ファイナル振り返り座談会 ダンデVSキバナ File5
――――毎年恒例振り返り座談会です。ゲストはチャンピオン、ダンデ選手とキバナ選手です。よろしくお願いします。
ダンデ選手(以下D)「よろしく。どうでも良いが、導入がどんどん短くなるな(笑)」
キバナ選手(以下K)「おー、今年もこの取材がきたな。よろしくー」
――――お二人をよく座談会にお招きしていますので、正直どのようにお話をお聞きしようか迷っています。今回はプライベートなお話を沢山お聞きしたいのですが……。
K「今更じゃねえ?(笑)」
D「今更だろう。答えられる範囲で良ければ問題ないぜ」
K「お前がぺらぺら喋らなきゃ大丈夫だろ」
D「そんなに変なこと言ってるか?」
K「バックナンバー読み返してみたら分かるぜ?」
D「それは……遠慮しておこう(笑)」
K「自覚あるじゃねえか!(笑)」
――――ありがとうございます。今回も決勝戦はお二人でしたね。
K「そろそろ変わり映えしなくて悪いとは思ってるんだぜ。でも、俺サマもこればっかりは譲れないからなー」
D「譲るものでもないしな」
K「そりゃそうだ」
――――今年はプライベートでもよくお会いしていたようですね。前日にも会っていたとキバナさんのポケスタにありましたが?
K「あー。あれな。実はお互いの調整にバトルしてたんだよ」
――――えっ?バトルを!?
D「最近忙しくて中々フルバトルが出来なくてな。日常的なトレーニングとか1on1の軽いバトルばかりで最終調整まで行けなかったんだ。これは完全に俺の落ち度だ。フルバトルの勝負勘が鈍っているかもしれないというのも怖かった。相手がキバナだから、そんな馬鹿げた隙を作りたくなかった。誰か手の空いているジムリーダーに調整に付き合ってくれるようにお願いしたんだが、皆忙しくってな」
K「いきなりジムリーダーとの連絡用グループに“求む、今日一日調整に付き合ってくれる人”って来てビビったぜ。俺サマも調整に不満があったし、お互い手の内は隠そうにも全部分かり切ってるんだし、良いかと思って」
D「この一件でキバナには迷惑をかけたようだな」
K「は?何が?」
D「色々言われたと聞いているぞ」
K「結果論だろ、そりゃ」
D「そうか。……この座談会ではよく聞くな。結果論」
K「確かに(笑)もう座談会の名前にしちまおうか」
D「結果論座談会?(笑)」
K「ファイナル振り返り座談会より良いだろ?短くて分かりやすい」
D「そうか?締まりがなくってカッコが付かないだろ。あと、ネガティブを感じるからそういうのは俺のイメージ的にNGだぜ(笑)」
K「クソ真面目~」
――――バトルしてたんですか!でも、前日ですよね?その……少し時期が悪くはありませんか?作戦があるのでは?
D「今年だけで何回キバナとバトルしていると思う?もう今更だ」
K「そうそう。今更すぎて時期とかもう関係ねえよ」
D「作戦も多分ダダ漏れだったと思うしな(笑)」
K「ホント、今年は散々ダンデとバトルしたわ。俺サマのロトムがカウントしてくれてたんだけど、プライベートの試合は360回を超えたって」
D「平均したら一日一回バトルしている計算だな」
K「公式戦とか合わせたらホントに毎日やってることになるぜ。こんだけやっといて今更作戦が~とか、もう言ってもムダ!」
D「同感だな。それに、前日は絶対キバナに会っておかなくちゃいけなかったし」
K「うん?」
D「俺のリザードンは俺のカレーよりキバナのカレーの方が好きらしい。相棒のコンデションを最高レベルまで上げるならキバナのカレーが必要不可欠だったんだぜ!」
K「自分のポケモン餌付けされといて胸張るな!(笑)」
D「キバナ、これは嫌味ってものだぜ」
K「分かりにくい!」
D「長年の相棒にカレーを出してちょっとがっかりされるんだ。その気持ちがキバナに分かるか?」
K「あー。……今度レシピ教えてやるから」
D「よし。言質取ったからな。絶対だぞ。編集さんもこのくだり絶対入れてくれ。逃げられたときに盾にするから」
K「え、なに。こわい(笑)」
D「キバナにはこの気持ちが分からない。美味いカレーを作れる君にはな」
K「いや、ホント。なに言ってんのお前(笑)」
――――キバナさんのカレー、そんなに美味しいんですか?
D「悔しいが……」
K「顔(笑)チャンピオン様がそんな顔するなよ」
D「む。雑誌取材だから良いかと……」
K「お前がそういう顔するから、カメラさん撮っていいか困ってるだろ~」
D「悪い。気を付ける」
K「質問に戻すが、俺サマのカレーは普通だぜ。ダンデのカレーがちょっと残念なだけで」
D「俺?」
K「火加減も混ぜるのも全力すぎるんだよお前。木の実の組み合わせも全然考えねえし。もうちょっと色々気を付けてやれば良い感じになるんじゃね?」
D「そうなのか?」
K「ま、今度やってみようぜ」
D「レクチャー頼んだ」
K「へいへい」
――――仲が良いですね。
K「前からこんなんじゃね?」
D「そうだな。……今までは取材だからと少し固くなっていたのかもしれない」
K「あー。それな。一緒に仕事することも多くなってきたもんなあ」
D「そうだな。最近はTVに出るときは大体キバナと一緒だな、不思議なことに」
K「あれはローズ委員長からお前が不用意な発言した時のフォロー頼まれてんの!(笑)」
D「そうなのか?」
K「道に迷うわ天然だわ自由だわで俺サマくらいしか制御できないって泣きつかれたんだよ。それで特別手当出してもらいながらお供役してやってんの」
D「それは……俺のために頑張ってくれていたんだな。ありがとう」
K「感想そこかよ!(笑)」
D「ではお供くん、おいしい水買ってきてくれ(笑)」
K「それくらい自分で行け(笑)」
D「でもおかげでバトルはしやすくなったぜ。仕事の合間とか、休憩時間に軽く1on1するとかな」
K「だなー。それだけはホント有難いよな。その結果が360回越えなんだけど(笑)」
――――お二人とも、今回はのびのびお答えいただいて嬉しい限りです。あの、そろそろ本題入っても大丈夫でしょうか?
D「キバナ、制御出来てないそうだぞ」
K「俺サマだけの責任にするのやめろ(笑)」
――――すいません。では改めまして。今回のファイナル、いかがだったでしょうか?
D「相変わらず燃える試合だった」
K「な。ダンデはようやく天候諦めたな(笑)直前まで使ってたくせに」
D「どうも上手くいかなかったからな。三年は頑張ろうと思ったんだが、あれは無理だ。性に合わない」
K「そりゃあ残念。何時までも天候やりたがるから、そろそろ特別講習会でもやってやろうかと思ってたのに」
D「でも、得るものはあったぜ。天候を使うトレーナーたちの呼吸と言うのか、タイミングと言うのか、そういうものが分かるようになった。ここで交代して砂嵐がくるな、とか。そういう隙が見えるから、色々やりようが増えてきたな」
K「ちょっと動き方変わったかと思ってたけど、そういうこと?はー、なるほどねえ」
D「今年はプライベートでキバナとずっとバトルしていたしな。自分でも使ってみて、相手の動きをよく見ることが出来て、ようやく何とか得るものを得たって気がするぜ。キバナはどうだった?」
K「俺サマも試合中に次に何が来るとかは予想したりしてたんだよ。で、ちゃんと当たるときもある。当たって対応できていても、それでも届かねえからやっぱ悔しいよな」
D「毎年悔しがってないか?」
K「勝ててねえからな」
D「俺は久々にリザードンを出せて満足だぜ!他の人ではリザードンを出す前に終わることも多くなってしまってな……」
K「そうだっけか?」
D「公式戦では三か月ぶりくらいじゃないか?」
K「俺もフルメンバーで戦える機会は少ないからな、そういう意味じゃ楽しかったぜ」
D「あと……これは言おうかどうか迷うんだが。いい機会だから言ってしまおうと思う」
K「なんだよ」
D「天候パーティーに天候パーティーぶつけるのは不毛に思える瞬間があるんだ。砂嵐を雨に変え、変えている間に晴れにされる。それに耐えれる人間じゃなければ到底無理だ。俺には無理だった」
K「それは最初に気付いとけよ!(笑)イメージトレーニング時点で分かってたことだろ?」
D「気は長い方だと思っていたから、いけると思ったんだ。そういう読み合いが発生するのを見るたびに、楽しそうだよなあって思っていたし、やってみたかったというのは嘘じゃないんだ。でも……全て過信だった。実際にやってみたら本当に凄くストレスを感じる瞬間があって……。試合が動いている気がしないんだ」
K「うーん、俺サマにはその感覚はイマイチ分かんねえけど」
D「俺の天候への理解の未熟さもあって、上手く行かないことの方が圧倒的に多いんだ。そうなると、上手く行かなくても勝てる道は用意しなくちゃいけない。でも、なくて勝てるなら天候をやめても良いってことだとも思ったりする。そういう迷いが、この三年くらいずっとあったんだ」
K「珍しいな、ダンデのそういう発言」
D「使用感については個人的なものと受け取ってほしい。キバナのようにしっかり使いこなせば安定感もある、素晴らしい戦術なんだ。ただ、俺には圧倒的に向いていないだけで。もうこればかりは仕方ない」
K「割り切ったんだな」
D「君は本当によくこの戦術を貫いているよ」
K「それ褒めてんのか?」
D「尊敬に値すると思っているとも。忍耐強く勝ちのためにどこまでも粘れるっていうのは、君の美点だ」
K「そりゃどうも。お前のそういう素直なところ、俺サマも見習っていくわ」
D「ありがとう」
――――そろそろお時間ですね。お二人とも、今回のバトルが終わっての感想を簡潔にお願いします。
D「やっぱりキバナとの公式戦は格別だと感じたな。やっぱり、ライバルとやるときはどんな強敵とバトルする時よりも高揚感が違う。あとは、自分の可能性を諦めることも別に悪いことではないと確信できた試合だったな。向き不向きは誰しもあるし、それは克服しなければいけないものでも何でもないんだと知れた。自分が出来ることを全力で以て相手にぶつける。これからは、そういう形でチャレンジャーたちへの敬意を示していくことになるんだと思う。キバナとの公式戦は、いつもそういうことを一つ一つ言葉に出来るようになるきっかけになるんだ。大切な試合だったし、これからもその価値は変わらないんだと思う」
K「俺の感想としては、天候を完全に捨ててすっきりしたダンデとやれて良かったぜ。最近はダンデの動きにくさの隙を突いた戦い方になりがちだったから、俺サマもこれで良いのか悩んでたし。迷ってる相手に負けるのも勝つのも苦しかったって言うのが本音だな。でもバトルだからさ、そんな中途半端になるならやめろとも言えねえじゃん。そういうのがサッパリなくなって、お互い本来の戦い方で向き合えたのが一番かなーとは思うぜ。だから、ここ数年で一番何にも考えてなかった試合だったかも(笑)」
D「それは良い意味で、だろ?」
K「モチロン!(笑)もうな、読まなくても次何が来るかは分かってんだよ!」
D「それでも勝ててないが?(笑)」
K「あーそうだよ!くそ!ほんと、なんで勝てねえんだろ」
D「ははは(笑)」
――――ありがとうございます。それでは、いつものお願いします!
K「次こそ勝つ!何が何でも勝つ!」
D「ああ。楽しみにしているぜ!」