阪大人文地理学教室では、教員や学生の有志による巡検を実施することを試みており、関西近辺での日帰りの巡検を不定期で実施しています。また、夏休みには地誌学演習の授業として、入念な準備をしたうえで、3泊4日程度の地域調査実習を行います。
巡検・地域調査実習の記録(2025年〜)
福島県南相馬市(地域調査実習、参加者26名)
2026.9.1~9.4
実習初日には、各班での調査に先立ち、南相馬市の地域的特徴や現状を把握するため、南相馬市役所の方々に市内を案内していただきました。2~4日目には、テーマの異なる5つの班に分かれ、地域の方々への聞き取りや現場観察を通して調査を行いました。
農業をテーマとした班では、南相馬市のなかでも小高地区を中心に事業を展開する農業法人や団体を対象として、震災後の農業経営の実態や地域との関わりを調べました。
新たなコミュニティの創出に注目した班では、6次産業化に取り組む企業の経営実態や事業活動を通じて形成される新たなコミュニティについて調べました。
「相馬野馬追」(福島県浜通り北部地域に伝わる伝統行事)をテーマとした班では、その継承に不可欠な人・モノ・馬に関わるさまざまな主体の対応や、歴史的な変化について調べました。
植生をテーマとした班では、南相馬市内の海岸に整備された防災林を対象として、震災後に行われた植栽の状況や、現在の植生の特徴について現地調査を行いました。
営農型太陽光発電に注目した班では、南相馬市内の農地に立地する太陽光発電施設に着目し、その立地状況を把握するとともに、社会・経済環境の変化に対して農家がどのような選択をしているのかを考察しました。
南相馬市では、2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、避難指示区域が設定され、市外への人口流出が進みました。避難指示の解除後も人口減少や高齢化などの課題を抱えており、土地利用の粗放化や空き家の増加など、地域社会をめぐるさまざまな変化がみられます。
一方で、こうした変化のなかにあっても、地域に受け継がれてきた歴史や文化を継承する人々、新たな産業やコミュニティを生み出そうとする人々など、地域の再生や新たな営みの創出に取り組むさまざまな主体が存在しています。今回の実習では、5つの班がそれぞれ異なる視点からこうした人々の取り組みや地域の変化に迫り、現地での聞き取りや観察を通じて、南相馬市が抱える課題と、そこから生まれる新たな動きを丹念に調査することができました。
今回の調査実習の実施にあたっては、南相馬市役所の皆様をはじめ、多くの地域の皆様に多大なるご協力をいただきました。お忙しい中、学生たちの調査にご協力いただき、貴重なお話をお聞かせいただきましたことに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。実習終了後は、今回の調査で得られた成果をもとに、各班で調査報告書の作成を進めていきます。
大阪市大正区・浪速区・西成区(巡検、参加者28名)
2026.6.23
巡検は、まず、明治初期に大阪の紡績業の発展を支えた三軒家(大正区)から始まり、皮革産業が歴史的に発展してきた旧渡辺村(現在のJR芦原橋駅周辺)まで歩きました。
その後、西成区へ移動し、複数のエスニック・コミュニティが集住する鶴見橋商店街などを巡りました。
商店街で各自昼食をとった後は、大阪市の直営事業として運航されている渡船を利用して再び大正区へ戻りました。最後に、大正区のなかでも沖縄からの移住者が特に多く居住する平尾地区を巡りました。
大阪市内にみられる周縁性や、そこで形成されてきた独自の地域コミュニティの歴史的な足跡を辿ることができた巡検でした。
大阪府池田市
城下町からの変容
2025.6.11
隠岐島前・島後
(地域調査実習)
2025.8.24〜29
兵庫県宝塚市 宝は塚にあり! 2025.11.19
大阪市中之島周辺 「天下の台所」の形成と変貌 2026.2.11