本ページでは、『ユドナリウムコネクト』を用いてボードゲームをデジタル化し、そのデジタル化したものをZIPデータとして保存することで、いつでも遊べるようにする方法を説明する。
※本ページは、『ユドナリウムコネクト』の機能・操作方法について、説明が必要なもの以外は割愛する。
※本ページは、2025年9月10日更新版であり、今後のアップデートによって仕様が変更される可能性があることに注意。
『ユドナリウムコネクト(図1-1)』とは、ボードゲームに特化したオンラインプラットフォームである。会員登録不要で、WEBブラウザ上から無料で利用できる。
これはオープンソースの『ユドナリウム』を基にしており、ボードゲームを作る人・遊ぶ人の双方にメリットのある環境を、オンライン上で提供している。
なお、『ユドナリウムコネクト』は『ユドナリウム』とは別のシステム・サイトであり、サーバーも共有されていない。『ユドナリウム』のデータを『ユドナリウムコネクト』で使用できる場合もあるが、その逆(『ユドナリウムコネクト』のデータを『ユドナリウム』で)は使用できない可能性が高い。
また、『ユドナリウムコネクト』の更新情報は、起動時に画面表示される「チャットウィンドウ(図1-2)」から確認できる。
謝辞:
『ユドナリウムコネクト』製作者の藍田あん様に、プラットフォーム提供の感謝を申し上げる。
また『ユドナリウムコネクト』のデータを作りたい人向けのDiscordサーバーも公開されている。
図1-1:『ユドナリウムコネクト』のロゴ
図1-2:『ユドナリウムコネクト』の更新情報
『ユドナリウムコネクト』にアクセス
「接続情報」と「チャットウィンドウ」は今回使用しないため、各ウィンドウの右上の「×ボタン」を左クリックして非表示
テーブル上の「全消しボタン(図2-1)」を左クリックし、既存のコンポーネントをすべて削除
テーブルを右クリック
[テーブル設定]を左クリック
表示された「テーブル設定(図2-2)」の[Width]と[Height]を設定
(この設定はいつでも調整可能なため、必要に応じて拡張して構わない)
図2-1:全消しボタン
図2-2:テーブル設定
ここでの「コンポーネント」とは、キャラクター(コマ)・カード(トランプ)・地形・ダイスを指す。
また、「コンポーネント」は見た目を変更することができる。
その準備として、使いたいカードやコマなどの画像を用意して『ユドナリウムコネクト』に追加する。(ダイスは初期画像のまま使用する場合が多いため、本ページでは説明を割愛する。)
画面左の「メニュー」のウィンドウから[画像]を左クリック
表示された「ファイル一覧(図3-1)」のウィンドウに、1ファイル2MBまでの、使用したい画像をドラッグ&ドロップ
(複数ファイルをまとめて取り込むことも可能であり、pngなどの透過画像は透過情報が保持される)
図3-1:ファイル一覧
テーブルを右クリック
[キャラクターを作成]を左クリック
作成された「キャラクター」を右クリック
[詳細を表示]を左クリック
「キャラクターシート(図3-2)」のウィンドウが表示されるので、[画像変更]を左クリック
設定したい画像を左クリック
また、必要に応じて「名前」「サイズ」「パラメータ(リソース)」なども設定可能である。
【TIPS】
『ユドナリウムコネクト』では、コンポーネントを右クリックし、[開発者メニュー]を左クリックすることで「開発者メニュー」のウィンドウが表示され、特殊な設定ができる。
例えば「キャラクターコマ」の場合、「開発者メニュー」から、[カウンター機能]を追加することで「キャラクターコマ」の名前の横に、パラメータ(例:HPなど)が表示可能となる。
図3-2:キャラクターシート
テーブルを右クリック
[トランプの山札を作成]を左クリック
作成された「トランプの山札」を左ダブルクリックし、カードを1枚だけ取り出す
取り出したカード1枚を右クリック
[カードを編集]を左クリック
「カード設定(図3-3)」のウィンドウが表示されるので、[表面の画像を変更]を左クリック
設定したい画像を左クリック
[裏面の画像を変更]を左クリック
設定したい画像を左クリック
【TIPS】
「コンポーネント」は右クリックし、 [コピーを作る] を左クリックすると、コピー(複製)できる。
例えば「カード」の場合、裏面は共通デザインで、表面のみが複数パターン存在することがよくある。
このときは、まず1枚のカードの裏面画像を設定し、そのカードを必要枚数分コピーする。続いて、コピーしたカードごとに表面画像を設定することで、効率的に作業が進められる。
図3-3:カード設定
コンポーネントの1つである「地形」は、応用範囲の広い機能を有しており、様々な用途に使える。
「地形」の用途の例
ボードゲームの箱や背景の再現
手札エリア(自分だけが見える領域)の設定
ボタン機能(自動化、特殊処理など)
衝立
最も基本的な例である「箱」の作成手順は以下の通り。
テーブルを右クリック
[地形を作成]を左クリック
作成された「地形」を右クリック
[地形設定を編集]を左クリック
「地形設定(図3-4)」のウィンドウが表示されるので、[6面テクスチャ設定を開く]を左クリック
各面の画像を設定
また、必要に応じて箱の大きさも設定可能である。
図3-4:地形設定(例:歯車の絵を設定)
ボードゲームの中には「手札」が必要となるルールも少なくない。そこで、カードを置いた際に「自分だけカード表面が見え、他のプレイヤーには裏面が見える」状態を実現できる「手札エリア」について説明する。
作成手順は以下の通り。
「地形」を作成し、 高さ[height]を0に設定(厚さを無くし、天面だけが見える状態)
手札エリアであることを明示するために、「床の画像」または「天面の画像」を設定(任意)
「地形」を右クリック
[開発者メニュー]を左クリック
「開発者メニュー」のウィンドウが表示されるので、[カード判定エリア機能]にチェックを入れる(図4-1)
[手札の状態]を「自分だけ見る」に設定
また、必要に応じて「カードの回転角度」「カード間隔」も設定可能である。
【TIPS】
上記の場合、[手札の状態]を「自分だけ見る」に設定しているため、「手札エリア」にカードを置くと、そのカードを置いたプレイヤーだけが表面を見ている状態になる。
一方、[手札の状態] を「裏向き」に設定すると、全プレイヤーから裏面のみが見えるエリアとなり、カードを伏せて置くエリアとして活用できる。
図4-1:手札エリアの設定(カード判定エリア機能)
「地形」の「ボタン機能」では様々な機能が、ボタンクリックにより自動で実行可能になる。
その一例として、「外部リンクを開く機能」と「カード初期セットアップ機能(後述)」を説明する。
「外部リンクを開く機能」の実装手順は以下の通り。
「地形」を作成し、「開発者メニュー」のウィンドウを表示
[ボタン機能ON]にチェックを入れる
[スイッチ機能選択]を「外部リンクを開く」に設定(図4-2)
[リンク先URL]に任意のURLを設定
これにより、設定した「地形」を左クリックすると、自動的に設定したURLのページにアクセスする。(Googleドライブやゲームマーケットのサイトへ誘導すること可能)
図4-2:外部リンクを開く
「地形」のボタン機能には「カード初期セットアップ」がある。これは、特定の山札から、カードを配る・配置する、というカード配置のセットアップをワンクリックで自動化できるものである。
また「カード初期セットアップ」では、配置元となる山札の[オブジェクトナンバー]と、カードを配置する座標を確認する必要がある。
山札の[オブジェクトナンバー]の確認方法
配置元となる山札の「開発者メニュー」のウィンドウを表示(図4-3)
カードの座標の確認方法
カード1枚を任意の場所に置き、右クリック
[現在位置]を確認
(テーブル左上が「X:0, Y:0」)
図4-3:「配置元山札番号」の設定(オブジェクトナンバーの確認方法)
また、カードの配置方法は、以下の2種類がある。
等間隔グリッド配置:開始座標を1カ所指定し、そこからカードを等間隔に整列して配置(図4-4)
任意位置指定配置:カードごとに座標・角度を指定して配置(図4-5)
等間隔グリッド配置
カードの[高さ][角度][表裏]などが共通で、カードの[配置開始座標][列数][行数]などから、等間隔に整列して並べる配置方法である。
プレイヤー共有のエリアなどがあり、そこに並べたい場合などに有用。
「地形」を作成し、「開発者メニュー」のウィンドウを表示
[ボタン機能ON]にチェックを入れる
[スイッチ機能選択]を「カード初期セットアップ」に設定
[カード配置方式]を「等間隔グリッド配置」に設定
配置元となる山札の[オブジェクトナンバー]を、[配置元山札番号]に設定
[配置開始座標X]と[配置開始座標Y]を任意の値に設定
[列数][列間隔]と[行数][行間隔]を任意の値に設定
これにより、設定した「地形」を左クリックすると、自動的に等間隔でカードが配置される。
図4-4:等間隔グリッド配置の設定
任意位置指定配置
等間隔グリッド配置とは違い、配るカード1枚ずつに[高さ][角度][表裏]を設定する配置方法である。
プレイヤーの手札エリアに、直接配りたい場合などに有用。
「地形」を作成し、「開発者メニュー」のウィンドウを表示
[ボタン機能ON]にチェックを入れる
[スイッチ機能選択]を「カード初期セットアップ」に設定
[カード配置方式]を「任意位置指定配置」に設定
配置元となる山札の[オブジェクトナンバー]を、[配置元山札番号]に設定
[カード配置座標(X,Y,角度)]を任意の値に設定
これにより、設定した「地形」を左クリックすると、自動的に1枚ずつ設定した座標・角度にカードが配置される。
図4-5:任意位置指定配置の設定
データはバックアップとして、定期的に保存することを推奨する。(図5-1)
「メニュー」にある「保存」ボタンを押すと、画像ファイルとコンポーネントの位置などを保存したZIPデータがダウンロードされる。
保存したZIPデータは、「メニュー」にある「ZIP読込」を行うか、『ユドナリウムコネクト』の画面にそのままドラッグ&ドロップことで、ロードができる。
図5-1:保存とZIP読込
<データ盗用を防ぐため、以下は必ず実行すること!>
『ユドナリウムコネクト』のデフォルト仕様では、誰でもデータを保存でき、他プレイヤーによるデータ盗用のリスクがある。
例えば、「ルーム機能」を使用し、Aさんが作成した「ボドゲデータA」に、Bさんが参加してプレイしていたとする。この場合、通常の仕様ではBさんも「ボドゲデータA」をダウンロードできてしまう。
これは、『ユドナリウムコネクト』およびその派生元である『ユドナリウム』の「ルーム機能」には、管理者(ホスト)的な存在がおらず、誰でも「メニュー」から「保存」ボタンを押せてしまう仕様になっているためである。
もしBさんが悪意を持っていれば、そのデータを無断配布したり、二次利用する可能性があり、このリスクを回避するため『ユドナリウムコネクト』には「保存」ボタンを無効化する「コピーガード(ExportLock)機能」が用意されている。
「コピーガード(ExportLock)」の導入・確認方法
保存したZIPデータを解凍
解凍先のフォルダの中に、テキストファイルを作成し、ファイルネームを「ExportLock」に変更(図5-2)
(.txtは消して、拡張子なしにする)
フォルダの中身を全選択し、zip圧縮してZIPデータ化
(ZIPデータを開いた直下にExportLockファイルがある状態にする)
『ユドナリウムコネクト』の「メニュー」 の「ZIP読込」からロード
「メニュー」 の「保存」がグレーアウトされたら成功(図5-3)
(自分含め誰も保存ボタンが押せなくなる)
【TIPS】
手順の違いにより、「保存」がグレーアウトしない場合がある。
よくある間違いとして、
「ボドゲデータ.zip」
┗「ExportLock」
というフォルダ構成ではなく、
「ボドゲデータ.zip」
┗「ボドゲデータ」
┗「ExportLock」
というフォルダ構成になっていることがある。
これは、必要なファイルを全選択してzip圧縮したのではなく、ファイルが入ったフォルダ1つをzip圧縮したためである場合が多い。
図5-2:コピーガードのための「ExportLock」の作成
図5-3:コピーガードの失敗例と成功例