2025/4/9 春の研究発表会2025(Cherry Blossom Bioinformatics Seminar 2025)が開催されました
(Google Meetによるオンライン開催)
植物インフォマティクス研究会ではこれまで、秋に年会を開催し、多数の参加を得てきました。今回これに加えて、若手研究者の方の最新の成果や技術開発の報告、ベテランの方による過去の研究の振り返りを行うことを目的とし、春の発表会を企画しました。今回は若手研究者に機会を与えることを主眼とし、分野に関してはあえて絞らずに多様な発表を並べることを意図しました。発表演題は以下の通りです。
座長 門田有希(岡山大学)
13:30 熊谷健隆(京都大学大学院 生命科学研究科)
苔類ゼニゴケの生殖系列細胞分化誘導系を用いたsnRNA-seqによる遺伝子制御ネットワーク解析
14:00 Joenilo II Esperas Paduhilao(国立台湾大学 Global Agriculture Technology and Genomic Science)
Genomic Gain and Loss Analyses between Wild and Cultivated Rice Species Using Pangenome Graphs
※本発表は英語で行われた。
座長:伊藤 剛(国立台湾大学)
14:30 [Special Lecture] 大栁 一(国立健康危機管理研究機構 臨床研究センター)
一つのゲノムの時代 〜Map basedリファレンスゲノムとそのアノテーションの歴史〜
座長 小柳香奈子(北海道大学)
15:00 白井一正(九州工業大学 合成生物工学研究センター)
環境変化に応じた植物の転写開始点制御の網羅的解明
15:30 中村春貴(農研機構 北海道農業研究センター)
ムギ類の圃場フェノタイピング技術の開発と育種実装
各発表ごとに5分程度の質疑応答時間を設け、活発な討論が行われました。オンライン参加者の様子を見ていますと、開催中は途中での出入りがあったものの、平均的には常時60名程度の参加がありました。なお、参加は研究会会員限定としています。
今回は一定の参加者を得て開催できたことから、今後も同様の研究会を催す意義は十分あると考えられますし、研究会の定期イベントとして継続していけるように努力したいと考えています。
(文責: 国立台湾大学 伊藤剛)
2024/9/9 第7回植物インフォマティクス研究会が開催されました
第7回植物インフォマティクス研究会が、福岡県・北九州市にある、九州工業大学・戸畑キャンパスにて8月31日-9月1日の2日間亘って開催されました。九工大花田耕介先生が主催となり、当初45名参加の現地開催の計画でしたが、台風の影響もあり、急遽ハイブリッド型での開催に変更になりました。
花田先生や九工大関係者のご尽力のおかげもあり、現地にも20名以上が足を運び、参加者総数も30名を超える盛況な研究会となりました。
1日目は、14演題の応募発表が行われ、配列情報解析から、画像、深層学習と幅広いバイオインフォマティクスの発表が行われました。議論や交流は夜の情報交換会でもそのまま継続し、大いに盛り上がりました。
2日目は、5名の先生方による招待講演が行われました。九大の佐々木先生からは、GWASにおいて陥りがちな問題点と解決策をこれまでのご経験からわかりやすくご説明いただきました。熊本大の檜垣先生からは、植物細胞分裂のイメージング解析に深層学習の手法を取り入れたご研究をご紹介いただき、視覚的な理解に加えて新たな定量法化法の技術開発を教えていただきました。龍谷大の永野先生には、フィールドトランスクリプトームとモデリングにおける超大量データの取得と解析手法の開発について、ご説明いただき研究におけるNGS利用法についての考え方を議論することができました。農研機構の田中からは、昨今の植物ゲノム解読状況等の紹介と、コスト依存的なゲノム解読に対する個々の研究への適応について議論を行いました。国立国際医療研究センターの大柳先生には、人臨床研究を対象とする分野における大量データの取り扱い状況についてご自身の経験や所属機関の紹介を織り交ぜてご紹介いただきました。
この研究会では、6名の優秀発表者を選定し、表彰いたしました(順不同)。
市田まなみ・熊本大・「気孔運動制御因子 PATROL1 と SH3P3 の超解像イメージングと定量的画像解析」
永壽暖・慶應大・「イネの遺伝子発現量におけるサンプリング条件の影響解析」
坂井伶平・九工大・「人工的な異質倍数性を引き起こしたコムギで起こる遺伝子発現の変化」
森太志・名大・「レジリエントな環境ストレス応答の基盤的分子機構とその制御転写因子の解明」
吉田拓也・Technical University of Munich(現:基礎生物学研究所 超階層生物学センター トランスオミクス解析室) ・「質量分析を用いたマルチオミクス解析による植物ホルモンシグナネットワークの解明」
深沢嘉紀・宇都宮大・「高精度ロングリード時代の変異検出: 植物ゲノムが突きつける課題と展望」
悪天候、土日でありながら、多数の発表者・参加者のおかげで今回の研究会も大いに盛り上がることができ、研究会は大成功だったと感じております。それを支えてくださった、九工大の花田先生を始めとする、九工大の学生の皆様方に改めて感謝申し上げます。
2025年は東京大学での開催が予定されております(主催は東京大郭威准教授)。
(文責: 農研機構 田中剛)
第7回植物インフォマティクス研究会における6名の優秀発表者の皆様
第7回植物インフォマティクス研究会集合写真
2023/10/28 第6回植物インフォマティクス研究会が開催されました
第6回植物インフォマティクス研究会が、京都大学北部総合教育研究棟1階 小林・益川記念室にて、10/28(土)13:00から18:00の日程で開催されました。京都大学吉田健太郎先生が主催となり、研究会初のハイブリッド型での開催となりましたが、現地参加者25名、オンライン参加者37名にいただきました(参加登録者数は89名なので70%の参加率)。
総数演題は10題で、半日開催ではありましたが、時間が足りなくなるほどの議論がオンサイト・オンラインの間で繰り広げられ研究会は盛況でした。夜は懇親会を大学近くの「天寅」で行いましたが、コロナ後久々の対面での研究会だったこともあり現地参加者の半数以上が参加しました。こちらも大いに盛り上がり、研究内容以上の交流を行うことができました。
2024年は九州工業大学での開催が予定されております(主催は九工大花田耕介教授)。
(文責: 農研機構 田中剛)