摂南大学枚方キャンパスで行われる令和8年度大会では第4回セミナーを開催予定です。次回は、ダイバーシティ推進の専門家を講師としてお招きし、女性の労働参加を促進する上での現実と課題についてご講演頂くことを企画しています。次のセミナーもどうぞお楽しみに!
令和7年3月26日(令和7年度日本植物病理学会大会期間、サンポートホール高松)
セミナータイトル:「あなたの道を見つける〜若手研究者が語る植物病理学分野の多様な選択肢〜」
植物病理学会の会員数およそ1700人のうち、一般会員の女性比率は約20%で推移していますが、学生会員の女性比率は40〜45%となっています。一般会員における女性比率の低さの要因は様々に考えられますが、我々は特に、学生時代に植物病理学会に入会した女性学生会員が大学卒業後には植物病理学分野の仕事に就いていない状況があるだろうことに着目しました。
そこで第3回セミナーでは、これから就職する学生会員を対象として、植物病理学分野の研究職を選択肢として考える機会を提供することを目的としました。
パネラー
大野恵梨佳氏(理化学研究所)
津島綾子氏(大阪公立大学)
竹山さわな氏(農研機構)
小寺俊丞氏(三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社)
片山貴博氏(香川県農業試験場)
第3回セミナーでは、大学、民間企業や都道府県など様々な職場において、「植物病理学に関わる仕事」に携わっている若手研究者にご登壇いただき、現在の職業を選ぶに至ったターニングポイント、選択にあたり悩んだこと、現在の仕事の面白さややりがい、ワークライフバランスの工夫などについてご説明いただきました。
セミナー後のアンケートによると、会場の世代別参加者は21〜25歳 37.0%、26〜30歳 24.0%、31〜40歳 6.5%、41〜50歳 13.0%、51〜60歳 15.2%、61〜65歳 4.3%でした。会員区分別参加者は、一般会員 54.4%、学生会員 39.1%、学部生会員 6.5%となり、学部生から大学院生までの多くの学生会員と、様々な世代の一般会員の方々に参加していただくことができました。
令和6年3月13日(令和6年度日本植物病理学会大会期間、仙台国際センター)
セミナータイトル:「植物病理学分野で働く私のキャリアとライフイベント」
令和5年度に実施した意識調査アンケートの結果、ダイバーシティ推進のために必要なこととして、「若手・女性研究者のキャリアパス紹介」のニーズが男女問わず高いことが明らかになりました。そこで、第2回セミナーでは、植物病理学分野で働く多様な研究者のキャリアとライフイベントを紹介するセミナーを企画しました。
本セミナーはランチョンセミナーとして開催しました。参加者は129名、準備したお弁当100食を上回る盛況となりました。
講演者
玉川大学 渡辺 京子 氏
北海道立総合研究機構 栢森 美如 氏
クミアイ化学工業株式会社 寺田 壮志 氏
講演者の方々からは、自身のキャリアにおける具体的な経験から折々に感じたこと、どのような考えをもってキャリアを進めて欲しいかの提言や、研究以外の業務経験も視野を広げるものになるなど様々なお話を聞かせて頂きました。また、農業研究という知力のみならず体力も求められる職場において、女性として苦労されたことや、無理せずひと工夫することで自身だけでなく周囲の環境改善にも繋げられるというお話しも頂けました。いずれの演者も、植物病理学会における活動や発表が自身の研究の支え、モチベーションに繋がっているとの言葉がありました。令和6年度学会長からはセミナー開会挨拶を、副会長からは閉会挨拶を賜り、ダイバーシティ推進に対する学会からのエールを頂きました。
セミナー後のアンケートでは、会場の参加者は 20 代(46.7%)、30 代(19.4%)、40 代(8%)、50 代(17.8%)、 60 代以上(8.1%)と、若手を中心として幅広い年齢の方々に興味を持って頂けたことがわかりました。参加者のうち 、30.6%は学生会員でした。
令和5年3月26日(令和5年度日本植物病理学会大会2日目、東京農業大学からオンライン配信)
セミナータイトル:「あなたの中の無意識バイアス」
特別講演として、無意識のバイアスの専門家である北村英哉教授(東洋大学)からご講演を頂きました。マイノリティは差別されやすいことや、マジョリティ(例えば男性)は悪意がなくてもステレオタイプの見方をしてしまうことがあるなど、無意識のバイアスがどういうものかについて分かりやすい実例を示しながらご紹介頂きました。
「人」に原 因を求め排斥するのではなく「行動」を議論すべきであること、意識を持って相手の視点に立つことで感情や優しさだけではない合理的な配慮や判断ができるようになること、バランスを欠いた構成比の状況では一定期間のアファーマティブアクションが必要であることなど、今後の委員会活動に向けて必要となるだろう心構えや考え方を学ぶことが出来ました。
開催に際して、令和 5年度学会長から、植物病理学会はダイバーシティ推進活動を支持しており、活動に関して学会員の理解を得ていく必要があるとメッセージを頂きました。 副会長からは、本セミナーにおいて、今後の活動に向けた多くのヒントが得られたとコメントを頂きました。
初めてのセミナー開催となり、委員も緊張の面持ち
セミナー配信も無事に終わり、記念の集合写真
「無意識のバイアス」とは?
誰もが潜在的にもっているバイアス(思い込み)のことで、無意識の内に脳に刻まれた固定観念・規制概念のことです。
無意識のバイアスがかかる対象には、ジェンダー、人種、宗教、民族、経験値、障害の有無など様々なものがあります。
無意識のバイアスによって「身内意識」や「よそ者意識」がうまれ、ダイバーシティ(多様性)推進の妨げになります。採用や昇進などの評価の過程では、無意識バイアスの働き方を知って、無意識バイアスの影響を最小限にとどめることが大切であると考えられています。
出典:無意識のバイアスを知っていますか? -Fix the WomenからFix the Systemへ-」大坪久子 (2022年)仙台高等専門学校講演資料
ホームページ:https://www.djrenrakukai.org/unconsciousbias/doc/220117_sendaikousen.pdf
他にも、男女共同参画学協会連絡会HPには無意識のバイアスに関する様々な資料があります。ご興味のある方はぜひご覧ください。
男女共同参画学協会連絡会 無意識のバイアスコーナー
ホームページ:https://djrenrakukai.org/unconsciousbias/index.html
「女性研究者のキャリア形成を妨げる無意識のバイアス」裏出玲子(2023年)日本学術振興会男女共同参画推進シンポジウム講演資料
ホームページ:https://djrenrakukai.org/unconsciousbias/doc/231221_jsps.pdf
(注意事項)
・無意識のバイアスに関する資料内容やPDFファイルの著作権は男女共同参画学協会連絡会にあります。
・引用に際しては所定の引用方法に従って引用してください。
https://www.djrenrakukai.org/unconsciousbias/doc/HPkeisaishiryou_chosakuken.pdf
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