すっとこどっこいのダンデへ
オレさまは今、ナックルジムの事務室でこの手紙……じゃないな。なに?どういう体で行ったら良いかまだちょっとよく分かってないから許してくれよ。まあ正直に原稿でいいか。この原稿を書いています。なんでかって言うと、オレさまの知らないところでまた毎月5000文字以上書かなくちゃいけない立場になったからです。エッセイの時よりちょっと文字数増えたのはオレさま本気で理解出来ねえんだけど。3500字でもヒーヒー言ってたのにさ、何で増やしちゃったんだよ。編集さんも「そろそろ慣れてきましたよね!」じゃない。全然慣れてないし、あの連載からもう結構時間経ってるんだから目標値低めにお願いしてほしかったんだけど。写真掲載がない分文字で埋めてくださいとかじゃないんだよ。文字サイズとか弄ればどうにでもなるだろ。なんなら写真撮っても良いって言ってんのにさあ。くそ。もうずっと書け書けって言われ続けるし何ならジムに居座るから書くことにしました。こういうことは皆に見えるような形で言うことでもないけど、でもちゃんと言っとかなきゃオレさまがまた喜んで書いてるみたく思われるからな。全然違うから。もうここまで書くのもうんうん唸りながらやってるからな。時計見たらここまで書くのに一時間近く経過してて絶望してるからな。原稿ってなんでか終わんねえんだよ。オレさま泣きそう。
それでダンデよ。なんでこうなったのか心当たりはあるよな?そうだよ、お前がGPの編集さんにオレさまとの手紙がどんなのか見せるって約束しちまったからだよ。あのな、オレさま紙面で書くのはアレで最後って言ったじゃん。それなのにこんなすぐに書かせるとかさ、何考えてるんだよ。お前だってもう良いかなーとか書いてたじゃんか。それなのになんでそういう勝手なことするわけ?そういうところ未だに信じらんねえんだけど。そろそろそういうところ直せよ。ホントに。まあいいや、この話はまた今度顔突き合わせてやろうぜ。
そんで、急に手紙書けって言われても困るんだよな。いつものアレはさ、お前とオレさまだけだから成立してるヤツじゃん。でもこれは違うじゃんか。もうさあ、なに書けばいいんだよ。そんで何でオレさまから始まるわけ?普通言い出しっぺがこういうのは一番手でやるんじゃねえの?「なに書けばいいか分からないから頼んだ」ってなんだそりゃ。オレさまのセリフだわ。本気でちょっと困ってそうだからもうやってやるけど。ああ、そうだよ、やるとも。やってんだよ。もういいや。オレさまの寛大さが今日もダンデを救ったってことだな。感謝しろよ。
そうだ、まだあの時の感想言ってなかったから今書いちゃうわ。どうせ書くこともあんまり考えてなくて締切迫ってるし。あのエッセイの最後の回のやつ。直接言おうかなーとも思ったんだけどさ、どことっても惚気しか書いてなくて真面目に感想言うの馬鹿馬鹿しくなって止めた。
なんだあれ。なんでお前自分のエッセイで惚気てんの?あれのおかげでオレさまって言うかオレさまの職場がどれだけ大変なことになったか知ってる?ナックルジム前がもう押すな押すなの大騒ぎだぜ。全国ニュースにもなる騒ぎだったんだぞ。「ダンデさんのお相手が誰か知ってますか」って、もう記者の皆さんたのしそーな顔して聞きに来てくれたよ。まあ普通に「知りませんけど」って返しておいたけどな。後でニュース見たら自分ですごい清々しい笑顔してんなーって思ったぜ。内心はお前への怒りでいっぱいだったけど綺麗に笑えるもんだなーって。オレさまイケメンに生まれてきて良かったわ。ちょっとくらい腸煮えくりかえっててもどうにかなったもん。
あのさあ、ああいう不用意なこと書くなら一言言っといてくんねえ?お前が名前出さなかったら皆オレさまのところ来るの分かってただろ。ホント、勘弁してくれよなあ。そういうの今度からナシな。ここで書いたから守れよ。絶対だぞ。
そんで感想。感想な。ちゃんと書くよ。
まあ一言で言うと意外だったかな。ダンデのことポケモンバトル第一人間だと思ってたし、それは間違ってないと思うんだけど。で、オレさまはそれをちょっとでも改善しようと奮闘してたわけだしさ。でもさ、そんなの杞憂だったかもしれないんだなーって。読んでるこっちが恥ずかしくなっちゃうくらい盲目になって語れる相手がお前にいるんだなーって。まあ良かったじゃん。幸せそうでなにより。はい、オレさまの個人的な感想はおしまい。
で、まあそれよりも面白かったのは周りの反応かな。記者の人たちもそうだけど、友人知人その他諸々全部オレさまに来たからな。ジムリーダーどもはもちろん、マサルやポプラさんやネズやピオニーさんもオレさまのところ来たよ。あと、どこから番号手に入れたのか知らないけど、マスタードさんからも一本電話貰ったぜ。なんでか丁寧に「ダンデちんをよろぴくね」って言われたよ。よろぴくされちゃったんだけど、オレさま。よろぴくって、今更お前のことどうすりゃいいんだろうな?
まあジムリーダーどもも似たり寄ったりな感じだったな。その度に「オレさま知らないけど」って一々訂正しなくちゃいけなくて骨が折れたぜ。「またまたあ」って、オレさまが酷い冗談言ってるみたいに返されるんだけどさ。で、最終的には「隠すなよ」みたいなこと言うんだよ皆。なんでだろうな。不思議なこともあるもんだよ。お前、意外に人望なかったりする?その皺寄せがオレさまに来てるってこと、ない?まあこれ公開文通らしいから皆に向けてはっきり書いておくけど、オレさまはダンデの恋人のことなんて何一つ知りません。オレさまなーんにも知りません。これで良いな?
まああの記事の関連で一番大変だったのはホップだよ。あの記事出た日のうちにホップが珍しくオレさまのところに一人で来てさ、「アニキに恋人がいたなんて全然知らなかったんだぞ!」って大騒ぎしてったんだよ。なんでもお前がホップにそんなに長い間隠し事をしてたのが面白くないんだって。まあつまり寂しかったんだろ。「アニキの薄情者、もう知らないんだぞ!」って相当むくれててさ、いやー見てて大分面白かった。むくれっぱなしで可哀そうだったからちょっと良いもん食わせて帰しといたぜ。腹いっぱいになって帰る頃には機嫌が良くなってたから大丈夫だとは思うけど、ホントに無視されてねえよな?
まあホップは良いヤツだし、ホントに無視されてるとかあんまり心配してねえんだけどさ。時間置いてちょっと冷静になって、そんでお前がどんな立場で、どんな気持ちで今まで過ごしてきたかっていうことに想像出来る余裕が出来れば、素直に勝手な決めつけだったなって反省できるヤツだと思うから。お前は出来た弟持ったよ。お前はホップの前でアニキ風吹かしてるけど、そういうアニキでいられるのはホップがそういうふうにお前を立ててくれてるからっていうのも大きいと思うぜ。感謝しろよ。それと、ちゃんと話し合っておけよな。
さあ、まだまだ紙面埋めらんねえな。どうすっかな。そうだ、最近お前に言いたいことって言えばアレだ。スタートーナメント。アレについても書いておこうかな。
アレもさ、全然オレさまに相談なかったじゃん。だから急に招待状渡されて超ビビったんだけど。聞いたら、直前までリーグ内でも本営スタッフしか関わらせてなかったらしいじゃん。独断行動多すぎ。繫忙期でもないくせにやけに忙しそうにしてるなーと思ったらこれだもんな。秘密主義もいいけど、もうちょっと頼る先を増やせよ。こんなデカいことやるなら特にさ。どっかで泣き見ることになるのはお前だけじゃなくて、お前の部下の人たちもなんだからな。
まあ、良い企画だったから小言はこのくらいにしといてやるよ。正直なところ、オレさまめちゃくちゃ楽しんじゃったしな。エンターティナーとしてのダンデがサプライズ計画するのが好きっていうのは知ってたけど、こんな大掛かりなことしかけてくるとは思わなかったぜ。正直、やられた!と思ったよ。なに楽しいこと一人で計画してんだよ。オレさまにもちょっとくらい分けろよな。そんで、あの盛大な開幕宣言の後のリザードンポーズとドヤ顔。あれ見ながら、くっそ!と思ったね。お前のドヤ顔なんて見飽きてるこっちとしちゃ、こんな面白いことダンデ一人だけで進めてたのかよってめちゃくちゃ羨ましかった。あとさ、お前めっちゃテンションアガってるとき、鼻の穴ぴくぴくさせる癖があるの知ってるか?この時もめっちゃぴくってたぞ。ドローンロトムがアップで抜いたの一瞬だったから皆気付かなかったと思うけど、でもオレさまの目は誤魔化せねえぞ。嘘だと思うなら映像見てみろよ。どうせ撮ってあるんだろ?
まあ、マジであのトーナメントはアツかったし楽しかったよ。スタジアムで試合してんのにお前が隣にいるっていうのも新鮮だったしな。決勝戦前まですげえ万能感でいっぱいでさ、オレさまたち無敵なんじゃねえかなって思ったよ。いやマジで。強敵たち前にしてもさ、全然怖くねえの。いつもは怖いのかって?全然怖くねえけど。強いヤツとバトルすんのは怖くねえし楽しいんだけど……。なんて言ったら良いんだろうな、お前とならどんな無謀なバトルでもやれるなって思ったんだよ。もうなんだって良いなって。お前とこんな楽しいこと出来るんだったら、後のことなんか知るかよって思ったよ。そんでさ、これまでオレさまとお前ってライバルってばっかりで、タッグ組むなんて考えてなくてさ。どうしてだろうな。どうして考えたこともなかったんだろう。不思議な話だけど、全然、たぶん想像すらしてなかったんだよ。でも、お前がこういうやり方もあるんだって見つけてくれた。それがオレさまはすっげえ嬉しかったわけ。だからお前が一声かけてくれたら、キバナは喜んでどんなバトルにでも力を貸すだろうなって。……一声かけてくれたらな。大事なことだからもう一回書いとくけど、キバナが必要ならちゃんと言えよ。言ってくれなきゃ分かんないんだからな。分かったな?
バトルの内容に関しては二人であらかた反省会したから省略したいんだけど、ポケッターでずっと皆に言われてるからここでも言っとくわ。公式に書いたから、もうこれネタにすんのやめてくれよな。未だにポケッターの検索で「地震」って入れた後にサジェストでキバナって出てくんの結構凹むんだわ。決勝戦で初手地震は悪かったって。タッグだって分かってたんだけど、なんか咄嗟に「うわダンデのギルガルドいるじゃんとりあえず抜群とらなきゃ」って思ってさ。うそうそ。ちゃんとダンデのキングシールド読みだって。オレさまを信じろって。オレさまって言うか、オレさまのダンデへの信頼を信じろって。な?地震打った後、なんでかお前とマサルの視線が痛かったけど。いやいや、ダンデのギルガルドはキングシールド持ってるんだし、ホップとマサルに同時にダメージ入るんだから地震は選択肢としてアリだろ。ダンデがどっち先に狙うつもりか分かんないんだから、地震で同時にダメージ入れとくって言うのはベターじゃんか。その後砂嵐入れたんだけど、これはこれでポケッターで物議かもしたしな。後続に全然アドないとかタイミング謎だとかさ。キングシールドのタイミングで地震入れたいし、でも1ターン遊んでるわけにもいかないじゃん。そしたら無条件で入るスリップダメージはもうアドだろ。じゃあその後ヌメルゴン出たら雨乞いしたのはなんだったんだって?ヌメルゴンのなみのりは単純に強いし、リザードン出て来るのに砂嵐は流石に駄目かなって。え?オレさまなんか間違ったこと言ってる?って力説してもダンデは納得してくれなかったけど。大体さ、タッグって言っても即興でペア組んだ奴と連携も何もないんだし、もうお互い好きにやろうぜって試合前に決めてたじゃんか。それをひっくり返してぶつくさ言ってんのはダサいと思うんだけど、その辺どうよダンデさん。これに限っては紙面ではなく個人的にお返事頂戴したく。
追伸。
マサルくんから「開幕式直後にダンデさんとキバナさんがロビーにいなかったんですけど。喋りかけるのも駄目だったんですか」と謎の苦情が何故かオレさまに来てるぜ。そんなこと言い始めたらポプラさんだって開幕式終わった後ロビーにはいなかったと思うんだが、なんでことさらオレさまとダンデに拘るんだろうな。自分だってホップ以外と組むつもりもなかったくせに。とりあえずオレさまは「ダンデが一番最初に声かけてきたから」って答えといたが、ありゃ全然納得してないだろうな。近いうちにダンデの方にも噛みつきに行くだろうから、適当に相手してやるなり誠実さ見せるなりしろよ。
今日はこれくらいで。じゃあな。
やさしいキバナさまより