岡山大学大学院・自然科学研究科

理学部・生物学科

分子機能研究室 

中越研究室


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ショウジョウバエの突然変異体を用いた分子遺伝学的解析は,生物の形づくりが生物種をこえた共通のメカニズムによって制御されていることを明らかにしてきました.見かけ上はまったく異なる形をしている生物も, "形づくりの設計図" はかなりの部分で共通のしくみを使いながら,それぞれの多様性を生み出しているようです.このような共通性は形づくりだけに限ったことではありません.神経回路の形成過程や脳機能の制御機構など,さまざまな "生命現象の基本的原理" には,やはり生物種をこえた共通のメカニズムが存在します.

当研究室では,モデル生物ショウジョウバエを用いて,細胞が機能的に分化するしくみとその制御機構,体内恒常性を維持するしくみについて解析しています.        (→ 研究内容の概略紹介動画)

1. オスの生殖戦略

脳において転写制御因子 Defective proventriculus (Dve) を発現する細胞群は,オスの性行動を制御しています.

また,ヒト前立腺や精嚢に相当する器官 (附属腺) において発現している Dve は,附属腺細胞の機能分化を介してオスの妊性の制御に関わっており,その分子メカニズムについて解析を行っています.  (紹介動画)


2. 神経細胞の機能分化

複眼は約 800 個の個眼から成り,各個眼には8種類の光受容細胞 (R1-R8) が存在しています.

物体や色を正しく認識するためには,これらの神経細胞が特定の波長に応答する必要があり,Dve による精密な遺伝子発現制御が行われています.


3. 消化管の機能分化

中腸領域は,金属イオンの代謝や酸-塩基平衡を可視化して解析することができます.これらの機能は隣接した細胞間の情報伝達を介して獲得されることが明らかになってきました.

マルピーギ管は腎臓に相当する器官であり,体液中の老廃物を尿酸結晶として体外に排泄しています.また,細菌感染に対する自然免疫やストレス応答にも関与します.これらの消化管機能の制御機構を分子レベルで解析しています.

Last update 2023.10.02