クズは草原や緑地によく見られる植物で、むかしから、つるをかごに編んだり、布をつくったり、根を食用や薬用に利用してきました。くずもちはクズのデンプンをつかったお菓子です。根をうすくきって顕微鏡でみると、デンプンの粒がためられているのがわかります。すりつぶしてデンプンをとりだすと、くず粉ができます。ほかの植物のデンプンも見てみましょう。
日時:2016年11月13日(日)午前10時から
2016年11月14日(月)午前10時から
(同じ内容で2回やります。どちらかに参加を)
クズを採集するので、よごれてもよい服装で
参加費:無料
クズの葉(左右各1枚と先端1枚の合計3枚の小葉で1つの葉をつくる複葉である。)
クズの花
顕微鏡で見たクズとボルボックス(クリックすると拡大表示されます。
(左側の黒い弧とその右の薄茶色の層が表皮、中ほどの細胞中のこまかい粒がデンプン TBO染色)
(白い丸は維管束、水分や養分を通す管 TBO染色)左と右の写真の部位に対して中間の部位
(右の赤く染まっているのは中心部、あぶくのような空隙がたくさんある TBO染色)
クズの根の断面4(ヨウ素液で染色して、細胞中のデンプン粒が黒く染まっている)
クズはツル性の植物で、自分の重さを支えることはせずに 他の高い木があればそれに這い登ります。クズの葉が太陽からの光を独り占めにして這い登られた木は枯れてしまうこともあります。
クズの葉では太陽の光と二酸化炭素と水から光合成によって糖(お砂糖のような甘い物質)をつくります。糖は植物がさまざまなことをするエネルギー源となります。どんどん糖をつくって その時には消費せず そのまま植物の細胞のなかに溜め込もうとすると、困ったことが起こります。浸透圧が高くなって細胞がドンドン水を吸い込んで膨れて破裂してしまうかもしれません。そこで植物は糖を貯金するために 水には溶けないデンプン(高分子)に糖を変えて細胞の中に蓄えるのです。エネルギーが必要なときに デンプンを分解して糖にもどして使います。
冬になって温度が氷点下にさがると、植物は細胞の中の糖の濃度を高めて凍らないようにします。冬に大根がおいしくなるのは この効果によっています。
クズは夏の間に糖をたくさんつくって 根を太らせてその細胞のなかにデンプンを蓄えます。
上のトルイジンブルーO(TBO)で染色した根の断面切片には、表皮から中心の髄のあいだに さまざまな組織があるのがわかります。TBO染色では組織の種類のちがいにより、赤紫、青、緑の色に染まります。細胞の形や大きさが異なる組織でさまざまであることをご覧ください。根の中心には髄があって スカスカの構造になっています。
写真のなかで大きな円形の空洞がいくつかまとまってあるのは養分をふくむ水などを植物の体の各部に運ぶ道管や師管の束(維管束)です。葉で作られた糖は師管を通って根に運ばれます。維管束の周りの細胞のなかに細かい顆粒としてみえるのがデンプンです。
ヨウ素で染色した切片画像には黒く染まったデンプン顆粒がみえます。維管束の通る領域にはさまれた部分の細胞にデンプンが多く分布します。
切片の作成には自作したネジ式ミクロトームを用いました。対物レンズの倍率は10倍です。
動物は(植物と違って)生きていくためのエネルギーや体を作る材料を自分ではつくることはできません。植物が種子や根に蓄えたデンプンなどを採集して食べています。クズの根からとるデンプンは葛粉として和菓子つくりなどに利用されていますし、また葛根湯として和漢薬で利用されています。
ボルボックス左:明視野、右:暗視野(ボルボックスを山口県立山口高校から分けていただいたので観察)
ボルボックスは肉眼で見える多細胞の生物です。細胞は2種類あって球形の群体をつくっているのですが、ただ闇雲におよぐというのではなく「賢く」泳ぐ性質を示します。下の解説ページにはさまざまな情報が含まれています。
国立科学博物館のボルボックス解説ページはhttp://www.kahaku.go.jp/special/past/bisyoso/ipix/mo/3/3_1.html
飼い方についての解説は、http://www.eec.miyakyo-u.ac.jp/meme/data/nen/28/nen28.htm