創作ねぶた

神泉苑伝説 静御前と善女竜王

2016.5 W1030×H720 (mm)

 京都中央区、二条城の南に位置する神泉苑。延暦十三(七九四)年、長岡京から平安京へ遷都した桓武天皇が、内裏の南に広がる沼沢の地を拓いて造ったのがこの禁苑で、常に清らかな泉が湧き出ていたことから、これを神泉として『神泉苑』と名づけたという。

 天長元(八二四)年に都が大干ばつに襲われた。時の淳和天皇は祈雨の修法の勅令を下し、東寺の弘法大使空海と西寺の守敏が雨乞いを巡り法力争いを行うことになる。この時、空海が雨乞いの神・竜王の一尊である「善女竜王」に祈りをささげたことから、都には大雨が降り注いだという。以降、法成就池には「善女竜王社」が建てられ、「善女竜王」は池の竜神として祀られるようになる。

 この謂れから、平安時代には雨乞いの霊地として知られていた。一一八二(治承六)年、後白河上皇が神泉苑で雨乞いの神事をした際、九十九人の白拍子が舞っても雨が降らず、百人目の静御前が舞を奉納した後に、にわかに大雨となった。義経はこの地で、上皇より「日本一」と称された静御前の美しく舞う姿を見初め、静御前を側室に迎えることになる。神泉苑内に広がる法成就池に一つ架かる朱塗りの丸橋が法成就橋で、静御前と義経はここで出会ったとされている。本堂から善女竜王社に渡されたこの橋を、一つの願いごとを念じながら渡り善女竜王へ詣ると、その願いは必ず成就するといわれており、現在でも多くの参拝客が訪れている。