Image: The Doctor. Luke Fildes, Public domain, via Wikimedia Commons
2026年3月31日(火) 9時半-17時半
会場:北海道大学大学院理学院2号館402号室 / オンライン (ハイブリッド)
言語:英語
参加費: 無料 (若手向けのトラベルグラントを準備しています)
2026年3月31日に、Durham UniversityからAlex Broadbent教授を、また北海道大学から松王政浩教授をKeynote Speakerとしてお招きし、医学の科学哲学ワークショップを開催しました。本ワークショップは、昨年に引き続き2回目の国際ワークショップとなりました。主催者である佐藤がAlex Broadbent教授とオンライン読書会で繋がり、また同教授が大学の活動の一環として日本と韓国に滞在する計画があるとのことで、今回のワークショップへの登壇が実現しました。
当日は、対面・オンライン合わせて国内外から50名を超える参加者にご参加いただきました。北海道という地方開催であったにもかかわらず、昨年の東京での40名を上回る参加者数となり、この分野に対する関心の高まりがうかがえました。医療従事者と哲学者・倫理学者の双方が参加するこのような会は世界的にも珍しく、本ワークショップのためにわざわざアメリカから来日した参加者もいました。
今回はKeynote Lecture以外にも、3名の演者による発表が行われました。佐藤からは、臨床医学研究と基礎医学研究における社会認識論的な構造の違いを、知識そのものの性質に依拠して説明できる可能性について提案しました。Anaïs Rameau氏からは、音声バイオマーカーとAIを用いた医学研究において、現在の研究に用いられている特徴量と、真に有用な特徴量の間に認識的なズレ(epistemic misalignment)が存在する可能性について発表がありました。Sylwia Maria Olejarz氏からは、人工子宮技術そのものの倫理的課題と、その技術がもたらす新たな倫理的課題について、我々が検討する必要があることが示されました。
Keynote Lectureでは、Alex Broadbent教授より、自身の最新の著書Power, Knowledge, and COVID-19に基づいたご講演をいただきました。COVID-19感染症に関する政策決定において、どのように特定の科学分野が権威を持ち、ロックダウンやマスクといった政策が推進されるようになったのか、その背景にはScientific Orthodoxyが存在したという考えが紹介されました。もう一方のKeynote Lectureでは、松王政浩教授より、化学物質の有害性・安全性評価におけるリードアクロス手法の理論的妥当性について、アナロジーの哲学の立場から正当化できる可能性が議論されました。いずれの講演においても活発な議論が行われ、参加者にとって大変刺激的な時間となりました。
Keynote Lectureの後には、昨年に引き続き、参加者の方に5分以内でご自身の研究を紹介いただくフラッシュトークを行いました。医学の科学哲学を専門とする研究者はまだ多くありませんが、多様な分野の研究者が関心を寄せていることが分かる発表が多数行われました。その後の懇親会にも多くの方にご参加いただきました。参加者の皆様に心より感謝申し上げます。
佐藤達之(主催者一同を代表して)
9:30 Opening
9:35-10:20 Dr. Tatsuyuki Sato
"Clinical Medical Science and Basic Medical Science: How they differ, why they differ, and their implications”
10:25-11:10 Prof. Anaïs Rameau
"Epistemic Misalignments in Voice Biomarkers Research"
11:15-12:00 Dr. Sylwia Maria Olejarz
"The Gestateling as a Distinct Moral Patient: Defining Ethical Limits and Prohibited Practices in Artificial Womb Technology"
12:00-13:20 Lunch Break
13:20-14:00 Keynote lecture #1: Prof. Masahiro Matsuo
"A Philosophical Consideration of Read-Across Assessment"
14:10-15:10 Keynote lecture #2: Prof. Alex Broadbent
"Power, Knowledge, and Covid-19: The Making of a Scientific Orthodoxy"
15:10-15:30 Discussion + Break
15:30-16:30 In-person Flash Talks
16:30-17:30 Online Flash Talks
17:30 Closing
18:30- Networking & Dinner (Paid event)
参加登録はこちら。登録期限は3月24日(火)です。
フラッシュトークもしくはトラベルグラントをご希望の方は、3月10日を締め切りとします。
本ワークショップでは、フラッシュトークの発表者を募集しています。発表時間は5分以内で、医学の哲学に関連するテーマであれば、現在考えていることや、すでに完成した過去のプロジェクトについてなど、自由にお話しいただけます。
オンライン・対面の両方での発表が可能です。言語は英語でお願いします。時間の都合上、すべての希望者の発表をお受けできない場合がございます。その場合は、対面での参加者を優先いたします。あらかじめご了承ください。
ご希望の方は参加登録フォーム下部から申し込みください。
フラッシュトークのお申し込みは終了しました。ご登録ありがとうございました。
本ワークショップでは、若手医療従事者・研究者を対象に、旅費の一部補助としてトラベルグラントを提供します。
予算の都合上、補助は国内旅費に限ります。 また、対面参加者のみが対象となり、フラッシュトークを発表される方を優先的に支援する方針です。
ご希望の方は参加登録フォーム下部にて申請ください。
トラベルグラントのお申し込みは終了しました。ご登録ありがとうございました。
グラント関連の今後の予定:
3月10日,午後11:59 (日本時間): 申請締め切り
3月17日: グラント支給対象者決定
3月31日: ワークショップ
4月7日: 領収書提出締め切り
グラントの振り込みは5月から6月の予定です。
お問い合わせ先:佐藤達之(tatsuyukisato[at]gmail.com)
本ワークショップは中辻創智社からの支援を受けて実施します。