シャボン玉はなぜ浮くのか
「基本的にシャボン玉はまわりの空気よりも重いので 沈んでいくのだが、中にはいった空気が暖かければ(周りより軽いので)浮き上がる。風にのって流されるということもある。」
シャボン玉はおなじ大きさの空気より重いので沈む
シャボン玉は薄いシャボン玉液の球形の膜のなかに 空気が入っています。シャボン玉の重さは中の空気の重さと球形の液膜の重さを足した重さです。シャボン玉とおなじ大きさの空気の重さと比べて シャボン玉の重さが重ければ シャボン玉ができたところから 下の方に沈んでいきます。もしシャボン玉の重さが軽ければ 上のほうに浮き上がっていきます。
シャボン玉をつくった周囲の空気が たとえば部屋のなかで 止まっているなら、沈む動き、浮き上がる動きを見ることができます。
空気の重さというとほとんど無いと錯覚しますが じつはとても重いのです。3mX3mX3mの大きさの部屋のなかの空気は 27,000リッターですが その重さはおよそ35kgあります。
10cmの直径のシャボン玉の体積や表面積を求めるのは 中学・高校なので、ここではその代わりに10cmの立方体のシャボン玉を考えます。シャボン玉の液膜の厚みを仮に0.001mmとしましょう。
10cm立方体のなかの空気の量:1リッター、その重さ:1.3g
10cm立方体の液膜の面積:600cm2 0.001mm厚みとしたときの体積:0.06cm3
シャボン玉液が ほとんど水としたときの 重さ:0.06g
シャボン玉の重さは1.36g シャボン玉とおなじ体積の空気の重さは1.30g です。
これでは 同じ体積の空気より0.06g重いのでシャボン玉は沈んでいきます。
暖かくて湿った空気をいれたシャボン玉は浮く
すこし寒い日で気温を15℃としましょう。シャボン玉に温かい空気をいれると シャボン玉の中の空気は軽くなります。29℃の空気をいれれば シャボン玉の中の空気の重さは(これは高校で習うのですが)1.24gと軽くなり、シャボン玉全体の重さは空気の重さと同じくらいになります。
また、シャボン玉の中の空気に含まれる水蒸気の割合がおおいと、空気の平均分子量(高校で習う)およそ29に対して水の分子量18と軽いので、シャボン玉の中の空気は乾いた空気の重さより軽くなります。
シャボン玉を肺からの空気で膨らませれば、温度・湿度とも高く、シャボン玉は軽くなって浮き上がるかもしれません。
大きくて軽いシャボン玉はなかなか沈まない
もしシャボン玉が空気より重くて沈んでしまう時でも 沈む速度は小さいのです。たとえば、0,06gのアルミ箔を切り取ったもの、それを硬く丸めたものと、0,06g分重いシャボン玉の3つを 流れのない空気のなかで離したとします。アルミ箔の厚みは0.01mm 比重は3くらいですから 0.06gのアルミ箔の大きさは4cm x 5cmほどになります。丸めたアルミ箔の玉はストンと落ち、4cm x 5cmほどのアルミ箔はひらひら落ちます。大きなシャボン玉はとてもゆっくり沈んでいきます。
空気のなかをそこそこに大きな物体を動かそうとすると、そこにあった重たい空気を動かさないといけません。そこそこに小さな物体でも 物体の表面の空気は動く物体と一緒にうごきますから、空気のなかに速度のちがうところができます。そのために力が必要になります。あるいは物体のまわりに渦が作られ、そのためにも力が必要です。空気ではなくその1000倍も密度の大きな水の中で物体を動かすには大きな力が要ります。
軽くて大きなシャボン玉は 沈降するための力は小さく、一方で動かさなければならない空気の重さは沢山で重いので、ゆっくり沈降します。もしシャボン玉くらいの大きさ重さの物体を真空のなかにいれたなら、鉄球がおちていく早さで落ちていくことでしょう。
シャボン玉が沈む速度よりも速い風があるとシャボン玉はその風に流されて飛んでいきます。風のない部屋の中でも、シャボン玉を吹く人がそのなかにいるだけで、体温の高い とくに頭の上に上昇気流がうまれ、部屋の中にわずかな風が発生します。そのながれにシャボン玉がのることがあるかもしれません。
薄いポリエチレンフィルムによる熱気球の計画
特殊な気球用に作られたとても薄いポリエチレン膜(0.005mmくらい)の袋に ドライヤーで温めた空気を入れると 熱気球の実験を部屋のなかでもできます。JAXA宇宙研の気球グループはできるだけ高い空まで気球(ヘリウムを使う)を飛ばそう、1トンくらいの装置を高い空にもちあげようという挑戦をしていました。http://www.isas.jaxa.jp/missions/balloons/
2016年4月の企画(アンコール企画ご案内)
台所用中性洗剤、ガムシロップ、グリセリン、炭酸飲料、ゼラチンパウダーなどを調合して、特製シャボン玉液をつくります。竹の棒、針金、モールを使って、大きいシャボン玉づくりに挑戦します。
場所:西緑地会館
日時:2016年4月25日(月)午後4時半から
対象:小学生は保護者なしでも。
小さいお子さんは保護者同伴で。
参加費:100円(材料費)
*汚れてもよい服装で来てください。
シャボン玉の膨らませ方のコツ
シャボン玉作りのリングを(形は円形でなくてもよいが)ぴったり平面にすることです。皿にいれたシャボン玉液が少なくなっても リングに液膜を安定して形成することができます。
シャボン玉飛ばしは風が強いとなかなかうまくいきません。液膜ができたリングを動かす速度は早すぎず遅すぎず リングの平面液膜から半球状にシャボン玉ができていくのをみはからって 動きをコントロールするのがよいのです。
シャボン玉づくり解説(かいせつ)その1
シャボン玉液で1番大切なのは、水と石けん
水は、いろいろなものをとかす液体(えきたい)で、自由な形をつくれる。ただし、ぬれにくい境界(きょうかい)では表面積(ひょうめんせき)をできるだけ小さくしようとする性質があって、表面張力(ひょうめんちょうりょく)という。水道で水をだすとき、円柱状(えんちゅうじょう)にまっすぐに流れ落ちていた水が、蛇口(じゃぐち)をしぼっていくと、ちぎれて球形(きゅうけい)の水滴(すいてき)になるのは、このためである。
せっけんは、界面活性剤(かいめんかっせいざい)といって、水の表面張力を弱め、うすくのばす働きがある。
うすくてじょうぶな膜(まく)ができれば、大きいシャボン玉を作ることができる。
ゼラチン、ガムシロップ、グリセリン(ウェルパークなどの薬局でうっている)、炭酸水(たんさんすい、CCレモンなど)は石けんのはたらきを助ける。
シャボン玉液は、こい石けん液なので、手や顔などの体についたときは、よく洗う。決して口の中にはいれない。
シャボン玉液のつくりかた(できあがり量 約150ml)
たくさん作りたいときは、それぞれの量を2倍、3倍とふやしていってください。
水や液体石けんは計量カップやメスシリンダーで、ガムシロップ・グリセリン・炭酸水はスポイト(グリーンウォークのコーナンで150円くらいで売っている)や計量スプーンではかります。
1) 水100ml
2) 粉末ゼラチン0.5g
3) 液体石けん28ml(台所用中性洗剤の場合は20ml)
4) ガムシロップ1ml
5) グリセリン10ml
6) 炭酸水10ml
(1) 60℃よりすこしぬるい約50mlのお湯に、ゼラチン0.5gを入れて、わりばしなどでよくかき混ぜる。熱すぎるとゼラチンのタンパク質が変性(へんせい)する。すっかり溶けて透明な液になるのを確認。(ゼラチンを溶かすために湯を使う)
(2) 水をくわえて100mlの約40℃になるようにし、液体石けん28ml(台所用中性洗剤の場合は20ml)をいれ、あわをたてないようによくかき混ぜる。(温度は40℃よりも低くてもよいが、40℃くらいの方がよくまざる)
(3) 少量のお湯にガムシロップ1mlとグリセリン10mlをいれて溶かす。
(4) (3)を(2)の石けん液にいれ、ゆっくりまぜる。
(5) 炭酸水10mlを静かに入れてまぜる。
(6) 針金の輪が入る大きさの深皿や植木鉢の受皿などにいれる。
調合のコツ
まずは、できるだけ正確に量をはかって、ていねいに基本シャボン玉液をつくる。(お子さんができる程度に)
まぜるときは、あわをたてすぎないようにする。あわだらけになると、シャボン玉になりにくい。
あとは、シャボン玉をとばしながら、石けんやガムシロップなどの量を足して調整してもいい。
遊び終わったら、手や針金の輪も洗う。使った器具も、水を何回もかえてきれいに洗う。
針金で直径10cmくらいの輪をつくって、4cmくらい重なる長さで切る。竹の棒にさしこめるよう折りまげる。反対側もおなじようにする。
竹の棒にキリで穴をあけて差し込む
ネジリッコでぐらぐらしないようにとめ、針金にモールをまく。
参考図書:しゃぼんだまとあそぼう かがくのとも傑作集 福音館書店
2015年5月の企画(ご案内)
参加者のみなさんが、液体石けん、ガムシロップ、グリセリン、炭酸飲料、かたくり粉などを調合して、安全な特製シャボン玉液をつくります。竹の棒、針金、モールを使って、大きいシャボン玉づくりに挑戦しましょう。
場所:西緑地会館
日時:2015年5月20日(水)午後4時半から
5月21日(木)午後4時半から
(同じ内容で2回やります。どちらかに参加を)
対象:小学生は保護者なしでも。
小さいお子さんは保護者同伴で。
参加費:100円(材料費)
*汚れてもよい服装で来てください。