大会会長挨拶

大阪体育学会第59回大会会長

佐川 和則(さがわ かずのり)

近畿大学経営学部 教授

 COVID-19の蔓延による社会的混乱は、私たちに多くのことを教えてくれました。家族との絆の大切さ、健康を維持するための運動の重要性、命を守るための社会的行動などがそうです。

一方、人と人が対面しなくても多くのことが達成できることも学ぶことができました。お互いがインターネットでつながってさえいれば、地球の裏側にいる人とでも容易にコミュニケートすることができます。

ところで、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)は、このアジェンダに関わろうとするとき、国境を越えた行動が必要なのではと私たちを消極的にしてきたように思います。しかしこの数か月間で学んだ、自身を守り、周囲の人を守り、コミュニティを守ろうとする精神とコミュニケーションスキルは、このハードルを下げ行動する勇気を与えてくれたのではないでしょうか。

同じ国連は、スポーツが平和と開発を促し、寛容と相互理解を育む側面に着目し、「スポーツの持つチカラ」が、①他人に対する尊敬の意と人々の間の対話を促進し、 ②子どもと若者が生きるために必要な術や能力をもたらし 、③障害の有無に関わらず全ての人々の社会への参画を促し 、④男女の平等を促進し、女性のエンパワーメントに貢献し、そして ⑤身体の健康のみならず心の健康を向上させるとしています。本学会大会は、「体育・スポーツで取り組むSDGs」をメインテーマとし、シンポジウムを中心とした議論を通して、体育・スポーツに関する研究がSDGsに貢献する課題と具体的方略およびその可能性について、この分野に関わるすべての方々へその成果を発信したいと考えます。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。