制作レポート:#1
作成 : 2026/1/20
更新 : 2026/1/23
作成 : 2026/1/20
更新 : 2026/1/23
前回の#5に続き、#5のベースルールである#4についてのコラムと行きたいところですが、まずは#4の前に、#1について紹介させていただきます。
1.#1について
弊サークル公開の一作目、『TENOI RPG v1.x』は、テノイが存在する世界の概略になる作品です。
同人として本格的に活動し始める頃からメインコンテンツはゲームブックと決めていましたが、そのゲームブックの舞台や活躍するキャラクターたちはどのようなものか、私自身方向性が欲しいと考えていました。
そこで、以前からオリジナルのTRPGシステムを考えるのが好きだったので、漫画やビデオゲームではなく、TRPGシステムによって世界観の基本設定を決めようと考えました。これが#1のきっかけになります。
#1の時点で「オブジェクトの細ルールによる動的ルールのTRPG」という発想はあり、このおかげで、「どのキャラクターが何をするときだけ何」、「何を装備しているときだけ何」など、状況別のルールをすべて把握しなくても、今有効なオブジェクトの細ルールを見れば、現在のルールが解るというゲームを意識していました(FluxxやMagic:the Gatheringに着想を得ています)。
2.#1の反省点
#4と大きく違うところとして、#4が1人で遊ぶのにもルールの解釈に混乱しないようボードゲーム然としたルールであるのに対し、マスターとプレイヤーがいる事を前提にした、良くも悪くも解釈次第の、ふうわりしたルールでした。
しかし、以下の問題も同時に抱えていました。
これらも当時から漠然とした不安としてありましたが、#4の制作が進むことで、分析と問題点の言語化ができたように思います。
2.1. 致命的なルール上の不備
#1では既存のRPGのヒットポイントに相当する「元気」があり、ダメージを受ける度にここから値を引き、0になると行動不能としています。
既存のRPGではアーマークラスや守備力など、ダメージの軽減や回避のチャンスを得られる仕組みがあり、装備や魔法などでそれを増減できたりしますが、#1は代わりに、元気の最大値にその補正を反映するルールでした(ビデオゲームではFFTが近いです)。
そして、増減する度に以下の計算式で残りの元気を再計算し、「死にかけだったのに防具を脱いだだけで全快」や「防具を着込んだ後回復薬を飲まないと実質防具を着たことにならない」といった奇妙な状況がないように整備していました。
新しい残り元気 = 現在の残り元気 / 現在の最大元気 * 新しい最大元気
しかしこの「同じ割合で元気を残す」仕様は、黄金律の「端数切り捨て」との兼ね合いにより、「最大元気を変動する装備の着脱を繰り返すだけで勝手に死ぬ」という別の不具合の原因になっていました。気が付かないまま数年このままになっており、最近応急処置的に以下画像の計算式になりましたが を思いつきましたが、そもそもテーブルゲームで何度も発生していい計算ではありませんし、本当はゲーム中最大元気の数値が変動すること自体を避けるべきでした。
(画像提供:『Sundry Street』様 https://sundryst.com/index.html)
但し、x=現在の残り元気、y=現在の元気、z=新しい元気とする。
2.2. 不明瞭な世界観
当初テノイは、「人間には感じ得ないものを感じ取る力を持った亜人」であり、ポータルを通じて現代社会にも存在しうるという設定でした。近未来や時代劇的な設定のシナリオにも活躍させたかったのです。
しかし、その広い世界と可能性を1人で表現していくのは難しいと感じました。結局、後続作品も完全に独自の設定を持ち、人間らしい人間は一切登場しない等、イメージを補填しきれませんでした。
これについては「制作レポート:#5」にも記載しています。
「NPCタイプ」はその副産物です。様々な世界を旅するテノイには、相応に多様なクリーチャーと遭遇する可能性があり、ルールブックに入り切るものではありません。そこで、ベースになるステータスに属性を付け足すことで、モブからボスクラスの強敵まで表現可能になると言う発想でした。
当時は面倒くさくなった際の逃げの一手でしたが、これについては今後もなんらかの形で流用できればと考えています。
2.3. PCの個性の弱さ
TRPGは複数人でプレイするものであり、それぞれがお互いに得手不得手をカバーし合うのも醍醐味であると考えています。
そう考えていたわりには、と言うか、当時はどう考えていたのか。
#1はこの点、PCは薬を作るにも、敵とより有利に闘うにも、全てはアイテムの効果次第であるので、持ち物次第でなんでも出来ます。
持てるアイテムは限られているものの、時間に余裕があればシナリオ中誰かと交換も可能です。
ステータスの違いも確かに役割に関わりますが、とはいえボーナスの差もせいぜい10〜20%なので、薬や装備、技術点でそれなりに埋まりますし、戦闘は武器を揃えれば誰でも戦えるようになります。
このように「基本的に誰もがなんでもできる」と言うのが#1であり、大事なキャラクターへの愛着についても、人間でも著名なヒーローでもない「テノイ」と呼ばれる得体の知れない生き物となると、自分のPCに何を見出せばいいかわかりません。
また、#4にもある「感覚」も少し問題がありました。元気と技術の両面に作用するステータスでしたが、それぞれに半分ずつの切り捨てを上乗せする関係で、偶数で調整するのが一番良い効率になります。
そのためヘレスロデリやヘレダヌーティは感覚に1だけ振るのがセオリーになるなど、なけなしのカスタマイズ性をも殺していました。
2.4. その他煩雑なルール
これはTRPGとしてなら普通なところですが、ダメージテーブルや、5×4=20種類の素材アイテム、パーセンテージによる回復量、調合に必要な容器、弓に対する矢などの消耗する飛び道具、具体的な距離がルールにからむなど、ソロプレイを想定した時に切り捨てたほうがいい要素が多くありました。
特に素材について、#4のテストプレイ時点でも同じくらいの種類がありましたが、#4のテストに付き合ってくれた方曰く、アイテム管理とランダム入手時が一番手間だったそうです。
3. #4の制作方針変更
当初は後続のゲームブックの世界設定の側面が強い作品であり、テストプレイ等はあまり力を入れていませんでした。
また、ゲームブックの方もシステムの連携は何も想定しておらず、#1が10面ダイスを使用するのに対し、#2,#3は6面ダイスを使ったミニゲームが判定の代わりでした。#3に至っては体力感覚知性のステータスもありません。
初めは#3と同じくゲームコミックにしようと考えていた#4ですが、薬屋コニーにフォーカスしすぎて#1の設定を活かしきれていないことに気がつきました。
今一度#1を見返すと、世界観だけでなく色々気になるところが見つかり、TRPGシステム制作へのモチベーションが再燃していくことになります。
以降こちらにて。