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2025.9.11 大阪・関西万博に行ってきました!(学部4年生Yさんの寄稿)
岡山大学東洋史学研究室でインド史を学び始めて二年以上。実は、未だインドに行ったことがありません。
しかし、昨今の円安や世界情勢、治安を考えれば、女子学生ひとりが気軽にインドに行くことは難しいというのも事実です。
日本にいながら、少しでもインドの歴史や文化を身近に感じられる機会はないだろうか?折に触れてそう考えていたところ、遅れながらも「インドパビリオン」が大阪・関西万博にオープンしたとの情報が流れてきました(5月1日)。
この機を逃すわけにはいかない。そう思い立ち計画すること3か月ほど。8月初旬、二学期の課題をどうにかこうにか終わらせ、徹夜行軍で高速バスに飛び乗り、夢洲へ向かったのです。
大阪・関西万博には数百の国や団体、個人による展示があります。そのうち、回れたのは1/3にも及ばないでしょうが、それでも50以上の国の展示を体験・見学することができました。ここでは、特に印象に残った国の展示について、いくつか紹介してみたいと思います。
・マーシャル(コモンズD内)
写真の幾何学模様、これはいったい何を示しているでしょうか?答えは海図です。周辺海域の環礁の位置、波のうねりなど。航海のために必要なものを、きわめてシンプルで明快な形であらわしています。美しい図形ですが、見て楽しむものではなく、生活に根付いた実用のものです。これは実際に航海に持ち出すものではなく、見て覚える学習に使われていたそうです。マーシャル諸島では、船が当たり前に人々の生活の中に存在するそうです。非常に興味深い民俗展示でした。
・モンゴル(コモンズD内)
モンゴルの展示は、私たち歴史の徒が大好きな「自国の歴史」の展示でした。歴史、モンゴルといえば、やはりチンギス・ハーン以降のモンゴルの拡大の時代が有名です。モンゴルとしてもその時代は栄華の時代と考えられているのか、展示はほとんどが「パクス・モンゴリカ」のテーマによるものでした。複製ではありましたが、当時の衣裳、武器、さまざまな文字やパスパ文字の刻まれた金印や、それらへの丁寧な解説は一見の価値ありです。なぜかパスパ文字を少し読める(らしい)人がたまたま隣で一緒に展示にかぶりつきになっており、ぶつぶつと解読していたのが印象的な経験でした。
・パレスチナ(コモンズD内)
小規模な展示ではありましたが、細工品などが丁寧に展示されており、確かな存在感がありました。昨今の世界情勢の中で、中東や西アジアは特に直に訪れたり、体感したりが難しくなっている地域と言えるでしょう。それ以外の地域も、政情が安定していると言えない場所は世界中に多くあります。パレスチナをはじめとする幾つかの国・地域の展示では、現地の人による、さまざまな思いをこめた工芸品や絵画が展示されています。このような展示を通じて、多くのことを感じ考えるきっかけを得ることができました。
・イギリス
実は、イギリスパビリオンには入ることができませんでした。では何を紹介するのかというと、食事です。イギリスといえばアフタヌーンティー。本場イギリスの味が楽しめるとのいうことで、イギリスに留学していた身としては期待半分、味への諦め半分の気持ちで入店しました(30分も待たずに入店できたと思います)。画像の豪華なアフタヌーンティーセットは、お値段5000円。ですが、こんな量を夏バテした身体で食べきれるわけがなく、同行の家族と二人で分けて食べました。味のほうは、イギリスで食べるよりも美味しいのではないでしょうか。味付けはイギリスのものと似ているのですが、サンドイッチの野菜の鮮度やパンの風味は日本のそれです。それでいて、ティーバッグながら紅茶の味もよく、スコーンのクロテッド・クリームやジャムは英国のそれで、非常に英国らしい、かつ満足度の高いアフタヌーンティーでした。万博で歩き疲れたら、ぜひ訪れてみてください。
・インド
万博でここだけは並んででも行く。そう決めていたのが「インドパビリオン」、正確にはバーラト(Bharat)パビリオンです。バーラトとはインドが公称として名乗りたがっている国名といいますか、もともとインド憲法における国名はバーラトであったところを、英語では長年Indiaとして呼ばれていたのですが、ここ数年になって「英語での呼称もバーラトとすべきだ」と国際的に主張するようになっているようです。そういうわけで、インドパビリオンの前には「インド」の文字はなく、日本語とアルファベット、デーヴァナーガリーで「バーラト」と書かれています。パビリオン前では、ちらほらと国名に対する会話や疑問の声が聞こえてきてもいました。
蓮の花を模した華やかな外装をくぐって中に入ると、調度品は整えられ、かつ大量の大きなスクリーン・モニターが配置された内部にすぐにつながります。展示は、残念ながら文化・歴史を軸にしたものではなく、インドの工業・経済・技術発展を宣伝するものでした。それぞれの展示がインドという国としてというよりも、その業界を牽引するインドの大企業をアピールするものであったことは特に印象的でした。展示の最後には、「ビジネスに興味があるかたはここに名刺を入れてください」という文言とともにいくつものトレーが置いてあり(なお私が見た際には一枚の名刺も入ってはいませんでしたが)、にこやかな男性案内人が商機を待ち構えていました。
パビリオンには売店とテイクアウト・イートインそれぞれのレストランが併設されていました。売店に立ち寄り、多少の買い物と世間話をしましたが(客引きはつたない日本語でしてくれますが、会話となると英語に切り替わりました)、その商魂たくましさにはインドをひしひしと感じることができたように思います。キャッシュレスが徹底されているはずの万博で、支払いがキャッシュやカードか聞かれたのはインドパビリオンのみでした。キャッシュの手持ちはないよと言うと、途端に不愛想になって決済端末を取りに行ったことをハッキリと覚えています。もしかしたら、あの瞬間が万博で一番楽しかった瞬間だったのかもしれません。
なお、最近のインドにおいては、イスラーム時代の文化・歴史やイスラームの風俗そのものが透明化されることが多くみられます。万博においてもそれは例外ではなかったといえるでしょう。タージマハルの景色こそスクリーンに投影されていましたが、それくらいだったと思われます。パビリオン前には仏教(あるいはヒンドゥー教)のゆかりと思われるものがいくつか展示してあり、一見の価値があります。しかし、イスラーム要素を強く感じさせるものは(インドにおけるイスラーム時代の長さ・重要性を踏まえると)少ないと言わざるを得ないかと思います。
紹介できたのは見て回ることができた展示のうちごく一部ですが、非常に好奇心を刺激される、よい経験ができたと実感しています。新鮮な気持ちで、これからよりいっそう研究に取り組んでいきます。
2024.2.1
同窓生の王歓歓さんが研究室を再訪してくださいました。
王さんは、2022年度に博士学位を取得したのち、現在は中国の海南大学外国語学院で教員を務めています。
院生時代の思い出を懐かしく振り返り、また現在の大学教員としての苦労と楽しさについて語り合いました。
後輩院生たちとも再会し、色々と刺激を与えてくれたようです。
王さん、どうもありがとうございました!
(写真はおみやげに頂いた海南省のお茶です)
2023.12.11
11月10日に岡山市北区にあるオリエント美術館に行きました!
オリエント美術館では貴重な古代オリエントの美術品を見ることのできる常設展と、その時々で展示物の変わるユーモラスな特別展の二つを開催しており、今回は常設展の他に大航海時代周辺のアジア、ヨーロッパの美術品、交易品などをテーマにした特別展を見学しました!!
普段写真でしか見ることのできない陶器や像などの美術品や書物などの実物に触れ、悠久の歴史を直に感じることができました!
また、美術館の中には喫茶店もあり、アラビックコーヒーやチーズケーキなどを楽しむことができました!
2023.12.11
夏休みに、研究室旅行で神戸へ行ってきました!
午前は主に神戸ムスリムモスクに、午後は神戸異人館へ行きました。
神戸ムスリムモスクは、1935年に日本で初めて建設されたモスクです。
モスク内や礼拝の見学をし、質疑応答などの時間を設けてもらいました。
▶神戸ムスリムモスクの外観
▶モスクまでの道で通った韓国領事館
また、道中でハラルフードなどを売っているお店にも行きました。スパイスやお菓子など、普段見ることのないような食材や商品が並んでいて、新鮮でした。
午後は神戸異人館へ行きました。
様々な展示や建築があり、面白かったです!
2023.12.5
学位論文の題目を更新しました。
過去の「研究室の近況」を移動しました。
2021.3.16
卒論を提出した4回生へのインタビューを掲載しました。
学位論文の題目を更新しました。
2020.4.1
学位論文の題目を更新しました。
2019.9.26
インタビューを更新しました。
2019.7.15
研究室OBへのインタビューを掲載しました。
2019.4.9
サイトをリニューアルしました。
〒700-8530 岡山市北区津島中3-1-1
岡山大学大学院社会文化科学研究科
東洋史学研究室
(文法経1号館2階)
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