わたしたちの体のなかでは たくさんの化学反応がおきています。皮膚や骨にはコラーゲンというタンパク質でつくられています。タンパク質の分子はとても大きくて 水には溶けないので 皮膚や骨はその形が崩れないのです。タンパク質の分子は 小さなアミノ酸という分子がたくさんつながって作られます。アミノ酸は小さな分子で水に溶けます。
プロテアーゼという 特定の化学反応を引き起こす「酵素」というはたらきをする タンパク質の分子があります。このプロテアーゼはコラーゲンなどのタンパク質分子を分解する反応を起こします。
その働きを ゼリーをつくるゼラチンという分子をつかって調べます。ゼラチンはコラーゲンを煮たりして分子を解きほぐして作ります。魚の皮や骨を煮るとニコゴリができるのはゼラチンのおかげです。
実験でつかうプロテアーゼは、キウイの実にふくまれているものを使います。パイナップルの実にも含まれています。キウイの実をすりつぶして、ゼラチンの溶液に加えて冷やします。比較するために 同じくらいの水をゼラチンの溶液に加えて冷やします。もうひとつ、キウイをすりつぶしたものを 100℃くらいに煮た液をゼラチンの溶液に加えて冷やします。この3つのうち 冷えたら固まるのはどれでしょうか?
西緑地科学クラブでは 甘酒つくりの実験をしたことがあります。その時には コウジカビがつくったアミラーゼ(これもタンパク質分子)という酵素をつかって、水にはとけないデンプン分子を分解して水にとけて甘い味のする糖の分子をつくるという実験でした。
タンパク質分子は 卵の白身(タンパク質がたくさん含まれる)を加熱すると分子の形が変わって固くなり性質がかわる(変性)ように 多くは高温で形がかわり 温度をもどしても元にはもどらない分子が多いのです。酵素の働きもそこでなくなってしまいます。
プロテアーゼは私達の生活の中でいろいろ使われています。
食肉にはタンパク質が多く含まれています。プロテアーゼにより肉のタンパク質を一部分解する 肉は柔らかくなります。缶詰、加熱されたものでは酵素分子は失活していますから、生のものを使わないとこの効果はありません。
https://cookpad.com/recipe/4413219 キウイソースで柔らかポークジンジャー
https://cookpad.com/recipe/57166 スペアリブハワイアン
合成洗剤のなかには プロテアーゼなどの酵素を含む商品があります。衣類の汚れのもとは皮膚起源の垢があります。タンパクや皮脂を分解する酵素が衣類の汚れを落とすのです。このような目的で使われる酵素は保存時のさまざまな環境の変化があっても活性を失わないことが求められるので、強アルカリ性の環境でもびくともしない極限微生物がつくる頑丈な酵素を使ったりしているとのことです。この技術は日本で始まりました。
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ゼラチン 8g 水 200ml 湯煎(60℃)で溶解し 砂糖をすこし加える
果実1つであるなら 4g 100ml 5g 125ml
http://www.yg.kobe-wu.ac.jp/jc/research/ronkou/pdf/57/vol57_04.pdf
http://www.nitta-gelatin.co.jp/gelatin_labo/11_2.html
「膨潤溶解法」
ゼラチン粉末をあらかじめ冷水中で膨潤したのち、加熱溶解する方法である。どちらかといえば、小規模の溶解作業に適した方法で、溶解の規模が大きくなると、膨潤ゼラチンの攪拌が困難になったり、冷水を加温するのに長時間を要する。膨潤作業において、特に細粉のゼラチンの場合、攪拌、分散が十分でないと、部分的に膨潤しないことがある。ゼラチン粒子を、むらなく、十分に吸水させることさえできれば、溶解の失敗はほとんどない。
一般的な溶解条件は、以下の通りである。
膨潤時間: 30~60分
膨潤温度: 10~25℃
溶解温度: 50~60℃
ゼラチン液30mlを3つとりわけ 40℃に冷却
パイナップル、キウイのすり潰し果汁 20ml x2
1)生果汁 20mlそのまま
2)果汁20ml 湯煎で5分100℃
1)生果汁20mlをゼラチン液30mlに加える
2)加熱処理果汁20mlをゼラチン液30mlに加える
3)水20mlをゼラチン液30mlに加える
氷水で冷却
1分ごとに固まるかを観察 15分で終了
http://www.yg.kobe-wu.ac.jp/jc/research/ronkou/pdf/57/vol57_04.pdf
10〜20倍量の熱水(80-90℃)で20分
https://www.hro.or.jp/list/fisheries/research/kushiro/section/kakou/att/c7skn30000001k2n.pdf
骨や皮中に含まれるコラーゲンは難溶性の物質であるが、これを酸やアルカリで前処理(後述)したのち、加熱すると、3本鎖らせんの分子構造がこわれ、ランダムな3本の分子に分かれる。このようにして熱変性し、可溶化されたコラーゲンを、「ゼラチン」と呼ぶ。
http://www.nitta-gelatin.co.jp/gelatin_labo/3.html