制作物名:NEW SUPER NEWSPAPER
〜ゲーム内容〜
NEW SUPER NEWSPAPER は、5つのゲームを統合させた言葉遊びゲームです。
マップ画面から遊びたいゲームを選択することで、それぞれのゲーム画面へと遷移し遊ぶことができます。
ゲーム中のヒントや解説などの画面で、実際の新聞記事を読むことが可能となっています。
Hit And Blow Text
8パズル
もじもじまぜまぜ
ワードトレンドクイズ
SWAPPING LETTERS
〜5つのゲームの詳細〜
Hit And Blow Text
Hit and Blow を数字ではなく、ひらがなで行うゲームです。文字の位置と種類が合っている「ヒット」と、文字の種類のみが合っている「ブロー」を頼りにお題となっている単語を導きます。
お題となっているのは新聞に出てくる単語です。
わかっているヒントと新聞でよく使われていそうな単語を考えて、いかに単語を想起できるかがポイントです。
ゲーム終了後、お題となっている単語を含む記事を読むことができます。
8パズル
3x3のマスにひらがながランダムに配置され、ひらがなを動かして横一列の 3 文字で単語を作るゲームです。
制限時間内に 8 個の単語を作成することを目指します。
判定には、新聞から抽出した単語を使用しているため、予想していない3文字が単語と判定されることもあるのが面白い要素の1つになっています。
ゲーム終了後、完成した単語を含む記事を読むことができます。
もじもじまぜまぜ
表示された文字から単語を作っていき、すべての文字を使い切ることを目指すゲームです。
判定は新聞の記事に掲載されている単語を使って行っています。
ヒントとして、作成できる単語の記事を読む機能があります。
濁点・半濁点などの珍しい文字があれば、それを上手く処理できるかがクリアへの鍵となっています。
ワードトレンドクイズ
単語と年代の関連を考える4択クイズです。出題された単語について、4つの年代のうち新聞記事への出現回数が最も多い年代を選択します。
単語の流行に関する知識が要求されるクイズです。
「予期せぬ年でたくさん新聞に掲載されていた!」ということが多々あり面白いです。
クイズ終了後、出題された単語を含む記事を読むことができます。
SWAPPING LETTERS
バラバラになった単語の文字を正しい順序に並べ替えるゲームです。
あらかじめプレイヤの興味のある年代を選択し、その年代に最も使われた単語を 10 問出題します。
並び替えを全通り試すと膨大なパターン数があるため、表示された文字からいかにして単語を連想できるかがポイントです。
ゲーム終了後、出題された 10 単語に関する記事を読むことができます。
形態素解析とは、単語を品詞ごとに区切る解析手法です。形態素解析を行うことにより、膨大な新聞記事データの内容を品詞ごとに分解することが可能になります。
mecab-ipadic-NEologd と呼ばれる形態素解析器を使用して形態素解析を行いました。
その結果、下図のように「新型コロナウイルス感染症」や「安倍晋三首相」など、固有名詞も抽出が可能です。
形態素解析により、各年の名詞の出現回数などが数えられるようになりました。
左の図は、"天皇陛下"という名詞の各年代における出現回数を表しています。
左の図のように 、分布が平坦ではなく、大きい山が1、2個含まれている特徴的な名詞を抽出しました。
日本新聞協会 (2020) 新聞の発行部数と世帯数の推移 [1]
新聞の購読者数は年々減少しています。
特に、若者の新聞離れが加速しています。
ニュース砂漠(※1)と呼ばれている「地方の人が地元で何が起こったのか知ることが出来ていない現象」が起きています。
東建コーポレーション株式会社は、「地元紙を持たないカリフォルニア州ベル市では、市幹部が議会と謀って、市民に報告することなく自らの年収を約7,000万円(オバマ大統領の倍)に、市議会議員らの議員報酬も増額するなどの不正が横行しました。さらに、地方選挙の報道なども行なわれないため、有権者が選択するための情報が届かなかったり、投票率が下がるなどの事態となっています。」と述べています[2]。
この事例から、地方紙は不正の抑止力としても有用であったことが推測されます。そのため地方紙がなくなると、選挙などの公正性を保たなければいけないもので不正がおきてしまう恐れがあるため、地方紙はなくてはならないものであるといえます。
新聞社が行っているデジタル化は電子版の発行だけではありません。新聞社は会員組織の構築、地域ポータルサイトなども行っています。例えば、静岡新聞では2000年、「アットエス」という生活情報を提供する地域ポータルサイトを立ち上げました。「アットエス」は、地域のニュースやグルメ、イベントなどの様々なジャンルの情報を集約させたサイトです[3]。また、「アットエス」では生活情報の提供のほかに、静岡新聞が立ち上げている新聞の求人広告と連動した「しごとのかんづめ」というサイトにアクセスを誘導する役割も担っています[4]。2011年には自社のニュースサイトを統合し、静岡で最大の地域ポータルサイトとなっています。
新規事業については、新聞には直接関係していない事業をしている新聞社もあります。例えば、北海道新聞では 2018 年 2 月に新規事業推進チームを立ち上げました。新規事業推進チームでは、デジタルガレージとの共同出資でスタートアップ企業 の発掘・育成を行う「G2Garage」を設立し、アクセラレータープログラム「Open Network Lab HOKKAIDO」(オンラボ北海道)をスタートし、12 の企業に出資しています[5]。新聞社がこれらを行うことのメリットは、新聞とは違う収益が望めるという点です。様々な収益を得ることができると、新聞は購読者が減少しても存続することが可能になります。
The New York Times (※2) では、電子版のコンテンツとして、クロスワードパズルを導入しています。その結果、クロスワードパズルを含むコンテンツを目当てとした購読者数が2020年では110万人に達しています[6]。
このように各新聞社は様々な付加価値を出そうと工夫しています。
新聞には十分な必要性があるにもかかわらず、購読者数が減少しています。また、これに伴い地方の新聞社が減っていることが問題となっています。新聞社では、デジタル化などの取り組みを行うことで、現状の改善を試みています。
そのような状況を踏まえて、私たちは以下の仮説をたてました。
①新聞記事を盛り込んだゲームを作ることによって、日常的に新聞記事に触れる機会がないユーザに間接的に新聞記事に触れる機会を提供できるのではないか。
②新聞にある単語や掲載された年代に注目した言葉遊びゲームを提供することで、新聞記事に興味を持ってもらえるのではないか。
これらの仮説に従い、新聞記事を盛り込んだ言葉遊びゲームを作り提供することで、「新聞記事」と「新聞にあまり触れる機会がないユーザ」を引き合わせることを目的とします。
※1 地元に新聞がゼロ、もしくは1紙のみという場所のこと
※2 アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市に本社を置くニューヨーク・タイムズ・カンパニーが発行している高級日刊新聞紙
[1] 日本新聞協会(2020) 新聞の発行部数と世帯数の推移. https://www.pressnet.or.jp/data/circulation/circulation01.php
(2021/12/04 アクセス) をもとにグラフを作成
[2] 東建コーポレーション株式会社, 発行範囲による新聞の分類「地方紙」.
https://www.homemate-research-newspaper-office.com/useful/12623_facil_026/
(2021/12/04アクセス)
[3] @s(アットエス), 株式会社 静岡新聞社, 静岡放送 株式会社.https://www.at-s.com/
(2021/11/28アクセス)
[4] 松本恭幸(2018) 地方紙の現状と課題. 情報の科学と技術, 68(9), pp440-445
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/68/9/68_440/_pdf/-char/ja
[5] 松本恭幸(2021), 地方紙が直面する購読者減少とその対応に向けた取り組み. ソシオロジスト 23, pp227-243
https://repository.musashi.ac.jp/dspace/bitstream/11149/2235/1/soc_2021_no23_227_243_matsumoto.pdf
[6] Money Voice, なぜNYタイムズは新聞のデジタル化に唯一成功した? 紙の売上がまもなく抜かれる. https://www.mag2.com/p/money/928005 (2021/7/10 アクセス)