春になって暖かくなると、メダカはエサをたくさん食べて、水中の水草の葉や根に透明な卵を産みつけます。2、3日すると、目や心臓ができてきて、卵の中で血球がながれたり、目が動くようすが見えます。メダカのそだて方についても解説します。希望の方には、卵をさしあげますので、ご家庭でも観察してください。
細胞の分裂(盤割)が進んだ発生初期のメカ胚
左よりは若い発生段階のメダカの胚の心臓の動き
メダカの卵を顕微鏡でみるで観察された。
眼もしっかりできた段階のメダカの胚の心臓と流れる血球の動き。眼の下に耳石もみえる。
普通の顕微鏡:スライドの上に対物レンズのくる正立・スライドの下に対物レンズのある倒立にわかれます。学校の顕微鏡はだいたい正立顕微鏡です。
観察する試料は光が通ればそのまま、通らなければ薄い切片を作成します。スライドの上にのせた試料のまわりに液体を垂らし、その上からカバーグラスをかぶせて検鏡します。
無色の試料はいろいろな色素で染色して どんな組織から構成されているかを染色のされぐあいから観察します。すこし特別な顕微鏡をつかい、位相差とか微分干渉法により組織の光学的な性質の違いを強調して観察することもあります。
顕微鏡の性能もさることながら、試料を処理して観察できるようにするのにワザが必要です。
実体顕微鏡:試料をそのままで観察するのが目的の顕微鏡です。スライドグラスやカバーグラスを使う必要はありません。倍率はあまり高くはありません。
実体顕微鏡よりは倍率は低いのですが、野外に持ち出すこともでき いろいろな試料を簡単に観察できます。
凸レンズひとつによる「虫めがね」では色収差や球面収差があります。倍率の大きな「宝石鑑定用ルーペ」といわれるルーペは高価(5千円くらい)ですが このような収差対策がされていて、一生ものとして使えます。西緑地科学クラブで 同じ形式のルーペで メーカーや口径の違うルーペの見え加減、使い勝手をためせます。
メダカの卵は1mmくらいの透明[とうめい]な丸い卵です。産[う]まれたはじめのころは中に小さな油[あぶら]のつぶが見えるだけなのですが、1日2日たつとからだがつくられ 眼[め]が2つでき 心臓[しんぞう]がうごいて血液[けつえき]が流[なが]れ出します。身体[からだ]のしくみができ上がって、水の中を泳[およ]ぎ回[まわ]れるようになるまで、硬[かた]い卵の殻[から]のなかで育[そだ]ちます。卵のなかから出て泳[およ]ぎ始[はじ]めるのは10日ほどです。小さなプランクトンやそのほかの餌[えさ]を食[た]べて大きくそだち、もっとも速[はや]いメダカでは3ヶ月もするとおとなになって、卵をうむようになります。虫めがねなどで観察しましょう。
耳石[じせき]は耳のおくの内耳[ないじ]にあり、からだのバランスを感[かん]じる仕組[しくみ]をつくっています。耳胞[じほう]は耳のしくみのもと。脊索[せきさく]は脊椎[せきつい]のもと。
2日目の卵
4日目の卵
特別[とくべつ]な顕微鏡[けんびきょう](位相差[いそうさ]顕微鏡)で、卵[たまご]の中の眼[め]や心臓[しんぞう]をみます。あたまの上側[うえがわ]からみたところ。
耳石[じせき]は耳のおくの内耳[ないじ]にあり、からだのバランスを感[かん]じる仕組[しくみ]をつくっています。耳胞[じほう]は耳のしくみのもと。脊索[せきさく]は脊椎[せきつい]のもと。
① 水そう
室内だったら:飼育ケース、きんぎょばちなど
屋外だったら:バケツ、スイレン鉢、大きめの飼育ケースなど。日差しが強いと水が熱くなるが、メダカは南方起原の魚なので、比較的熱さに強い。また、ある程度の水の深さがあれば、屋外でも冬越しできる。水そうの大きさで飼育できるメダカの数が決まる。
② 土やじゃりを底にしく
食べ残しやフンなどの有機物を分解し、水をきれいに保つバクテリアのすみか。庭の土でよい。
③ 水草(ホテイソウやキンギョモなど)
食べ残しやフンから水中にでてくる窒素分を吸収して水草が育つ。水をきれいにたもつ。
④ 水
東京の水道水は塩素による消毒をしていないので、水温をあわせれば、そのまま使うことができる。にごるようであれば、ときどき、水を入れ替える。にごりの多い部分をすてて、新しい水を足すようにする。スポイトなどで底のほうのゴミをとる。
⑤卵と子メダカ
親メダカは生まれたての稚魚をたべてしまうので、卵がうまれたら、親とは別の浅いケースにいれて、発生のようすを観察する。
ふ化した直後は卵黄が残っているのでエサはたべない。2〜3日ようすをみながら、「メダカのエサ」をすりつぶして、ごく少量を耳かきなどですくって、水面に浮かせるようすこしずつ与る。水がよごれないようときどき入れ替える。親メダカの半分くらいの大きさになったら、いっしょにしてもよい。