創作ねぶた

鈴鹿御前 鈴鹿の流れ

2020.12 W1030×H720 (mm)

 鈴鹿御前は、伊勢国と近江国の国境にある鈴鹿山に住んでいたという伝承上の女性。室町時代後期の古写本では、鈴鹿御前は都への年貢・御物を奪い取る盗賊として登場し、田村の将軍俊宗が討伐を命じられる。ところが二人は夫婦仲になってしまい、娘まで儲ける。
紆余曲折を経るが、俊宗の武勇と鈴鹿御前の神通力によって悪事の高丸や大嶽丸といった鬼神は退治され、鈴鹿御前は天命により二十五歳で死ぬものの、俊宗が冥土へ乗り込んで奪い返し、二人は幸せに暮らす。十二単に袴を踏みしだく優美な女房姿だが、田村の将軍俊宗が剣を投げるや少しもあわてず、立烏帽子を目深に被り鎧を着けた姿に変化し、厳物造りの太刀をぬいて投げ合わせる武勇の持ち主である。俊宗を相手に剣合わせして一歩も引かず、御所を守る十万余騎の官兵に誰何もさせずに通り抜ける神通力、さらには大通連・小通連・顕明連の三振りの宝剣を操り、悪事の高丸や大嶽丸の討伐でも俊宗を導くなど、田村将軍を凌ぐ存在感を示した。