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生物の体はたくさんの細胞からできています。細胞はとても小さくて 肉眼や虫眼鏡で観察することはできません。顕微鏡が発明されて はじめて 細胞をみることができるようになりました。細胞の大きさが小さい理由の一つは 細胞のなかで物質をはこぶのに「拡散」というしくみをつかうと そんなに遠くまでは十分に運べないということがあります。ところが 細胞は 細胞のなかでエネルギーをつかっていろいろなものを運ぶしくみをつくってもいます。カナダモの「原形質流動」では葉緑体が細胞のなかで動いていることが観察できます。これだけではなく ある分子を作られたところから必要なところにむけて運ぶしくみがあるなど いろいろな細胞のなかでのしくみのあるのがわかっています。
細胞の大きさには下限もあるようです。ウィルスとかは寄生して生きているのでとても小さいのですが、ひとつの細胞で生きるには 必要なしくみにしたがって分子の種類や個数がきまります。それが細胞の大きさの下限をきめます。HEPAフィルターなどは0.2μmくらいの大きさ以上は濾し取ります。これでほとんどの細胞を除けるので 「滅菌」することができます。また生ビールや生酒はこのフィルターで漉してビールや酒を加熱しなくてもよくなったのです。
カナダモの葉は2層の細胞からできていて そのまま細胞を観察するのに適しているのですが、タマネギの内側の皮も容易にはがせて観察できます。
酢酸カーミンという色素で染めています。赤く染まっているのは核で染色体がつまっています。染色色素でよく染まる細胞内の器官であるので「染色体」という名前がつけられました。DNAという遺伝情報がのせられた分子から染色体ができています。
植物の細胞は 細胞分裂した直後は立方体(サイコロ)のような形をしていて 細胞の大きさは核の大きさよりすこし大きいくらいです。タマネギの根端の細胞をみるとよくわかります。根が伸びるときにはこの立方体の細胞が長くなって体積と長さをふやします。植物の細胞は外側に硬い細胞壁があり、その硬さを与えているのはセルロースファイバーです。セルロースファイバーが螺旋のようになっているので、細胞の体積がふえると、螺旋がその軸方向に伸ばされる(セルロースファイバーの長さはかわらずにバネが引き伸ばされる)のです。はじめに作られている螺旋の軸方向が植物の伸びる方向を決めます。
植物の細胞が体積を増やすのは 細胞の中に液胞という 細胞にとってはすぐに使う必要のない物質や 細胞のなかでは毒になるような物質を保管する ほとんど水の細胞器官の体積をふやすことでなされます。カナダモの原形質流動は 細胞の液胞ではない部分での葉緑体などの動きであったのです。ちなみに動物細胞では細胞壁はありませんし(その代わりに硬い骨をつくって体のかたちをたもつ)液胞が大きくなるのは その細胞が調子悪くなって死ぬしるしです。
動物の細胞の代表として 口の中を綿棒でこすって 細胞を採取して 酢酸カーミンで染色して観察します。植物の細胞のかたちと比較してみてください。細胞のなかによく染色される核のあるのがわかります。細胞のなかの基本的なしくみはタマネギの細胞とおなじです。