現する」
「…………はい……?」
理解が出来ていない様子の降谷に、赤井は続けた。
「夢というのは少なからず自分の欲望が反映される。ならば一度現実で体験できればそういった夢を見なくなると思ったんだが……」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
赤井の発言に降谷は立ち上がって赤井から距離をとった。
「そ、それは……赤井が僕にえっちなことするってことですか」
「まあ、そうだな」
冷静に返す赤井に対し、一気に顔を赤らめた降谷は全力で首を振った。
「そんなのダメです!友人はそんなことはしないです!」
「友人である君の悩みを解消したいと思っての提案だったんだが……だめか?」
赤井少し困ったような表情で降谷を見つめていた。赤井は知っている。彼が「友人」というワードと自分のこの表情に弱いことを。
「うぐ……」
赤井の目論見通り、降谷は揺らいでいる様子だ。あと一押しだ。
「まあ、君がそういう行為が怖いんだったら無理強いはしないよ」
「怖くないです!!望むところですよ!!!」
降谷は赤井の最後の言葉に反射的に返した。そう、降谷は赤井に対して非常に負けず嫌いなのだ。
降谷はしまったという顔になったが時すでに遅しだ。
赤井はひっそりと勝利の笑みを口元に浮かべた。
寝室に移動し、ベッドの上で赤井は降谷を後ろから抱きしめる体勢になった。
「本当にするんですか…?」
不安そうに降谷が振り向いた。
「さっきそう言っただろ?」
「お、お風呂先に入った方が……僕ちょっと汗かいてますし」
「君は綺麗だよ。良い匂いだ」
赤井は目の前の降谷の首筋にそっと顔を近づけた。すんと嗅いでみれば彼本来の甘い香りがした。
「ひっ……」
「ほら、言ってごらん。俺が夢の中でどんなことをしたのか……」
「うう………最初は頭と頬を触って…」
「手で?」
こくり、と控えめに頷く形の良い頭を確認して、言われた通りに手で優しく触れていった。
「っ……」
「次は?」
「……首筋と胸……を手で触ってた」
降谷の着ているワイシャツのボタンを外し前をはだけさせると、赤井は彼の首筋をするりと撫で、そのまま胸へとたどり着いた。
程よく鍛えられたしなやかな上半身は自分のものと比べて華奢に見えた。二つの小さな胸の突起は綺麗な薄桃色で可愛らしい。
その突起を指で摘んでみると、腕の中の降谷はびくりと体を震わせた。
「やっ……そんな触り方してなかった……!!」
「どんな触り方をしていた?」
「ただ胸全体を優しく撫でてた……」
「はは、夢の中の俺は随分と遠慮がちな触り方なんだな」
恋愛ごとには疎い彼のことだ。性的な触れ合いと言っても彼の考えるそれは微笑ましいものだと想像がついた。
しばらく胸の突起を指でやわやわと遊んでいると、次第に降谷が両足をもじもじと擦り合わせ始めた。
すぐに気づいた赤井は、胸を触っていない方の手で、彼の中心をスーツ越しに触れてみた。
「あ、やだ……!!」
「下の方反応してきたな」
「うう……」
あまりの恥ずかしさに降谷は涙目になっていた。
赤井は彼を宥めるように彼の丸い後頭部にキスを落とした。
「大丈夫だよ。リラックスできてる証拠だ」
キスを落として宥めつつ、片手でスーツのベルトを外すと、そのまま下着の中に手を入れた。
少し硬度を持った彼の中心が控えめに首をもたげていた。
「あっ……!?だめ……」
「このままじゃ辛いだろう?」
「やだやだ、汚いからっ……ふぁんっ……」
腕の中で暴れていたが、先走りの体液を絡めながら中心をゆるゆると上下に擦ると嬌声をあげて大人しくなった。
「あっ……はぁっ……んん」
自分の声とは思えない甘えた声が抑えられず、降谷は咄嗟に手の甲で口を押さえた。
「降谷くん、かわいいよ……声は抑えなくて大丈夫だ」
胸と中心を同時に弄られ、耳元では赤井が甘い言葉を囁き、降谷は未だかつてないほどの快感を拾って溺れかけていた。
頭の中がどんどんぼやけていくなか、降谷はぼんやりと考えた。
(なんでこんなことになってるんだっけ……?)
降谷の中心は完全に勃ちあがり、絶頂が近づいていた。
「やぁ…もう出ちゃう…っ…から…はなして…っ!!」
再び腕の中で必死に暴れ出した降谷に対し、赤井は少し強めに中心を握ると、びくりと体を震わせた。
「ひあっ!?」
「大丈夫だよ。ほら、一度出しておこう」
先端から溢れ出る白濁の液体を絡めながら、わざと卑猥な水音がするように上下に擦ってやると、降谷は堪らないという風に頭を横に振った。
「音やだ…っ…はずかしい……あ、ふぁっ…!」
彼の内腿がふるふると痙攣しはじめている。限界が近いようだ。
赤井は降谷の中心の先端を執拗に擦り、ぐり、と強めに尿道口を押した。びくり、と降谷は今までで一番強く体を震わせ上半身をのけぞらせた。
「ああっ……!?ィ……っ……!!」
びゅくりと赤井の手の中に性液を吐き出した。下着にもそれは付着してぐちゅりと卑猥な音が鳴った。
「ん……は……っ……」
「ちゃんとイけたな」
降谷は肩で息をしながら快感の波が引くのを待った。
そうしている間に、赤井は降谷の穿いているものを下着ごと脱がしに掛かった。ワイシャツと靴下のみ纏った姿はひどく扇状的だ。
「あ、赤井……」
「うん?」
「僕、やっぱりおかしくなっちゃったのかな……?」
降谷は後ろを振り返って赤井の目を見つめた。先ほどの名残で目元は潤んでおり、顔の幼さがより際立っていた。
「赤井にしてもらったら、夢の中の時よりもずっと気持ち良くて……その……もっと……」
「もっと?」
「もっと……気持ちよくなりたい……って思ちゃいました……うう…赤井は友達なのに…こんなのおかしい…」
「おかしくないよ」
赤井は自分の腰を降谷に強く押し付けた。ごり、と音がしたと錯覚するほどにそれは硬くなっていた。
「え……!?うそ……」
「俺も降谷くんと同じ気持ちだよ」
「……赤井も友達とこういうことしたくなることあるんですか?」
「友達と、じゃない、君にだけ、だ」
降谷を自分の方に体を向けさせると、彼の手を掴んで自分の中心へと誘った。
「ほら、君の乱れた姿をみてこうなったんだ」
「……っ……」
布越しでもかなりの質量のあるそれは、時折手の下で生き物のように動いていた。その生々しさに思わず手を退けようとするが、赤井はその手を離さなかった。
「なあ、降谷くん。今度は君が俺のを触ってくれ」
「へ……?」
「君だけ曝け出すのはフェアじゃないからな」
赤井の術中に嵌っている時点で、フェアなことなど存在しないが、降谷は赤井に負けたくない、という気持ちには勝てなかった。
「いいですよ。今度は僕が赤井のを触ってあげます」
言ってみたものの、自分以外のそれを触るなど、今までに無い経験だった。
とりあえずおそるおそる赤井のスラックスのファスナーを下げて前を寛げると、下着からでも赤井のそれの大きさがわかった。
ごくりと唾液を飲み込んで、下着をしたりずり下げると、自分のそれとは似ても似つかないほど凶悪なものが露わになった。降谷は青ざめた。
「ひぇ……」
サイズもすることながら、色も赤黒く、竿に浮かぶ血管がどくどくと波打っていた。
降谷の怯んだ様子に、赤井は申し訳なさそうな表情になった。
「あー……怖がらせてしまったか?」
「……!別に怖くないです!!」
降谷は自分を奮い立たせて、目の前の凶悪なそれを手で擦ろうとした。が、完全に張り詰めたそれを闇雲に擦っても、さすがに痛そうだと踏みとどまった。
潤滑に適したものはあいにく部屋にはない。少し逡巡してから、自分の右手中指と人差し指を自分の口まで持っていき、ぺろぺろと舐めて唾液を絡めると、それを赤井の竿に絡めてゆっくりと上下に擦り始めた。
時折不安そうに上目遣いで降谷が見上げてくる。赤井はその視線に応えるように頭を撫でてやった。
「上手だよ……」
実際のところ、降谷の手つきは拙いものだが、彼の滑らな手で凶悪な自分のそれに触れている、という状況は十分すぎる刺激だった。
「赤井は、一人ですること…あるんですか?」
沈黙に耐えられなくなった降谷が赤井に質問を投げかけた。
「うん、あるよ」
「……どんなこと考えるんですか……?」
ちら、とこちらを伺う降谷に、赤井は降谷の頬を優しく撫でた。それと裏腹に瞳は捕食者を捉える目つきをしていた。降谷は本能的に食われる、と思わず後ずさろうとしたが、すかさず赤井はその腕を掴んだ。
「君のことだよ」
「…っ…」
「君を組み敷いて、快楽で乱れる様を何度も想像したよ」
「う、うそだ…っ…」
「嘘じゃない。俺のを君が口で咥えてることもあったな」
「やだ、やめて…」
「君の両手を固定して逃げられないようにして、俺のものを君の中に挿れて…」
「そんなの、友達じゃない!!」
降谷はとうとう耐えられずに赤井の言葉を遮った。はらはらと落ちる涙をそのままに、赤井を睨みつけた。
「そんなの…友達じゃおかしい……」
「ああ、おかしいな」
赤井は降谷の後頭部を捉えて自分の方へ引き寄せると深く口づけた。息苦しそうに赤井の胸をどんどんと叩くが、そんなこと気にしている余裕はなくなっていた。
ようやく解放されて、息を整えている隙もなく、降谷は赤井に押し倒されていた。
「もうわかってるだろう?俺たちはこれから恋人になるんだよ」
「んぁっ……やあ…まって……!!」
赤井は自分のペニスと降谷のそれを一緒に擦っていた。
ぐちゅぐちゅと卑猥な水音と降谷の甘い喘ぎ声が部屋を満たす。
この行為で降谷はすでに3回も精を吐き出していた。赤井の下で降谷は必死に訴えるが、それでも赤井はその手を止めようとしない。
「はっ…降谷くん、恋人になること、良い加減認めたらどうだ?」
「うぁんっ……やだ…みとめないぃ……っ…!とめてぇ」
降谷はこの時既に赤井に対する気持ちは自覚し始めていた。もはや認めないのは意地だった。
こんな形で自分に自覚させた赤井に対する小さな抵抗だった。だが、それもそろそろ限界が近い。
赤井は降谷のペニスの先端を意地悪くぐりぐり刺激した。
「ああっ….それやだぁ…っ……!ぐすっ…きょうのあかい嫌いだ…!!」
「はは、嫌いか!俺は好きだよ。愛してる、零」
「うぁ…な、なまえ…ひきょうだ…!あああっ」
びゅくりと4度目の絶頂を迎え、びくびくと体を震わせた。精液と言うにはほとんど透明に近く、出すものも無くなってきたようだ。既に降谷のペニスは硬度はなく、くにゃりとして芯を保ててはいなかった。
赤井はさらに追い討ちをかけるように、降谷の柔らかくなったペニスだけを執拗に先端をやわやわと刺激した。
「ひああっ!?まって、やだ、なんかへんだから…っ…!」
「ほら、往生際が悪いぞ、零」
「ちが、ほんとに、おかしくなる……っ…んああっ!!」
次第にくちゅくちゅと水音が大きくなってきて、いよいよ降谷は大粒の涙をこぼしながら必死に首を振った。
「やだやだやだ……!!出ちゃうからぁ……!!ああああっ!!!」
ぷしゃっと尿道口から勢いよく透明な液が吹き出した。降谷は訳がわからず慌てて自分のペニスを押さえた。
「やだ…なにこれ…っ…とまらない……!」
尿道口からは勢いはないがいまだにしょわしょわと透明な液が漏れ出ていた。
潮を吹いたことを降谷は粗相をしたと勘違いしているようだった。
「ぐすっ…ぼくの…こわれちゃった…あかいのせいだ…っ…!」
「うん、そうだな。俺のせいだ。ちゃんと責任持つよ。だから恋人になると認めてくれ」
赤井が降谷を抱きしめてキスをすると、降谷はそれに応えるようにそろそろと赤井の背中に腕を回した。
降谷はとうとう折れることにした。
翌朝、降谷が目を覚ますと、隣にはこちらを愛おしそうに見つめる赤井の姿があった。
「おはよう、零」
「…っ…」
降谷は昨夜のことを思い出して、顔を真っ赤にしたかと思えばむすっと不機嫌な顔に変わった。
「おまえ、全部わかっててやったんだろ」
「これぐらいしないと君は自覚してくれないと思ったんだ。俺も必死だったんだ」
額に軽くキスを落として機嫌を直してもらおうとする赤井に、降谷はぐぬぬと唸った。
(僕に必死な赤井、悪くない)
結局、今回は許してやろう、という結論に至った。
案外自分は恋人に甘いのかもしれない。赤井の腕の中で降谷はぼんやりと思った。
fin.
※pixivで投稿した内容です。
【赤安がベッドでイチャイチャするお話】(約3000文字)
<caption>
・零くんががんばって赤井さんのXXLをフェラしています
・本番の挿入シーンはふわっとしか書いていないです
「今日、僕が口でしてもいいですよ」
正座した膝の上に固く握った両手を載せた降谷の様は、まるで武士のような佇まいだが、発せられた声はあまりにも細く消え入りそうだった。
口元をきゅっと引き結んだまま下を向く降谷の表情は、向かい合って座る赤井からは見えないが、彼がどんな表情をしているのか手に取るようにわかっていた。
「降谷くん、それは願ってもない提案だが、君の負担になるようなことは、」
「無理じゃないです!それぐらい出来ますよ!!」
がばりと赤井の方を向いた降谷の顔は耳まで真っ赤だった。
赤井に対して条件反射で対抗心を出してしまう降谷が、赤井は愛おしくて仕方なかった。
赤井が降谷と恋人という関係になってから半年が経った。
恋人となる前から彼とはそれなりに人生を共有してきたつもりだったが、彼が自分以外と一度も恋人を作ったことがないと告白された時は驚いた。
それもあって赤井が降谷のペースに合わせる形でゆっくりと恋人としての歩みを進めてきた。
デートを重ね、一緒に食事に行き、手を繋げるようになって、1ヶ月目でキスまで辿り着いた。
赤井が今まで付き合ってきた誰よりもそれは遥かに長い道のりだったが、赤井は待つのは得意だ。それに、じっくりと時間をかけて降谷自身が赤井の恋人になっていく様子を自分だけが見られることを喜んでいた。
そうして3ヶ月目にしてようやく体を重ねるようになった。それからは彼が性行為を気持ち良いと認識できるようじっくりと回数を重ねてきた。
そして6ヶ月目を迎えた今日、赤井の寝室で彼は何と言ったか。
性行為にもだいぶ慣れてきたなとは思っていたが、まさか彼の口からそのような提案をしてくれるとは。
「僕たち付き合って半年経ちました……それで、いつもこういうことは赤井がリードしてくれたので僕からも何かしたいな……と」
これほど可愛い恋人がいるだろうか。赤井は思わず天を仰ぎそうになった。
たまらず赤井は彼の顔にそっと触れると、こちらを伺うようにちらりと上目遣いで見上げる彼に愛しさが込み上げた。
「わかった。ただ、辛かったり無理だと思ったらすぐにやめるんだ」
赤井の言葉に彼はこくりと頷いた。
赤井がベッドのふちに腰掛けると、降谷はその脚の間に入るようにフローリングに正座した。
「降谷くん、脚痛くないか?」
「大丈夫です」
降谷はゴクリと息を飲み、意を決した表情で赤井のボトムスのファスナーをゆっくりおろし、ボクサーパンツの裾をぐっと引っ張った。下着から出てきた赤井のペニスはすでに固く反り返っていた。
「えっ!?なんでもう固くなってるですか!」
「無茶言わないでくれ……」
今目の前で自分のものを口で可愛がってくれると言われて喜ばない男がいるだろうか。
降谷としては想定外だったらしく、一瞬怯んだ表情になった。が、すぐに持ち直すと、形の良い口で先端をパクリと咥えた。
「んん……」
降谷はチロチロと小さな舌で先端を舐め、添えていた右手で竿の部分もゆっくりと扱き始めた。
動作は拙く、決して上手いというわけではないが、恋人が自分のペニスを一生懸命に舐める姿はあまりにも刺激が強すぎる光景だ。
赤井は降谷の頬に垂れた髪をそっと耳に掛けると、そのまま耳を撫でてやった。
「君のことだから事前にやり方いろいろと調べてきたんだろう?嬉しいよ」
「……っうるひゃい」
図星だったようだ。撫でている耳が熱くなっている。
降谷は誤魔化すようにペニスをぐぐっと口の奥へ進ませた。
「……ん……」
規格外のサイズのペニスは全体の半分も口に収まらず、降谷は何とか必死に頭を前後に動かした。
がつがつと動くたびに先端が上顎に擦れ、降谷は快感として拾い始めていた。
次第に降谷の表情がとろんと溶け始めた。赤井はその様子にふっと笑った。
「気持ち良さそうだな」
「……あひゃいもひゃんほひもひいい?」
"赤井もちゃんと気持ちいい?"
降谷の問いかけに応えるように、彼の柔らかいミルクティーの髪を優しく撫でた。
「ああ……」
このまま更に喉の奥まで突いたら彼はどうなってしまうだろうか。赤井は沸き起こる加虐心を押さえ込んで降谷のやりたいようにさせた。
降谷が赤井のペニスを自分の喉奥へと進めてきた。もはや話すこともままならず苦しそうな表情に変わった。
「あ…ぐ……んん」
「降谷くん、それ以上は無理だ」
「ん"〜〜〜!!!」
赤井の言葉に降谷は眉を吊り上げて潤んだ瞳で睨みつけた。彼の負けず嫌いに火をつけてしまったようだ。恋人になっても赤井に対する負けず嫌いは健在で、こんな時にでさえ発動してしまうのだ。
「んぐっ……」
とうとう先端が喉奥に辿り着き、ぎゅっと口の中で締め付けると、その刺激に赤井は唸った。
その赤井の様子に降谷は得意げな表情になった。自分のそれを咥えたまま「どうだまいったか」と言わんばかりの顔だ。
その顔を見た瞬間、赤井の中で押さえ込んでいた理性が吹き飛びそうになった。降谷の頭を掴み、勢いよく己のものを口から引き抜いた。
「ぷはっ……ちょっと何で抜いたんですか!まだ途中…」
「零」
赤井の声にびくっと降谷は固まった。いささか声が低い。恋人になって赤井が降谷を下の名前で呼ぶ機会は増えてきたが、特に行為中や怒っている時が多い。今のニュアンスは後者に近い。
「あ、赤井……?もしかしてこういうことされるの嫌でしたか?」
「いや、すごく良かったよ……ただ……」
赤井はぐいっと降谷の体を引いて、フローリングから自分の膝の上に座らせると、降谷と目線を合わせた。
「あまり俺を煽らない方がいい。理性が効かなくなる。君の前では俺は紳士でいたいんだ」
「……いいですよ、紳士じゃなくても……」
赤井が軽く目を見張ると、降谷はそっと目線を逸らして続けた。
「赤井が僕がこういうことに不慣れで合わせてくれてることぐらいわかりますよ……。でも僕もこういうことに慣れてきたので……」
降谷は両手で赤井の顔を包み込んでじっと深緑の瞳を見つめて、こつんの額を合わせた。
「余計な遠慮するな!僕の体はそんなにやわじゃない」
「……君には敵わないな」
自分の膝の上に乗る降谷をベッドの上に仰向けに下ろし、赤井は覆い被さるように跨った。
「零、その言葉…後悔するなよ」
ーーー数時間後。
あれから降谷は何度もイかされ、彼の中心は既に勃たなくなっていた。彼の褐色の肌には、あちこちに赤井がつけた噛み跡が残り、腹の周りは自身の精液まみれだ。ゴムはとうに使い切ってしまい、後孔からは収まりきらない赤井の精液が溢れていた。
その一方で赤井のペニスは依然として上を向いていた。その光景に降谷は思わず青ざめた。
「お、おまえのそれ……元気すぎるだろ……」
「君からあんなことを言われたら本気出すさ。それとも君はもうギブアップなのか?」
「……そんなわけないでしょう!?まだまだ行けますよ!!」
赤井の挑発に、降谷はいとも容易く乗ってしまった。
降谷の返事にニヤリと笑うと、赤井は己の先端を降谷の後孔にぴたりと付けた。
「うう……朝になったらおぼえてろよ……」
精一杯の睨みを利かせて赤井を睨むが、赤井にとってはそれすらも愛おしくてが仕方ない。
「朝は俺がホットケーキを焼こう。とびきりおいしいやつだ」
「……コーヒー付き?」
「ミルク入り砂糖なしのやつを付けよう」
「まあ……悪くないです」
素直じゃない恋人の返事を受けて、赤井は彼の頬にキスを落とした。そうして、ゆっくりと彼の中へと進めていった。
二人の夜はまだまだ続く。
fin.
※pixivで投稿した内容です。
【媚薬盛られたバーボンをライが介抱する話】(約9000文字)
<caption>
・管理人の初作品なので文章が他のお話よりさらに拙いです
・組織に二人が潜入していた頃のライバボのお話です
・マッドサイエンティストなモブがバーボンに拷問(ぬるい)しますが、すぐライが助けに来ます
・性的なことしていますが今回は本番シーンは無いです
・以下描写があります(性癖チェック)
※ライがバーボンの自慰の介助します
※受けの潮吹きがあります
「何度言ったら気が済むんだ、バーボン」
「それはこっちのセリフです!」
とあるホテルの一室で2人の男の声が響き渡る。
バーボンは自分よりほんの少しだけ上背のある目前の男に少しでも威圧感を出そうと睨みを効かせた。
「予定通り僕が例のラボに侵入して情報を取ってきます!今回ライはその補佐だと言われてるはずです」
バーボンと対峙する男、ライは何度目かのため息を吐いた。自分より少し低い位置から彼が上目遣いで訴えてくるが、ライも折れるつもりはなかった。
「あのラボがそう易々と侵入を許すセキュリティなわけがない。1人で乗り込むのは危険すぎる」
「あの会社のセキュリティシステムは全て把握済みです。あとは予定通り僕がラボに侵入して薬の情報もろもろ取ってくるだけです。ライは建物の外から周囲を監視してくれれば十分ですよ」
今回ライとバーボンはとある大手製薬会社が秘密裏に開発したという薬の情報を入手するよう指示を受けていた。
秘密裏に、と言うだけに開発した薬は明るみに出せない代物であることは確かで、こちらの組織としては相手会社の弱みを握り、経済を大きく回せるだけの製薬会社から巨額の金を巻き上げる絶好の機会だった。
(風見たちにも探りを入れてもらったが、以前からうち(公安)で探っていた新種の薬の密売の出所はやはりこの製薬会社で間違いなさそうだ)
バーボン、もとい降谷零としては情報を入手したのち、警察側にリークさせて一斉検挙が真の狙いであった。
「……僕1人では不満ですか?」
「…………」
ライの沈黙を肯定と受け取ったバーボンは、このままではらちが明かないと判断して踵を返した。
「良いですか、このまま予定通りに行きますからね!」
バーボンが部屋に入っていくのを見届けて、ライは何度目かのため息をついた。
ライの目から見てバーボンは非常に優秀な男である、と同時に見ていて危なっかしくハラハラすることが多い。
FBIである自分が組織の人間に対して持って良い感情では無いかもしれないが。
複雑な心境を誤魔化すようにタバコに火をつけた。
自分の寝室に戻ったバーボンは、任務に向けて準備をしていた。先ほどのライとのやりから怒りは鎮まっていなかった。
「なんなんだあいつは……!!」
今までの人生で出会ってきた中で、ここまで自分の神経を逆撫でする人間はライが初めてだった。
スコッチに何でそこまで毛嫌いするんだと聞かれた際に「とにかくいけすかない」と答えたら腹を抱えて笑われた。
スコッチとライは同じスナイパー同士ということもあるのか、そこそこ仲良くやってる。それも気に食わない理由のひとつだった。
「絶対に任務成功させてやる」
バーボンは決意を新たに再度資料に目を通し始めた。
任務当日。世間が寝静まった深夜2時、バーボンは予定通り施設に侵入し、目的の研究室まで辿り着いた。
(ここまで計画通りだ。ライのやつ今日はやけに素直に応じたな……)
当初の計画通りにライは施設の外で待機している。
奇妙に思いつつもバーボンは目的のデータを入手すべく作業に取り掛かった。
必要なデータを組織に転送し、外部媒体にもコピーした。
(外部媒体は後で風見に渡せば、あとは手筈通りに動いてくれるはずだ)
「ライ、予定通りデータは入手しました。これからそちらに戻ります」
『わかった』
インカム越しにライに連絡を取り、ラボの入り口へ踵を返した時、バーボンはふと立ち止まった。
(甘い匂い……?)
さっきまでほんのり薬品の匂いがするだけだったはずだが、今はわずかに甘い香りがする。
「…………っ…!?」
突然バーボンの体から力が抜け膝からくずおれた。
『バーボン?』
手足がまるで自分のものでなくなったように力が入らず、バーボンの体がはそのまま床に倒れた。
『おいどうした、バーボン!』
「か…らだ……が……っ…」
(首から下はほとんど動かない、呼吸は問題ない……)
状況を俯瞰しようと冷静に分析する一方で、バーボンの鼓動は早鐘を打っていた。
(おかしい、この時間帯は施設内に人は居ないはず、)
「やあ、ずいぶんと可愛らしい泥棒だね」
「っ!?」
ラボの入り口付近で男の声がした。
男はバーボンの方に歩み寄るとしゃがんでバーボンの顔を覗き込んだ。
声のする方に視線を向けると、メガネをかけた男がそこに居た。
その男は人物リストに載っていたうちの1人で、例の薬の開発の第一人者とされる人物だった。男はニヤリと不気味な笑みを浮かべていた。
「なぜあなたがここに……!?」
「今日ここにとある組織から回し者が来るってリークがあったんだ。ラボの連中は誰も信じてくれなかったが、万が一のことを考えてここにトラップを仕掛けておいたのさ!」
何度も体に力を入れて動かそうとする様子を見て男は得意げに続けた。
「この部屋への侵入を感知すると僕が作った強力な筋弛緩剤を散布するようにプログラミングしたんだ!ああ、もちろん僕には効かないようにしてある」
(それがさっきの甘い匂いの正体か……!!)
悔しさに唇を噛むバーボンを見て男は興奮して目を血張らせた。
男はバーボンが耳に付けていたインカムを外して、そのマイク越しに話しかけた。
「外で待機してるのかな?残念だけど君のお仲間くんは僕の実験台になってもらうよ。君も時期に僕の雇った殺しのプロにやられちゃうと思うけどね!」
「ライ……!!」
男は気味の悪い笑みで足元のバーボンを見つめていたが、横たわる肢体を服の上からなぞるように指で触れていった。
「……っ…ぅん…ぁ?」
目の前の男に不快感しか感じないはずなのに、触れられた箇所から甘い痺れを感じ、意思と関係なく声が漏れた。
バーボンの反応に男はにやりと笑った。
「この弛緩剤は完全に僕の趣味で作ったものなんだ。動けなる代わりに身体中の感覚が過敏になるように調合してみたんだ。まあ、弛緩剤と催淫剤を掛け合わせたかんじだね」
「はっ……悪趣味なものを……」
「薬の効果は精液を出し切れば抜けるけど、何もしなければずっとその状態なんだ。いやぁ薬の効果は期待通りだよ……!!君に感謝しないとね」
男は薬の試験体が手に入って感情が昂っているようだった。まさに絵に描いたようなマッドサイエンティストだ。
早くこの状況を打破しなければならない。頭でわかっていても男の言う通り指先一つ動かせない。
すると先程の甘い刺激とは打って変わって、激しい激痛が肩に走り、バーボンは瞠目した。
「ぅあぁっ!?」
肩を見ると男が隠し持っていたオペ用のナイフでそこを突き刺された後だった。傷の深さは大したことはないが、今まで感じたことのない痛みにバーボンは襲われた。薬の効果で痛みも増幅するようだった。
「っ……!……はっ……ぅ……っ……」
痛みの衝撃で体が軽く痙攣する。その様子は男の加虐心をさらに煽った。
「あははは!君にはいろいろと試し甲斐があるなぁ!!」
男は新しいおもちゃを見つけた子供のようにバーボンの反応を喜んだ後、思い出したように窓の方へ歩み寄った。
「さっきスマホに連絡が入ったんだけど、君の仲間はもう始末したそうだよ。……ああ、外が明るくなってきた。朝を迎える前に君を実験台に運ばないとね」
(ライがやられただと?)
ーーーいいや、ライはこんなところでやられるやつじゃない!
きっとライだったら今頃こちらの隙を覗って……
バーボンがそう思ったその時、勢いよく窓ガラスが割れ、窓際に立っていた男の断末魔が鳴り響いた。
「ぎゃあぁあぁぁぁあ!!!」
「……!」
男は肩を抑えながら床の上でジタバタと痛みに悶えた。銃弾が肩に直撃したのだとバーボンはすぐに理解した。
「バーボン!」
研究室のドアのほうを見ると、そこには見慣れた長髪の男が立っていた。
「……ラ……ィ……!」
先程の肩の痛みで声が上手くだせないバーボンの様子を見て、ライはすぐに彼の元へ駆け寄った。
「そと……に…いた…なか…まは……?」
「脚と腕を折ってあるから、しばらく動けないだろう。こいつらは後で別のやつに回収させる」
あの研究者の男のスマホに情報を送ったのはライ本人だった。
「嗅がされた薬の症状もおおよそ聞こえた。とりあえずここから引き上げるぞ」
ライがバーボンを抱き上げた際の衣擦れに、バーボンは体をびくりと震えた。
「ぅぁ……っ…!?」
息を整えながらバーボンがそっと見上げると、すぐ近くに精悍な顔があった。
(組織の人間のくせに、なんて顔するんだよ……)
普段人を寄せ付けない空気を纏っている男のはずだが、時たまひどく優しい表情をする。今がまさにそうだった。
その度に自分は対等な存在だと認めてもらえないのだと、下に見られている気がして腹が立った。
そんな気持ちと裏腹に、向けられる深緑の瞳は懐かしい人の面影と重なって不思議と安心した。
ほっと気を緩めた途端、体の異変にバーボンはすぐに気づいた。
「………っぁ……!?」
今まで押さえ込んでいた快感の渦が溢れ出した。突然のことにバーボンは困惑した。
「やっ……なんで……っ……!?」
「バーボン?」
あの研究者を前にしたときは嫌悪感のほうが勝っていたが、今は体の内側からとめどなく快楽の渦が溢れてくる。
「ひとまずホテルに戻るぞ。もう少し耐えられるか?」
ライの言葉にバーボンはこくりと頷いた。
いつになく素直な反応はそれだけバーボンに余裕がないということだろう。
ライは人気のない場所に停めておいた車の助手席にバーボンを載せると、すぐさま拠点のホテルまで車を飛ばした。
拠点のホテルに辿り着き、ライはバーボンを抱えて自分たちの部屋へと向かった。
エントランスに居たフロントマンからは怪訝な顔を向けられたが、ライから一瞥を向けられるとすぐさま目を逸らした。
部屋のベッドにバーボンを寝かせると、汗でじっとりとした彼のシャツを脱がそうとボタンを外しにかかった。
「うぅ……!やぁん……っ!!」
自分から発せられた上擦った声にバーボンは戸惑った。恥じらいから唇を噛み締めるバーボンにライは優しく確かめた。
「唇を噛むな、血が出るだろう」
衣擦れの感覚でさえ快感として拾ってしまうようだ。
「薬の効果はまだ収まらないか……」
ライは脱がした上半身の彼の肩を見やった。
肩の傷はそこまで重症なものではないが、早めに処置をした方が良いだろう。しかし感度が極限まで高められた今の状態で施せば、それは拷問に等しい。
「バーボン、肩の手当てをする前にまずは薬を体から抜く必要がある。あのクソ野郎の言っていたことが本当であれば精巣に溜まったものを出さないと行けない」
「は、はい……」
「本来なら自力でやってもらうところだが、体が動かない以上俺が手伝う。いいな?」
「はい……は?」
固まるバーボンをよそにライは早速バーボンのスラックスに手をかけた。
「バーボン、下脱がすぞ」
「えっ?や、やめっ……!あぅ……っ…!!」
スラックスを下にずらすと、彼はビクビクと体を震わせた。どうやら衝撃で一度射精したようだ。グレーの下着が汗とは別のものでぐっしょりと濡れていた。
羞恥のあまりバーボンは涙目になった。
「うぅ……」
「気にするな、薬でこうなっているだけなのはわかっている。ほら、下着も脱がすぞ」
「や、だめっ……!」
下着をずり下ろすと、ペニスは吐き出した白濁の体液でてらてらと光っており、サイズこそ成人男性の平均よりありそうだが桃色のそれはあまり性的なことに使用していないことが伺えた。陰毛は髪と同じ薄い色素で男性にしては控えめな量だ。
「ううう……」
いつもの強気に釣り上がっている眉も八の字下がっているのも相まって、幼い顔立ちが余計に極まった。
ライは未成年の少年を無体を働いているような罪悪感に思わず顔を覆った。
「……一応聞くがお前は未成年ではないんだな?」
「……どう言う意味です?」
「いや……いい」
成人していることはわかってはいたが確認せずにはいられなかった。ライは処置を続行させることにした。
膝下まで下ろしたスラックスと下着を一緒に足から完全に脱がし、バーボンは一糸纏わぬ状態となった。
ライはバーボンの上半身を置き上げさせると、そのまま彼を後ろから抱き込むような大勢に変えた。バーボンは力無くライの胸にもたれかかった。
「じゃあ触るぞ。いいな?」
「う……はい……」
彼の陰茎は一度射精したにも関わらず、薬の効果で既に硬くなり始めていた。
空気にさらされているためか、それともこれから施されることに怯えているのか、彼のそれはふるふると小さく震えていた。
ライは彼の性器にそっと握ると、ゆっくりと上下にこすり始めた。途端にバーボンの体が大袈裟なくらいにびくりと反応した。
「んあ!?やぁあ!!っっ…あああっ……!!」
陰茎からびゅくりと音を立てて白濁のものが吐き出され、ベッドのシーツにぱたぱたと溢れた。
「はあ……ん…っ……」
バーボンの目からは生理的な涙が溢れた。
あと何回繰り返せば全て出し切れるのか。それまでこの快楽を何度もこの身で受けなければならない。
「ふむ……まだ濃いな」
ライは手についた彼の体液を見ながら耳元で呟いた。
(いちいちそんなこと言うな!!)
声に出して抗議したかったが、達した衝撃で喋ることもままならない。代わりに精一杯肩越しに睨んだ。
バーボンが快楽と羞恥の狭間で葛藤している間に、ライは再び左手で彼のものを上下に擦り始めた。
「やぁっ!!まって、まだイったばっかりだから……!」
構わずライが根本から搾り出すように動かすと、それに合わせるように白濁液が先端から溢れ出た。
「ひぁ……やだぁ……とめてぇ…っ…!」
痛みを伴う拷問のほうがましだと思ってしまうほどに、行きすぎた快感がバーボンを襲った。
すると、バーボンの下腹部が小刻みに痙攣し始めた。射精とは違う感覚にバーボンはさっと顔を青ざめた。
「や、やだ……まって!ちがう……これ、ちがうっ……!」
「ほら、全部だせ。まだはいっているだろう?」
「とまって……!っ……やぁ……!!!」
(違う、これたぶん射精じゃなくて、)
それは射精の感覚といよりも生理現象に近い感覚だった。
バーボンの訴えをよそにライの指が容赦なく排出を促す。先端の敏感な場所をぐにゅりと押されると、バーボンはとうとう限界を迎えた。
「やだやだやだ!!!ひあああっ!!」
先端からぷしゃっと勢い良く透明な体液が弧を描いた。その勢いはすぐに無くなり、代わりにしょろしょろとそれは流れ続けた。
「やぁあ……止まらない……なんでぇ……」
しばらく絶頂が止まらず、バーボンはビクビクと体を痙攣させている。
バーボンは自分の体に起こっている現象に処理が追いつかず、羞恥と罪悪感で混乱していた。
「うう……よごしてごめんなさい……っ……」
「バーボン、大丈夫だ。お前は漏らしてない。潮を吹いただけだ」
「うう……きもちいいの止まらない……」
ライはバーボンが落ち着くまで待った。
快感の波が落ち着き、バーボンがそっと後ろを振り向くと、深緑の瞳と目が合った。
その瞳に映った自分自身の顔は酷く情欲に塗れていた。バーボンは直視できずにすぐに視線を逸らした。
「少し落ち着いたらまた再開する。いけるか?」
こくりと、バーボンは頷いた。
ライは彼の瞳から生理的に溢れた涙を拭ってやると、金色の頭にキスを落とした。
「いい子だ」
「……っ……やめてください」
ライの子どもをあやすような物言いに、バーボンはちくりと心が痛んだ。
何度も射精を繰り返す内に、次第にバーボンの意識は朦朧としてきた。気力と体力が限界を迎えつつあった。
吐き出される精液もかなり減ってきていた。
ライはびっしょりと前髪が張り付いたバーボンの額をそっと撫で、彼の顔を覗き込んだ。
「バーボン、大丈夫か。あと少しで薬が抜ける」
「ん……ほんと……?」
ライの言葉にほっとしたのか、彼はふにゃりと幼子のように笑った。
「……っ……」
向けられたその表情にライは思わず息をのんだ。
普段から勝気で生意気で少々口うるさい男からは想像できないほど、あどけない表情だった。
「……バーボン、あまりそういう顔を他のやつには見せるなよ」
「かお……?なんで……?」
自分で発した言葉にライは戸惑った。なぜそんなことを口走ったのか、自分自身が一番わからなかった。
「…………組織の奴らにあまり気を許すなと言う意味だ」
ここにいる限りほんの少しの弱みでさえ足元を掬われるのだから。
(本当にそれだけか?)
ライは自問自答したが、その感情に蓋をした。これ以上踏み込んでは行けない、理性がそう警告していた。
「もう一度触るぞ」
彼の性器は摩擦で赤くなっていた。ライは強い刺激になりすぎないよう彼のものを優しく触った。
「ふぁっ……あぅ……」
先端から溢れる液体はほとんど透明で、なるべくそれを絡めるように優しく撫でてやった。
「ん……きもちいい……」
薬の効果がだいぶ抜けてきたようで、激しい刺激で悶えることはなく、今は与えられる快感を素直に受け止めている様子だった。
「あ……でる……」
ぴくりと体を震わせながら、バーボンはとぷりと少量の液を溢した。
「………………」
「……バーボン?」
ライが呼びかけてもバーボンからは返事がなく、代わりにすうすうと規則的な寝息が聞こえてきた。
「……おやすみ、バーボン」
ライはもう一度金色の頭にキスを落とした。
気絶したバーボンの体を洗った後、ライは再びベッドに彼を寝かせた。ようやく右肩の手当てができる。
幸いにも傷はそこまで深いものではなく、後遺症は残らないだろう。
手当てを終えると、ライは横ですやすやと寝息を立てるバーボンの上半身を観察した。
「…………」
同じ男とは思えないほど滑らかな美しい褐色肌だが、上半身の至る所に傷跡があった。
ライは脇腹の傷にそっと手を伸ばした。銃弾が掠めたこの傷跡は、ほかのものよりまだ新しい。
(これはこの前の任務の時やつだろう)
彼の能力は非常に優秀であることはライも認めているが、すぐに無茶をしては大小様々な怪我を作ってくる。
彼には無茶をしないよう作戦の度に諭すがまったく聞く耳を持たない。お陰で彼からは嫌われている。いや、初めから睨まれていた気はするが。
組織の人間であることはわかっていてもどうにも彼を放って置くことはできなかった。
(それに彼はもしかしたら……)
そこまで考えてライは頭を振った。
自分と同じ立場の人間かもしれないなどと都合よく考えてはいけない。まだ可能性があるというだけの話なのだから。
タバコを箱から一本取り出すと口に加えて火を着ける。煙を吸うといくらか頭がクリアになった。
(彼のことになるとどうにも肩入れしすぎる……らしくないな)
ふぅと煙を吐き出すと、白い煙が空中を漂った。
「…………タバコ臭いです」
声のする方を見ると、バーボンが迷惑そうにこちらを見ていた。ようやく意識が戻ったようだ。
「体調はどうだ?」
気にせずタバコを吸う男に舌打ちをしてから、バーボンは体の状態を確認する。
「怠さはありますが、薬の効果は抜けたと思います」
「そうか……」
「…………」
バーボンはしばし押し黙ったあと、意を決したように口を開いた。
「……すみません、今回は僕のミスです。もう少し慎重に動くべきでした」
タバコの火を灰皿で消すとライは逡巡したのち言葉を返した。
「問題はない。例のデータはお前のお陰で無事に入手出来た。昨夜の研究室での出来事も世間的には揉み消されたしな」
ライの返答にバーボンはきっと睨み返した。
「……っ…そういうところが気に食わないんですよ!僕が足手纏いならそう言えばいいでしょう!」
バーボンの体がまともに動く状態であれば、今頃ライに鉄拳が飛んできていただろう。見かけによらず彼の繰り出すパンチは重いのだ。
「どうせあの男の仲間の存在にもすぐ気づいて先回りしていたんでしょう!?僕に何も気づかせないように……」
バーボンの向ける怒りはライに対してだけでなく彼自身にも向けられているのだろう。
ライにとって、ここまで剥き出しの感情を向けられたことは今まで生きてきてそうなかった。
直球でぶつかってくる彼に困ることはあれど、不思議と悪い気はしなかった。
「……お前は恐ろしいほど優秀な男だよ。少々無茶をしすぎるがな。今回は元々俺はサポートする役割分担だった。その任務を遂行したまでだよ」
その言葉を聞いてバーボンは目を伏せた。
「…………そういうところが嫌いなんですよ」
ライから褒められたことが嬉しかったが、口では悪態をつくことしかできなかった。
バーボンの耳がほんのり赤くなっていることに気づいて、ライは顔を綻ばせた。いつもの調子を取り戻しつつあるようだ。
安心したところでライは思い出したように眠気に襲われた。任務からずっと寝ていなかったのだから無理もないだろう。
ライはバーボンの横に寝そべるとそのまま目を閉じた。
「ちょっと、なんで僕の横で寝るんですか!」
「…………」
狸寝入りをしているのかとバーボンは勘ぐったが、本当に寝入っているようだった。
目の下の隈がいつもより濃く見えた。
「まあ、いいか……」
隣で眠る男からはタバコと彼自身のものが混じり合った匂いがした。バーボンは不思議な安心感を覚え、次第に瞼が重くなった。
しばらくして2人の規則的な寝息だけが部屋を満たした。
「ただい……ま……?」
夕刻。スコッチが別の任務を終えてホテルの部屋に戻ると、リビングにライとバーボンの姿が見当たらなかった。
「あれー?あいつら昼前には任務終わるって聞いてたけど……ん?」
ライの寝室から灯りが漏れていることに気づき、そっと近づいて扉を開けた。
そこには同じベッドで気持ちよさそうに眠るライとバーボンがいた。目の前の光景にスコッチは思わず笑みが溢れた。
「なんだ。やっぱり仲良いじゃん」
スコッチは2人を起こさないように毛布を掛けて部屋をそっと出た。
fin.
※2022年スモバ2でWeb公開(pixiv)公開した内容です。