かわる色水
紫キャベツを細かく刻んで絞り 色水をつくります。
その色水に いろいろな液をくわえて 色がどのようになるかを観察します。
- 穀物酢
- リンゴ酢
- みかん
- 食塩水
- 中性洗剤
- 重曹(炭酸水素ナトリウム)
- 石鹸水
- 虫刺され薬(キンカン)
- パイプクリーナー
使う液のなかに眼に入ると危険なものが含まれるので、ゴーグルを持っていたら持参するようにお願いしています。
実験ノート
紫キャベツの色のもとになっている分子
pH (液のなかの水素イオンの濃度)によって分子が変わる
それぞれの分子の色が赤、紫、青になるので 液の色でpHがわかる
植物の色
光合成する植物は太陽の光を吸収する葉緑体をもっていて クロロフィルという色をもつ分子がそこではたらいています。
紫キャベツが紫色であるのは アントシアニンという分子のおかげです。antho-cyanin というのが綴りです。antho- はギリシャ語由来の 接頭語で 「花」を意味します。cyanin は染料といった意味です。cyan というとシアン(青)色です。
アントシアニンは植物の花や果実の色のもとになっています。 なんの役にたっているのかというと、根をはやして動けない植物が 送粉動物はたらきで花粉を 遠くの花にはこんだり、果実のなかの種子を動物によって 分散させるために 緑の景色のなかで 花や果実を際立たせるためです。
参考情報
花の色と動物の色覚の共進化
花の色素の分子は、アントシアニンという分子の仲間です。これをつくる遺伝子の冒険が分子のところどころに小さな変化をつぎつぎとほどこすことにより、マゼンダから朱色、黄色に、別の道筋ではマゼンダから紫、薄く灰色がかった紫色、赤紫色に、そして青色の花の色素を発明してきました。
一方、色を見ることのできる動物は、ヒトをふくむ脊椎動物と、昆虫などの節足動物のふたつに限られます。花とのつきあいで成功をおさめたグループです。ヒトや鳥など脊椎動物は赤、緑、青の3色をみる眼を獲得したのだけれど、昆虫は赤が少し苦手で、そのかわりに紫から紫外線をみることができます。昆虫を送粉動物とする花の色つかいには、ヒトのみることのできない紫外線色が含まれています。逆に、昆虫ではなく鳥を送粉動物としてつかう花の色つかいは、昆虫には見えない赤になります。私たちは花だけをしじゅうみているのではないのだけれど、花の色素と動物の色覚は共進化してきたといえます。「みるべきは花」といってよいかもしれません。
ちなみに夜に活動する送粉動物と共進化した植物は 色を つくる分子に投資するのは無駄なので、白い花をつける種が多いようです。