競争的研究費

研究留学に当たって、FellowshipおよびResearch Grantの獲得を目指す方も多くおられるかと思います。NYU Langone Healthに所属するポスドクも、海外学振や上原生命科学財団等のFellowshipの獲得実績があります。

以下に簡単にですが、海外研究機関から応募できる日本の競争的研究費、日本人が応募できるアメリカの競争的研究費について記します。またこれらのFellowshipやGrantを獲得された方からの声も短くですが記載しておきます。とりあえず皆さん挑戦できる機会があれば、応募されているようです。

留学のためのFellowship(主には研究者の給与を支援する助成金)

日本学術振興会:海外研究員制度(滞在費年額約750万円+往復航空費)

助成額も大きく2年間支給されるので、申請される方も多いのですが、締め切りが早いことに注意が必要です。留学後の申請も可能です。


上原生命科学財団:海外留学助成金(滞在費年600万円以内)、250万円以上の重複制限

留学後の申請も可能。多くの場合は1年間の助成になりますが、優秀者は2年間の助成を受けます。

『日本の大学に所属している間の方が、大学からの推薦枠を使うことができるので海外に渡航してから出すよりも有利であるとは聞いていました。本当のところがどうかはわかりません。私は最初は1年助成と連絡をいただいていて、3週間後くらいに繰り上げで2年間助成と連絡をいただきました。なのでそのような研究科長推薦、大学学長推薦を使いたかったため、在学中に出せた上原を選びましたが、他にも出していた他財団のFellowshipは落ちています。 。』 


武田科学振興財団:海外研究留学助成 (滞在費年480万円+往復航空費40万円)、400万円以上の重複制限

MD/PhDのみ応募可能。大学における応募数制限なしで、4年間の助成である。為替相場の変動に対する補填はないが、2025年度から助成額が年600万円に増額される。多財団からの助成金との重複受給制限が比較的緩い。

『武田の倍率は低くて、私が応募したときは3倍くらいでした。大学の推薦を受ける選抜の方が大学によっては大変かもです。 とりあえず出せそうなやつを片っ端から同じ内容で出しました。その中の組み合わせて良かったものを選んだ形になります。』 


日本生化学会:早石修記念海外留学助成(滞在費年800万円)、200万円以上の重複制限

日本生化学会会員のみ応募可能。留学後の申請も可能。為替相場の変動に対する補填はないが、2024年度から助成額が800万円に増額された。

応募時に日本生化学会の会員である必要があります。一方で、会員であれば、渡米後何年目までしか応募できない等の制限はなくその点は有難いフェローシップです。選考においてどのようなポイントが重要視されているかはわかりませんが、日本生化学会での発表等、活動があれば考慮していただけることもあるかもしれません。


海外から応募できる研究助成金(給与には使用できませんが、消耗品の購入や学会参加費、旅費の補填が可能です。)

住友財団:基礎科学研究助成(500万円まで)

競争倍率は10倍(2023年)と高めであるが、海外研究機関からも申請できる研究費であり、広く自然科学の基礎科学分野に対するGrantとなっている。

『独立した研究、もしくは独自色のある研究であると先方に伝わることは大切かもしれません。逆に言えば、ポスドク経験を多少積んで、研究室やPIとの違いをプロポーザルで生み出せる(アピールできる)タイミングが良いタイミングなのかもしれません。具体的に言えば、現所属先が申請する研究を行うのに最適な場所であるのかどうか、また、助成によってどのように研究が推進できるのか(どのような目的・スパン等で助成が必要なのか)が伝わるとよいのかもしれません。』


光科学技術振興財団:研究助成(年100万円程度)

光科学に関連した研究テーマを募集している。医学及び生物学研究は【第2課題】光科学技術による生命科学分野の先端研究に応募となる。2年間の研究助成であるが、中間評価により来年度の助成額が決定する。競争倍率は3.7倍(2023年)であり、比較的狙いやすい。

『応募書類の記述形式は比較的自由で文字制限もないので、逆に書くのが難しかったです。独自の技術開発を前面に押し出して、いかに光科学の進歩に貢献できるかに力点を置きました。』