ΔY=(σ/L)ΔM
y=σm
σ=通常0.5~2.0
PIGS諸国は政府債務対GDP比率が高いが、日本はこれらを凌ぎ世界トップ。日本とPIGS諸国の共通点はmが小さい。
日本は1994年末、PIGS諸国・アメリカは2007年~2009年に民間債務残高対GDP比率がピークアウトした後低下し、これを補填するように政府債務残高対GDP比率が上昇した。その後、イタリア・ポルトガル・スペインは民間債務残高対GDPが低下する中、政府債務残高対GDP比率が横ばいになっている。民間債務残高対GDP比率が低下し続けている理由は新たな民間債務発生が無くなり、一方返済があるからである。政府債務残高対GDP比率が横ばいになっているのはユーロ圏財政規律が存在しているからである。2018年までのところ、これらの国に於いて政府債務残高対GDPの上昇に伴い民間債務残高対GDP比率が上昇した国は無い。
政府債務残高対GDP比率(縦軸)と民間債務残高対GDP比率(横軸)の関係の図に於いて、経済が発展するにつれて西⇒南⇒東⇒北、或いは領域A⇒領域B⇒領域C⇒領域Dへと逆時計回りに推移する。
下表は日本・中国・ドイツ・ルクセンブルグの間接金融経由債務残高対GDP比率である。1人当たりGDP世界第1位は全部門総債務対GDP比率は419.5%で世界第1位であるが、間接金融経由債務残高対GDP比率では127.9%と極めて低い。
即ち、直接金融レベルであるが、日本は低い。
経済を熱力学的に解釈できるだろうか?? 債務残高やマネーストックは状態量であるが、これらが全く変化しない静的状態でも経済活動は継続し、毎年GDPが産出される。この状態ではGDPが産出されても、二つの状態量に変化はなく、静的状態のままである。 即ち、経済は熱力学的解釈はできない。
宇宙は無から生じたと説明されている。無の前には何かあったのかという疑問があり、無は無だ、揺らぎがあった、数式がある、神がいるなどと諸説ある。一方、貨幣(お金、マネー)は無から債務と貨幣が創造される。無の前には債務者がお金を借りて経済活動をしたいという明かな意思がある。このような債務が累積した債務残高(正確には債務者)が経済活動をし、GDPを生むエネルギーであり、債務返済しない限り減少はしない。貨幣の累積であるマネーストックは経済活動のエネルギーではなく、媒体に過ぎない。
マネーストック一定下でも経済成長することができる。但し、マネーの価値が上昇し、所謂デフレになる。債務者は負担が実質的に増大するので、債務を返却し、それに伴ってマネーが消滅する。その結果、益々デフレとなる。デフレ下では人々は経済成長を認識できず、投資意欲が湧かない。結局、このような経済は萎縮していく。従って、経済が発展するためには、適切な規模の銀行による信用創造(間接金融)が不可欠である。