ペインクリニックとはどんな診療をする科でしょうか?
それは、痛みや病気からおこる様々な不快感をおろそかにしないで、積極的に治療していこうといった、受ける側の立場に立った医療です。ペインクリニックとは痛みの診療所という意味ですが、実際には痛みだけでなく病気に伴った不快な症状を緩和し、日常生活に活気を取り戻していただく役割ももっています。
日本の医学会は長年治す医療に重点を置いてきたため、痛みや苦痛の原因に対してはあらゆる検査が行われますが、患者さんの身になった痛みの対策に消極的な場合が多く、そのためにかえって本来の治療がうまくいかない人も後を断ちませんでした。
また痛みの程度や広がりが病気の診断治療に重要だと考えられていますが、レントゲンや超音波を使った画像診断、血液検査などの診断法も進歩し、痛みや不快な症状を取り除いても診断治療が可能になってきました。大きな病院ではペインクリニック科をおいて患者さんの苦痛を取り除く治療も行われるようになりつつありますが、我々医師側の関心も低くまだまだ満足に機能しておりません。
頭痛、肩こり、四十肩、腰痛、神経痛、膝の痛み、帯状疱疹、癌性疼痛などの痛みを伴った病気はもちろんのこと、顔面麻痺、はくろう病、アレルギー性鼻炎、更年期障害といった、血液の循環や免疫、ホルモンの異常などさまざまな病気に対して取り組んでいます。
先に世界保健機構は癌の疼痛緩和に対して、発展途上国などの医療過疎地域でも可能なモルヒネを中心とした疼痛緩和の指針を示しておりますが、このような不完全な治療指針では複雑な癌の痛みにはとても対処できません。日本ではより適切な治療法を選択できるにもかかわらず、さもモルヒネが最高の薬剤のようにマスメデイアはじめ医学会で取り上げられるのは残念なことです。痛みは大変なストレスとなるばかりでなく、私たちの生活や行動範囲を制限してしまいます。このためにもペインクリニックという診療科があることをを知っておきましょう。