10時30分~11時10分 金沢医科大学病院 病院中央棟4階 北辰講堂
座長:長谷川 雅美(富山福祉短期大学)
演者:長山 豊(金沢医科大学)
支援者と当事者、支える者と支えられる者という区分の中で生じるつながりには、支援者の善意の背後に、侵襲性・加害性・操作性が潜んでいることが少なくなく、しかもそれが無自覚である場合も多い。支援者は、ふと立ち止まり、何のために、誰のために支援をしているのかと自問する。つながることの多面的な意味を考え、気づき、内省しながら、「果たしてこれでよかったのだろうか」と試行錯誤を重ねる。相手とのつながりがもたらす相互作用や相互影響の意味を問い直すことこそが、支援者や当事者という立場を超えて、私たちの存在を再定義することにつながるのではないだろうか。度重なる災害支援に携わった経験も踏まえながら、人と人がつながり合う中で生まれるものについて考えていきたい。
11時20分~12時 金沢医科大学病院 病院中央棟4階 北辰講堂
座長:岡崎 公彦(岡崎クリニック)
演者:吉田 光爾(東洋大学)
アウトリーチ支援に関わる援助者は多種多様な立場や職種に拡大しており、生きづらさや孤立を抱え、助けを必要としている人々が地域でその人らしく暮らせるように支援している。アウトリーチでは、訪問支援にとどまらず、その人が地域の人々と共生し、相互につながり合いながら生き生きと暮らせる地域づくりまで含まれる包括的な支援の意味合いを含む。この教育講演では、改めてアウトリーチとは何かを問い直し、それぞれの立場でのアウトリーチの意味を探求する機会をつくりたい。
13時30分~15時 金沢医科大学病院 病院中央棟4階 北辰講堂
座長:吉田 光爾(東洋大学)、長山 豊(金沢医科大学)
演者1:伊藤 順一郎(メンタルヘルス診療所しっぽふぁーれ)
演者2:萱間 真美(国立健康危機管理研究機構 国立看護大学校)
演者3:金井 浩一(一般社団法人ライフラボ 相談支援事業所しぽふぁーれ)
Assertive Community Treatment (ACT)、精神科訪問看護、相談支援に基づいた地域づくりの観点から、アウトリーチのこれまでの歩みを振り返り、現状における強みや課題、将来的な展望について共有し、今後、アウトリーチ支援のあり方を考える。
15時30分~17時30分 金沢医科大学病院 病院中央棟4階 北辰講堂
座長:近田 真美子(大阪成蹊大学)、白藤 真理(あーる訪問看護ステーション)
演者1:進 あすか(トキノ株式会社 訪問看護ステーションみのり)
演者2:角谷 圭太郎(GENESIS株式会社 G-ACT NEIGHBOR TACTO金澤)
演者3:蔭西 操(石川県精神保健福祉士会/加賀こころの病院)
演者4:増川 ねてる(WRAPアドバンスレベルファシリテーター/ピアサポーター)
アウトリーチの理念を踏まえて、地域社会で具現化していくために、精神科訪問看護・ACT・精神保健福祉・ピアサポーターの立場から、地域に根差した実践をどのように展開しているのかについて具体的な活動事例をもとに共有し、アウトリーチの社会実装を促進するための戦略や工夫について議論する。
13時30分~17時 金沢医科大学病院 病院中央棟4階 橘ホール
講師/ファシリテーター:森越まや(ラグーナ診療所)、川畑善博(ラグーナ出版)
企画者:薮 一明(桜ヶ丘病院)、長田 恭子(金沢大学)、片山 美穂・相上 律子(公立小松大学)、松田茂喜(金沢「当事者研究」研究会)、中野 喜文(当事者団体Tips(ティップス))
病があっても、市民として、自分の人生の主人公として、社会に根を張って暮らすこと。
そのためには、心に浮かぶ声に丁寧に耳を澄ませ、対話し、関係をつないで行動していくことが欠かせません。
精神科病院のないイタリアでは、それぞれの地域の文化や歴史、暮らしに深く根ざした多様な実践が積み重ねられてきました。なかでも北の街トレントでは、患者や家族を主役にした支援の中から、ファーレ・アッシエーメ(ともに考え、行動しよう)運動が育まれました。「誰もが力を持ち、変化はいつでも可能である」という信念のもと、立場や役割の違いを越えて支え合いながら、地域の中でさまざまな活動が展開されています。その一つが、それぞれの体験を語り合う「再発見される言葉たち」の集いです。ここでは、当事者、家族、支援者の体験が一人の市民として対等に扱われ、ともに考え、ともに学び合います。一人ひとりが大切な語り手であり、同時に聞き手でもあります。語られる言葉は、その人の人生や記憶と結びつきながら、共有され、編み直されていきます。言葉を探すことは、自分自身を再発見することであり、自分の人生の主役として立ち上がることでもあります。また、言葉を受け取る誰かを励ますことでもあるのです。
私たちラグーナ出版は、「病の経験を言葉にして力に変えよう」という思いのもと、2005年、病院のデイケアでの本づくりから患者の皆さんとともに本を作り続けてきました。本を通してつながりが生まれ、2017年にはイタリア・トレントを訪ね、対話を重ねました。さらに2024年には鹿児島にイタリアチームを迎え、「再発見される言葉たち」の日伊大会を開催し、鹿児島では月に一度の集いを継続してきました。そこでは、言葉や語りが結ぶ新たなつながりが生まれています。
昨年に引き続き、今年は金沢で、全国の皆さまと共にこの時間を分かち合います。当日は、第一部でトレントと鹿児島の実践を紹介し、日伊大会の様子を上映します。第二部では、実際に「再発見される言葉たち」を開催し、第三部では自由に語り合う時間を設けます。
当事者、家族、支援者が、肩書きを越えて同じ「市民」として出会い、互いの声に耳を傾けること。そこから対話が始まり、地域に根ざしたアウトリーチ・ネットワークが広がっていくこと。
この場が、よりよい未来をともにつくる一歩となることを、私たちは信じています。
9時~12時 金沢医科大学病院 病院中央棟4階 橘ホール
司会:大江 真吾(石川県立看護大学)
演者1:塩谷 亨(金沢工業大学 心理科学研究所)
演者2:平山 美和子(株式会社メンタルヘルスネクステージ)
ウェルビーイングという言葉を日常的によく耳にするようになりました。しかし,この言葉の意味を正確に説明できる人はそれほど多くはないと思います。実は,この言葉はポジティブ心理学と切っても切れない関係にあります。
この教育講演では,まず,ウェルビーイングの意味をポジティブ心理学の流れを含め,丁寧に説明するので,参加者は,ウェルビーイングの意味を正しく理解できるようになります。さらに,お仕事とウェルビーイングとの関係も含めて,企業活動とウェルビーイングの関係を企業との共同研究の結果も含め紹介します。
また,この大会の参加者の多くが対人援助に携わっていらっしゃることに鑑み,ウェルビーイングを高める効果的な方法(ポジティブエクササイズ)のいくつかを紹介し,これらを適用した実証的な研究結果を紹介します。さらに,ポジティブエクササイズのいくつかを実際に体験していただきます。このアクティビティの体験をもとに,日頃接していらっしゃる対象者のウェルビーイングを高めるにはどのようにしたらよいかを考えます。
ところで,ポジティブ心理学の実践活動の対象は,個人の「こころ」から始まり,対人関係,組織(企業も含む),コミュニティへと展開してきました。
コミュニティへの展開の例として,最後に,障害者雇用に取り組む企業を対象にした新たなネットワークづくりの試みを紹介します。
企業が取り組む障害者雇用は,法的な義務という側面に焦点が当てられることが多く,それが企業にもたらすポジティブな効果にはそれほど注意が払われていません。したがって,実際に障害者雇用に積極的に取り組むことに,ためらいや不安を感じている担当者も多いと思われます。しかし,障害者雇用に取り組むことは,職場に多様な価値観を取り入れ,新たな人間的な関わりを生み出すことにもつながります。すなわち,障害者雇用に取り組むことは,法的義務を遂行するのみならず,従業員一人ひとりの気づきや相互理解を深め,結果として職場全体のウェルビーイングを高める可能性を持っています。
演者(平山)は,障害者雇用が職場全体のウェルビーイングの向上に役立つという可能性を追求するために,障害者雇用に関する不安を解消し,経験や工夫を共有していく企業間のネットワークを構築しました。さらに,複数の福祉事業所間の情報交換を可能にし,地域全体に雇用の流れを生み出し,支援体制をより強化していくことができると考えています。これまでの一連の成果と今後の展望を紹介いたします。
9時~10時30分 金沢医科大学病院 病院中央棟4階 北辰講堂
座長:梁田 英麿(東北福祉大学せんだんホスピタル)、川口 めぐみ(福井大学)
演者1:岡 由希子(かのあ訪問看護ステーション)
演者2:中谷 賢宗(石川県精神保健福祉家族会連合会)
演者3:荒木 裕美子(精神疾患をもつ人のパートナーの会@金沢)
精神疾患をもつ人と共に暮らす家族は、本人への関わり方に不安や戸惑いを抱え、本人を支えなければいけないという義務感や、家族の関わり方によって発症や症状再燃につながってしまったのではないかという自責感を強めるなど、さまざまな辛さや困難を抱えている。このシンポジウムでは、メリデン版訪問家族支援に基づいた家族支援の実情、精神疾患をもつ人と共に生きる親や配偶者の立場からの経験を共有し、家族支援のあり方を探求したい。
10時40分~12時10分 金沢医科大学病院 病院中央棟4階 北辰講堂
座長:藤田 徹(内灘町社会福祉協議会)、後田 ユカリ(一般社団法人みんなの青空~虹色room~ フリースクール)
演者1:林 昌則(一般社団法人いまここ親の会 ひきこもりソーシャルプロダクション)
演者2:本間 雅代(家族とひきこもりを考えるKH北陸会)
演者3:五十嵐 峰子(ヤングケアラープロジェクトいしかわ)
ひきこもりになるきっかけは、学校や職場での人間関係、精神疾患、インターネット依存など複雑な要因が絡み合っている。ひきこもり当事者および家族が専門機関に相談することができても、結果的に支援につながらない場合がある。また、本来大人が担う責任を引き受け、子どもとして自由に生きられないヤングケアラーと呼ばれる状態に追いやられている子どもたちがいる。本シンポジウムでは、生きづらさを抱える当事者および当事者と共に暮らす家族が相互につながりあい、さまざまな思いをわかちあい、生きづらさを抱えながら社会とのつながりを模索し、その人らしく活動できる場をつくっていくうえでの支援のあり方を考えたい。
9時~10時30分 金沢医科大学 医学教育棟4階 E41講義室
座長:田中 浩二(金沢大学)、藪下 佳代(のとささえーる)
演者1:宮本 満寛(株式会社れん らいず訪問看護ステーション)
演者2:米倉 一磨(相馬広域こころのケアセンターなごみ)
演者3:田中 浩二(金沢大学医薬保健研究域保健学系)
被災地域において発災前から現在にかけて継続的に精神障害をもつ当事者をアウトリーチ支援している支援者は、今、何を感じ、何を考え、何に向けて、当事者および地域住民と関わり続けているのだろうか。本シンポジウムでは、東日本大震災および能登半島地震において精神障害をもつ人や家族、地域住民のこころの健康への支援活動を続けてきた支援者の経験をもとに、災害からの中長期的な復興を見据えたアウトリーチ支援が担う役割や意味を考えたい。
10時40分~12時10分 金沢医科大学 医学教育棟4階 E41講義室
座長:大江 真人(金沢医科大学)、沖田 友美(合同会社さやかな光 はな工房)
演者1:木谷 昌平(一般社団法人 ななお・なかのと就労支援センター)
演者2:奥山 純一(株式会社CACL)
演者3:別宗 利哉(GENESIS株式会社/石川県精神障害者フットサルクラブ-ルミナス/一般社団法人FSVスポーツアカデミーヴィンセドール白山フットサルクラブ)
都市化や高度情報社会化、ライフスタイルの多様化に伴い、地域での共同体の中での相互扶助の機能は弱まり、地域のつながりの希薄化が進んでいる。様々なライフイベントや健康問題に伴う困難に対して、周囲に相談できず、困難を抱えたまま孤立してしまうことも少なくない。本シンポジウムでは、障害福祉事業を通じた地域づくり、伝統工芸と障害福祉を掛け合わせによる新しい価値や可能性の創造、競技性スポーツを通した当事者が生きがいや誇りを感じられる活動など、地域の特性や文化に根差した独創的な居場所づくりによって、生き生きとしたコミュニティを形成するプロセスを学ぶ。
※市民公開講座のみ参加費無料
13時40分~15時10分 金沢医科大学病院 病院中央棟 4階 北辰講堂
司会:平見 夕紀(フリーアナウンサー)
演者1:稲垣 真一(石川テレビ放送株式会社)
演者2:長山 豊(金沢医科大学)
大きな災害が生じた後、中長期的な復興に向けて、自ら現地に出向き、被災されている方はどういう状況におかれていて、どういう思いを抱えているのか、被災者に寄り添って行動されている人々がいる。また、メディアという立場で、被災地で暮らし続ける被災者のリアルな声を聴き続け、その声を様々な媒体を用いて世の中に発信し続けている人もいる。
タイトルの「おんぼらぁっと、おいでまっし」は、金沢弁で「ゆっくりと、お越しくださいね」という意味であり、市民に気軽に足を運んでほしいというメッセージである。演者が変わりゆく能登や福島のリアルな現状を様々な立場で見守り、関わり続けてきたからこそ体験したこと、感じたことについて、ざっくばらんに楽しい雰囲気の中で市民の皆さんと共有し、今後の復興に向けて一人の市民として、どのように被災地の人々とつながり、共に歩むことができるのかを考えたい。
司会 平見夕紀さんからのメッセージ
「能登半島地震の発災当時、何が起きているのか分からないまま、不安と混乱の中にいました。発災直後は、突然いつもの暮らしが止まり、これからどうすればいいのか…、ただ途方に暮れる時間が続きました。「前向きに」「頑張って」という言葉をかけていただく一方で、気持ちが追いつかず、前を向けない自分に戸惑うこともありました。ボランティアの方や報道の方が現地に足を運び、心を寄せてくださる一方で、被災者である私はその場所で毎日の生活を続けています。その時間の重なり方には、少なからず隔たりを感じることもありました。発災から二年が経った今も、心が折れそうになる瞬間はあります。それでも、ゆっくりでも一歩ずつ前に進んでいきたい――その思いを、被災者の一人として、演者の皆さんと共に語り合います。 」