秋のフィールド学校
上質なデータをたくさん集めるために ~苫小牧研究林で学ぶフィールドワーク~
企画者:岸田 治(北海道大),菅野陽一郎(コロラド州立大)
企画趣旨:
自然界では実にさまざまな要因が複雑に絡み合い、生物の個体数や個体の特徴のパターンが形作られています。私達はその複雑系から主要な駆動要因を探したり、お気に入りの仮説で期待している要因の効果を検出しようとしています。研究の成功の鍵は「質の高いデータをたくさん集めること」にあるはずです。計測誤差が大きかったり、計測やデータの記入においてミスが頻繁に生じているようでは、その後どんなに高度な統計を駆使しても真の答えにはたどり着けませんし、データ数が不十分では胡散臭い結果しか得られません。大人数が関わる大規模調査の現場では、ミスなくデータを集めるためにどのような工夫が凝らされているのでしょうか。今回の秋の学校は、そのノウハウを学ぶべく、フィールドで実施します。生態学分野で大きな実績を挙げてきた北大苫小牧研究林を舞台に魚類の個体追跡調査を体験し、フィールドワークを実践的に学んでいただきます。
現在、苫小牧研究林では5kmを超える区間で常時2,000~3000匹のサケ科魚類を追跡調査しています。年二回以上、全区間での採捕を実施し、RFIDタグで個体を識別したうえで、身体測定や写真撮影、DNA試料のサンプリングなどを行っています。RFIDタグを使うことで、個体の位置情報や移動情報も収集しています。秋の学校では、一連の個体追跡手法や魚の胃内容物採取法などを体験し、魚類生態学の最新技術を習得しつつ、大規模なフィールドワークをミスなく円滑に進めるための工夫を学んでいただきます。フィールドワークの初心者である学部生はもちろん、大人数で調査をしている(これからしたい)プロの研究者まで、奮ってご参加ください。
内容:
1. 採捕調査
・電気ショッカーを使った魚捕獲の見学
・魚の胃内容物の採取(洗い出し法)の体験
・計測
・PITタグ(マイクロチップ)の装着
・写真撮影
・DNA試料の採取
2. 行動調査
・固定型のPITタグアンテナシステムの見学
・持ち運び型のPITタグアンテナによる居場所の調査
集合・解散:
集合 10/27(金) 13:00 JR南千歳駅
バスで苫小牧研究林へ送迎します
解散 10/27(金) 17:00に学校終了後 JR南千歳駅までバスで送ります
(JR南千歳駅から札幌駅まで快速エアポートで36分)