沖縄言語研究センターとは


沖縄言語研究センターについて

沖縄における言語と言語教育に関する研究を行うことを目的に,1978年に設立された民間の組織。琉球列島の言語(琉球方言)が消滅しつつあって,その記録保存が緊急を要するために,琉球方言の記録・保存に中心に活動。月1回の定例研究会と,年1回の総会・講演会・研究発表会を行っている。初代代表・仲宗根政善(琉球大学名誉教授・故人)。初代運営委員長・上村幸雄(琉球大学名誉教授・故人)。会員は沖縄県内の大学,高校教員を中心に144人。事務局は沖縄国際大学の西岡敏研究室内。

※年間会費:一般会員2,000円/学生会員1,000円/賛助会員10,000円

これまでの活動


●琉球列島の言語の研究(12年計画)

1979年に始まったプロジェクトで,琉球列島の伝統的な集落約850地点について,200項目の語彙を調査する「全集落調査」,各市町村(旧間切),離島ごとに最低1地点について4冊約千項目の語彙を調査する「基本調査」のふたつの言語地理学的な調査を行った。準備段階ではトヨタ財団,沖縄本島北部地域に関しては名護市教育委員会,沖縄本島中南部,宮古,八重山の各地域に関しては沖縄県教育委員会の補助事業,奄美地域に関しては文部省の科学研究費を得て,隣地調査を行った。できうるかぎり多くの資料を収集することに力をいれ隣地調査に重点をおいたために,公開にむけたデータの入力,パソコンを使用した言語地図の作成などの作業がおくれている。

●那覇市方言の記録・保存

那覇市教育委員会の委託事業として1988年から5年計画で行ったプロジェクト。那覇市全域の「全集落調査」と「基本調査」の実施。さらに,首里の方言を収録した『沖縄語辞典』(国立国語研究所編,1967年)の見直し(協力者久手堅憲夫,伊狩典子),首里に隣接する那覇(旧那覇)方言との異同の確認(協力者福地唯方),民俗語彙を中心にした那覇方言の追加(協力者崎間麗進),那覇方言による諺,まじない,行商の掛け声,方言ニュースなどのテキスト作成,沖縄芝居の脚本のテキスト化(協力者真喜志康忠)を行った。

●琉球列島における音声の収集と研究

文部省科学研究費重点領域研究「日本語音声」(代表者杉藤美代子)の琉球列島班のしごととして行った音声資料の収集。このとき得られた主な音声資料は次のみっつ。

  1. 『沖縄今帰仁方言辞典』(仲宗根政善著,角川書店,1983)の全項目(約1万3千語)とその用例の録音。約3年間かけてDATテープ(60分)37巻に録音した。話者は仲宗根政善の幼い頃からの親友仲里源盛(1908生)と山内光子(1908年)で,録音作業は仲宗根政善先生のご自宅で島袋幸子(沖縄言語研究センター)が行った。

  2. 『奄美方言分類辞典』(長田須磨・須山名保子・藤井美佐子編著,上巻1977・下巻1980)の全項目の録音。録音は長田須磨さん自身が行い,録音状況の確認,辞典との照合等を須山名保子(聖学院大学)が行った。

  3. 『琉球石垣方言辞典(仮称)』(宮城信勇著)の全項目と用例の録音。話者は著者本人である宮城信勇氏自身。加治工真市(沖縄県立芸術大学教授)がDATテープ(60分)115巻に録音した。