新しく農業を始めるということ自体、いまの農業が担い手不足でなかったら出来ていないと思います。だからこそ自分はこの問題に取り組み、末永く継承していってもらえる農園を創りたいと考えました。しかし個人の職業選択の自由は尊重すべきだと考えており、もとより妻子もいませんので、大学で学んだ経営学的なアプローチで臨みます。
人は誰もが「認知の限界」を持っています。価値観のクセや固定概念もあります。でも本来、全てに一長一短あるものですからアイデアは無限にあるはずです。意思決定をオープンにして、多様な価値観を育みながら全てのメンバーが経営に主体的に向き合えるようにすることを大事にします。
農家が人を雇う場合、その多くは仕事を手伝ってもらうことが目的になっています。人件費をコストとしか思っていないし、息子がいない農家は自分の代で終わりだと考えてしまいます。これは一族経営のビジネスで一般に起こることです。まず従業員を雇用すること、そして後継者候補として育成することでこれを解決します。
「頑張る」という言葉について、辛さに耐えるのを「頑張る」とは言わないと思います。好きなことに本気で取り組むことが「頑張る」だと思います。楽しいことですが、やり方次第ではただのやっつけ仕事になってしまいます。これが実に表裏一体だと感じることもありました。プロ意識をもって仕事に取り組んでいきたいです。
この経営理念に規模は関係ありません。将来の経営面積が7haでも200haになっても共通です。
農業は残念ながら、人身事故の多い業界です。機械と人との距離が近く、各自の判断で安全を確保している実状も相まって危険とは常に隣り合わせであります。これは仲間と共に農業をやるにあたって最大のリスクです。万が一のことはただの1回も起こしてはならないのです。安全確保には特段強い意識で取り組んでいます。
☆作業マニュアルの導入
作業内容を明文化することで経験や記憶に依存しない現場環境を作ります。誰でも気軽に作業に参加できるようにします。
☆安全マニュアルの導入
潜在的危険を周知し、事故を防止します。
☆他人と比べない
自分自身と戦って実力を養成します。
☆誰かのせいにしない
問題発生時、誰のせいか考えるのではなく、多角的な原因究明に基づく再発防止策を創ります。
☆目標を共有する
スケジュールを調整し、主体的な意思によって仕事を進めていきます。
☆人を急かさない
急かされるとパフォーマンスもモチベーションも落ちます。人を急かすのはご法度とします。
☆焦らない
「焦り」はあらゆる農作業事故の原因となってきました。焦ってやらず、計画を練り直します。