コシダカガンガラ

Tegula rustica (Gmelin, 1791)

レア度:いつでも見られる

形態:円錐形の巻貝で、3㎝強になる。「岩殻」の名の通り、岩のように堅い。貝殻表面は規則的に隆起して波打っているが、クボガイよりも波長が大きい傾向がある。うねとうねの間は色が薄い。ただしクボガイ同様、小型個体(<1㎝)にはこの隆起がない。貝殻は暗いねずみ色で、細かい斑点がある。この斑点は底面で必ず確認でき、クボガイとの識別に使える。また、本種のへそは必ず開いている。

生息域:北海道から九州、韓国に分布し、潮間帯から水深20mの岩礁に生息する。

生態:植食性。C/Nマップと全窒素同位体比を用いた栄養段階の推定によって、大型藻類を起源とする食物連鎖において一次消費者として位置づけられており、特にコンブ類との密接な関係が示唆されている (Won et al. 2007)。ただし、コンブの配偶体は食べても、胞子体はほとんど食べないらしい (中田ほか 2006)。雌雄異体で、海水温が上昇する夏の間に繁殖する (富田 1980; Lee 2001)。繁殖は放卵放精による体外受精。

その他:北海道太平洋側には、貝殻表面が波打たない平滑型 "ヒラガンガラ" が生息する (Yamazaki et al. 2019)。彫刻型も、小型のうちは平滑型に近い形をしている

2021年5月8日 りった
2018年7月 山上
2018年7月 山上おへそとまだら模様
2021年8月22日 りった
2021年8月22日 りった
2021年8月22日 りったシマメノウフネガイがついている
2021年8月28日 りった
2021年8月28日 りったフジツボがついている
2021年8月29日 りったイワフジツボムラサキイガイと一緒

引用文献:

  1. 富田恭司. 1980. ヘソアキクボガイとコシダカガンガラの産卵期. ちりぼたん, 11: 5051.

  2. Lee, J. H. 2001. Gonadal development and reproductive cycle of the top shell, Omphalius rusticus (Gastropoda: Trochidae). Korean Journal of Biological Sciences, 5: 37–44.

  3. 中田和義・山崎友資・水田浩之・川井唯史・伊藤博・五嶋聖治. 2006. 植食性小型巻貝によるホソメコンブの摂食に及ぼす水温の影響. 水産増殖, 54: 375–381.

  4. Won, N. I., Kawamura, T., Onitsuka, T., Hayakawa, J., Watanabe, S., Horii, T., Takami, H & Watanabe, Y. 2007. Community and trophic structures of abalone Haliotis diversicolor habitat in Sagami Bay, Japan. Fisheries science, 73; 1123–1136.

  5. Yamazaki, D., Hirano, T., Uchida, S., Miura, O. & Chiba, S. 2019. Relationship between contrasting morphotypes and the phylogeny of the marine gastropod genus Tegula (Vetigastropoda: Tegulidae) in East Asia. Journal of Molluscan Studies, 85: 2434.