超巨大噴火の謎
かつて地球では,一国を滅亡させたり,人類の存続を脅かすような,非常に規模の大きな噴火が幾度も発生しました.この超巨大噴火は,壮大な自然現象の1つとして科学的に興味深いだけでなく,防災や実社会との関係の観点からも極めて緊急性の高い研究対象です.巨大噴火はどのように発生するのでしょうか.前兆現象はあるのでしょうか.地層や岩石に記録されたそれらの痕跡を丹念に読み解き,噴火に至ったプロセスや噴火の様子を解明してゆきます.
噴火現象の物質科学
なぜ,火山は噴火するのでしょうか.マグマの中では,いったい何が起きているのでしょうか.火山に行ったら,石を手に取り,ルーペで覗いてみてください.小さな結晶がキラキラと輝いてるのがわかるでしょう.小さな泡もたくさん見えます.噴出物を詳しく観察・分析すると,地下の状態を推定することができます.これを注意深く行い,緻密な論理を積み重ねることによって,噴火の仕組みを解明してゆきます.
その他
・活火山におけるマグマ供給系の長期的進化
・噴火現象の素過程に関する実験的研究
・大規模カルデラ形成噴火に関わるマグマ系の発達プロセス
・活火山の中~長期噴火予測手法の開発と火山防災
・マントルにおけるマグマの生成条件・プロセス
・地殻内マグマ溜まりの熱・物質的進化プロセス
・地球内部における物質循環プロセス
研究手法
私たちのグループでは、「火山」・「マグマ」・「噴火」といったキーワードに関する様々な自然現象を対象に研究を行っています。研究目的に応じて、まずは火山を詳細に観察して試料を採取したり、マグマの状態を再現する実験を行ったりします。そして採取した火山岩試料や実験で得られた生成物を偏光顕微鏡や電子顕微鏡で詳しく観察したり、必要に応じて岩石・鉱物・ガラスの化学成分(主要元素・微量元素・揮発性元素・放射性同位体)を高い精度で測定したりします。私たちは、このような試料の観察や化学分析によって得られた情報(1次データ)を非常に大切にしており、すべての研究の基盤となっています。
次に、観察事実である1次データの解析を行い、さらに目的に応じて数値計算による解析も行います。これらの作業を通して、研究対象とする現象はどのようなプロセスを経て進行したのか、そのプロセスはどのような素過程やパラメータに支配されていたのか、などについて検討し、現象についての仮説(モデル)の構築と検証を行います。このような「観察事実に基づくモデルの検証」と「検証作業に基づくモデルのbrush up」のフィードバックを繰り返し行うことによってモデルの信頼性を高め、現象についての実証的な理解を図ります。
学生募集中!
本研究グループでは、火山やマグマに興味があり、物質科学的手法に基づいて、上記のテーマやそれに関連する現象を、自らの手で解き明かしてみたいという学生を募集しています。フィールド調査や化学分析、室内実験など、研究手法やそのウエイトについては、研究テーマの設定と関連づけて柔軟に対応します。例えば、
① 火山を対象に、本格的に野外調査をしたい人
② 野外調査よりも室内での作業(実験や化学分析など)が好きな人
③ 室内実験や火山岩試料の解析で得た情報をもとに、パソコンを使って現象を数値的に記述したい人
④ 野外調査・室内実験・数値計算などを含む、幅広い手法を駆使しながら現象を追求したい人
など、皆さんの希望や特性(長所)に合わせて対応します。