(2023.6.3 Sat)
第5弾開催の裏話。
2023年3月、キノトマさんとコラボ開催したomusubi第5弾。
メンバーと試行錯誤しながら開催した今回も、多くの方にお越しいただき本当に感謝しかありません!
ただ実は、この回を開催するまでは不安だったので、ホッとしているというのが正直な気持ちです。
その裏話をお話したいと思います。
キノトマの青木麻衣さんと初めてお会いしたのは2022年のCiBOの時、いつもomusubiに参加いただいているお客様が「ぜひ次回開催のテーマにしてほしい!」と引き合わせてくれたのがキッカケでした。
そして、キノトマの青木麻衣さんに声をかけた時に彼女から最初の一言。
「菌の世界を伝えたいんです!!!」 ←ビックリマーク3コなのポイント、そんくらいの迫力です(笑)
話をするやいなや飛び出したこの言葉。話が進むに従い、菌に対する溢れんばかりの愛情と熱意が伝わってきました。まぁどんな話かというと、それはomusubiに参加された方なら想像に難くないでしょう。笑
「あ、この人は変態だ(笑)」
これが最初に抱いた印象でした。
テレビ番組「マツコの知らない世界」でマツコ・デラックスがゲストに出会う時の気持ちが分かったような気がしました。笑
菌を伝える・・・?
キノトマさんに出会った後、メンバーに報告。
今までのイベントのテーマは食材をテーマにしてきましたが、今回は「菌」。
「顕微鏡とかで撮るのかな~、うーん、撮れるかな…」
目に見えない世界を映像や写真で伝えられるのか、めずらしく写真家岩谷が悩んでいました。
「パンを料理教室にか~、パンづくり教室をやるわけでもないしね~。発酵食品と言っても広すぎて何を作って良いか…。」
料理長もまた口が重い。そう、キノトマさんの代名詞といえば「パン」。パンを料理教室に使うのは難しいし、かといってイメージを広げて「発酵食品」としても、かえってテーマが広すぎて難しい。
「いっそのこと、今までの形式を変えて、料理教室をせずに発酵食品の定食を出すスタイルにする?」
なかなか案を見出せず、こんな案も出たほどでした。
とはいえ、百聞は一見にしかず!とりあえずキノトマさんの取材に行ってみることにしました。
そして後日、キノトマさんを取材。初めてしっかり話す機会となりました。
その時から、「菌」に対する見方が大きく変わったんです。「菌」いわゆる「発酵」と聞くと正直我々も少し難しいイメージを持っていました。というのも、前回イベントで酒粕を取り上げた際に我々は感じていたからです。
でも、キノトマさんから発する言葉を聞くと、そんな難しいと感じていた世界が不思議と楽しく感じてしまうんです。
それは、五感を通じて、菌が身近にいるということ。聞いてる側が思わず「ふふっ」と微笑んでしまうようなそんな世界観を伝えてくれるキノトマさんを見て、「これを参加者の皆さんにおすそ分けしたい!」そう思ったのです。
そして舞台は「麹」にしました。キノトマさんがパンをつくる過程で“はじまり”となる素材だったからです。
麹を通じて、菌の世界を五感で感じ、食材としての使い方を知り、ものづくりの奥深さを知る。
こうしてイベント第5弾の方向性が決まったのです―。
腐敗、発酵、分解。世の中に菌や微生物が関わっていることは何となくわかっちゃいる。
でも、我々の目には見えることはない。
でも、
酵母が発酵してシュワシュワと泡が出たり、
麹が日によって香りが引き立ってきたり、
味噌が時間とともに色が濃くなってきたり、
五感で“彼ら”を意識して感じてみたら、少し愛おしさすら感じてくる。
ただ、“彼ら”の命は一生ではない。
麹を原料に酵母ができる過程で、麹菌は命を落として酵母菌へと引き継がれる。
酵母を練り込んだパンを焼くことで酵母は命を落とす。
パンという一つの食材を取っても、さまざまな命の営みが関わっているのです。
一つ一つの食材には、命を引き継いだストーリーがある。
命をいただく。
出来上がったものだけが命ではない。出来上がる過程で見えない多くの命が関わっているんです。
だからこそ、感謝して命をいただくのだと思います。
添加物により意図的に発酵が止められていたり、腐る基準が賞味期限で決められていたり、私たちの暮らしの中で、本来あるはずの生命の営みを感じる機会が少なくなってしまっていると思うのです。
身近に命を感じてほしい。
だから、我が子のように菌と向き合い、愛情を注いでいるキノトマさんを通じてお伝えしたかったのです。
いや~、今回も良い回になったなぁ。
最後まで見ていただきありがとうございました。m(__)m