料理は理科の実験とよく似ている。こむぎ粉に含まれるグルテンというタンパク質がたべごこちをどんなふうに変えるか、ウドンをつくって ためしてみよう。
日時:2017年12月10日(日)午前10時から
12月14日(木)午後4時半から (同じ内容で2回やりました)
持ち物 :ハンカチ
各小麦粉:100g 水:50g キウイ2.5g +水47.5g
よく捏ねて ドウに触った感じを比較する
打ち棒でのばし 厚みを同じにする
折りたたんでおよそ同じ巾に切り、4分茹でる
茹で上がったウドンを冷水で締める
鳥ネギ汁につけて食べ比べる
1. 実験開始:強力粉、薄力粉、メスシリンダー、はかり、キウイフルーツ(ナイフとおろし器)
2.小麦粉を計る。強力粉、薄力粉、強力粉+キウイフルーツの3種類のボウル
3.水を計って加え、まぜる。
4.こねて、まとめる。
5.麺棒でうすくのばす。
6. 細く切って、ほぐして、茹でて、できあがり。あとは味見。たべごこち、どうちがうかな?
小麦粉にそのおもさのおよそ半分の水をいれてよくこね、打ち粉をふった板の上で薄く延ばしてから折りたたみ 包丁で細く切ります。熱湯でゆでると 手打ちウドンができあがります。
小麦粉にはたくさんの種類があります。どんな小麦粉をつかうと どんなウドンができるのかを実験してみます。売り場の小麦粉のなかでたくさんあるのは薄力粉と強力粉です。その違いはグルテンというタンパク質(小麦粉のなかではグリアジンとグルテニンという2つのタンパク質分子として含まれている)の含量が少ないか多いかということです。全粒粉にはコムギの種子から皮を取り除いた全ての部分(胚芽と胚乳)を粉にしたものです。胚芽とは種子が発芽した時にのびる根や茎の部分です。下の図では幼芽鞘と幼根とされている部分です。種子ができるはじめのころに 次の世代の植物体の基本的な部分はすでに形作られるのです。胚乳は発芽した後に幼植物が葉を広げて光合成できるまでのあいだに必要なエネルギーや体をつくる成分を蓄えているのです。エネルギーを蓄えているのはおもに細かなデンプン粒(糖がたくさんつながった 水には溶けない大きな分子)です。
体をつくったりほかのことをするのに(植物でも)アミノ酸が必要です。そのために胚乳には貯蔵タンパク質があります。ダイズなどのマメ科の種子にはたくさんのタンパク質が含まれています。コムギでは胚芽にタンパク質が多い(24-31%)のですが、胚乳にも6から16%含まれているとのことです。同じ穀類であるイネでは穀粒中のタンパク質の含量が6%ほどで少なく、胚芽を除き精白したコメではさらに下がります。(吟醸酒をつくるにはタンパク質の量を下げるために精白を50%とかたくさんしてコメの粒の中心近くのデンプンばかりの部分をつかって醸造します)米食でタンパク質を摂ろうとするとドンブリ飯になってしまい、その結果 炭水化物のとりすぎで(お酒もですが)健康にはよくありません。米食では大豆食品をたくさん添えるべきです。
さて グルテン含量の異なる薄力粉と強力粉で手打ちウドンをつくり食べ比べをしてみましょう。ゼリー(動物の骨や皮由来のゼラチンというタンパク質からつくる)をつかったプロテアーゼというタンパク質分解酵素のはたらきを キウイを使って調べたことがあります。グルテンもタンパク質です。小麦粉を練る水にすこしキウイのすりおろしを加えたときにウドンが打てるか、どのような食感になるかも確かめます。このような実験では 比較しようとする項目以外は同じ条件にして実験するというのが鉄則です。
小麦粉があれば手打ちウドンをつくるのとおなじようにして 餃子の皮を自分で作れます。いろいろなクッキーやパンやマンジュウをつくるのに適した小麦粉の種類もわかります。こねる際に塩や油を加える理由も考えてみると 自分でつくる料理の方法が納得できたりもします。