研究設備

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実験空気力学研究室 (東海大学 湘南キャンパス 17号館 1 階 101-C 室)

沼田研究室は、湘南キャンパス内に実験室を有しており、分子イメージング技術を応用した流体計測手法の研究や、風洞や衝撃波管、バリスティックレンジに代表される流体実験装置に関連する様々な計測機器・装置・実験手法の開発を行っています。また、それらを組み合わせて様々な流体現象を実験的に明らかにするための研究を行なっています。

実験・研究装置

(1) 60 mm × 150 mm 断面無隔膜衝撃波管

本装置は、感圧塗料を用いた衝撃波計測実験に使用可能な衝撃波管として整備しており、試験ガスと駆動ガスをいずれも空気として運用しています。試験可能マッハ数はおよそ 1.1 ~ 2.5 の範囲で調整可能であり、マッハ数のばらつきが 0.2 % 以下という高い再現性を有する衝撃波管となっています。駆動には急速開口弁を用いた無隔膜方式を採用し、短時間で高精度の実験を繰り返し実施することが可能です。また、大断面 (60 mm × 150 mm) を利用して様々な試験模型を試験部に設置可能であり、幅広い目的に対応することが可能です。試験部内圧力は 1 kPa 以下から大気圧 (100 kPa) まで調整可能です。

現在までに、衝撃波現象を可視化可能な時間応答特性を有する超高速応答型感圧塗料 (Ultrafast-Response Pressure-Sensitive Paint, UFR-PSP) の開発や特性評価試験、及びそれらを用いた衝撃波反射現象の解明を目指した可視化計測実験等を行っています。

図1. 60 mm × 150 mm 断面無隔膜衝撃波管

(2) 感圧塗料・感温塗料特性評価用静的較正試験装置 (較正チャンバー)

沼田研究室では、感圧塗料や感温塗料の開発を実施可能な設備を独自に保有しています。その中でも静的較正試験装置 (較正チャンバー) は、感圧塗料や感温塗料の発光特性が圧力や温度に応じてどのように変化するかを調査可能な装置です。本研究室では様々な極限環境下に現れる流体現象を解明可能な分子イメージング技術の開発を行っており、圧力レンジとしては最大 10 気圧までの特性評価を可能としています。また、評価試験を実施可能な環境温度範囲としては 0 ~ 50 °C を実現しています。これら以外にも、クールプレートやチラー等を用いたさらに広い範囲におけるサンプル温度コントロールも可能としています。

また、蛍光特性の評価のためには、12 bit CCD カメラによる画像計測や、感圧塗料や感温塗料の励起・発光スペクトル評価を可能とする分光蛍光光度計を用いた発光スペクトル計測を可能としています。また、励起光源としてはキセノンフラッシュランプやキセノン連続光源、Blue-LED 光源、UV-LED 光源などを保有しており、様々な感圧塗料、感温塗料の特性評価を可能とする環境が整っています。また、計測に必要となる様々な光学フィルタも備えています。

(3) 感圧塗料特性評価用動的較正試験装置 (音響共鳴管)

沼田研究室では、静的較正試験装置に加え、感圧塗料の動的特性を評価可能な応答性試験装置を保有しています。中でも、周期的な圧力変動 (サイン波) を発生させ、それに対する感圧塗料の発光応答から感圧塗料のゲイン・位相特性を評価可能な音響共鳴管は、最大で 20 kHz 程度のサイン波を発生させ感圧塗料の時間応答特性を評価可能です。また、衝撃波管を用いて衝撃波 (ステップ的な圧力波) を発生させ、それを用いた MHz までの時間応答特性を評価可能なステップ応答試験装置も保有しています。

これら装置を用いて、非定常現象に適用可能な優れた時間応答特性を有する、様々な環境に特化した特性を示す様々な種類の先進的な非定常感圧塗料の開発を行っています。

(4) 感圧塗料・感温塗料塗布用自動塗装装置

沼田研究室では、感圧塗料や感温塗料を模型上に塗装する際に生じる人間由来の様々な誤差の低減を図り、計測精度を高めるという目的で、自動塗装装置を開発しました。本装置を用いて、比較的大きい対象に対して均一な塗装を行うことを可能としています。

(5) バリスティックレンジ (開発中)

沼田研究室では現在バリスティックレンジの開発を計画しています。バリスティックレンジは小型の飛翔体 (プロジェクタイル) を音速以上の速度で射出可能な装置であり、現在ガス駆動を想定したバリスティックレンジの開発を計画しています。装置完成後は、感圧塗料や感温塗料を中心とした分子イメージング計測や飛翔体由来の衝撃波に関する研究に用いる予定です。