Image: The Doctor. Luke Fildes, Public domain, via Wikimedia Commons
医学研究について科学哲学の視点から議論するグループです。
2週間〜1ヶ月に一度のペースでオンラインミーティングを行います。
本研究会はがん研究に関する科学哲学を議論する場としてスタートしました(旧サイトはこちら)。
2025年1月からは議論の射程を広げ、より一般的に医学について科学哲学の観点から議論します。
Varga, S. (2024) Science, Medicine, and the Aims of Inquiry. Cambridge University Press.
科学的厳密さの欠如、過度の医療化、患者中心の治療の不足など、現代の医学が抱えるさまざまな問題について、本書は哲学的な観点から論じています。著者によれば、こうした問題はすべて「医学の本性と目的とは何か?」という根本的な問題に収束します。本書は医学において本質的な規範と価値を分析することを通じて、上記のような問題に対処するための新たな観点を与えるものです。
Gluckman, P., Beedle, A., Buklijas, T., Low, F., & Hanson, M. (2016). Cancer. In Principles of evolutionary medicine. Oxford University Press. https://doi.org/10.1093/acprof:oso/9780199663927.001.0001
進化医学の教科書である本書から、がんに関する一章を読み議論しました。
Anya Plutynski (2018) Explaining Cancer: Finding Order in Disorder. Oxford University Press
本書はがん研究のさまざまな側面(分類、診断、遺伝学、疫学、進化的視点からの研究など)に目を向け、それらを科学哲学の王道のテーマ(分類と自然種、科学と価値、因果、科学的推論、モデルなど)と結びつけつつ論じています。扱われている問いは例えば以下のようなものです。
がんはどのように分類されるのか? それは「自然」な分類なのか?
がんの診断においてわれわれの価値判断はどのような役割を果たしているか?
「がんが遺伝子疾患である」とは正確には何を意味するか? 「がん遺伝子」は存在するのか?
がんを引き起こすもっとも重要な環境要因は何か? がんの環境疫学について考えることで、証拠にもとづく推論一般に関して何を学べるか?
がんは進化の副産物なのか、それともがんそのものが進化的プロセスなのか? またはその両方か?
本書は2021年に、科学哲学への優れた貢献に対して与えられるラカトシュ賞を受賞しました。
2025年1月中旬〜下旬の開始を予定しています。
テキストは各自でご用意ください。
毎回担当者を決め、担当者は文献の内容をまとめたハンドアウトを作製していただきます。担当は挙手制で、聴講のみの参加も可能です。
スケジュール管理やハンドアウトの共有等は Discord でやり取りします。Discord を使ったことがない方は、例えばこちらの解説をご参考ください。